【 作品No.127 】 ドレッサーデスク

作者:加藤信次 さん

審査員のコメント
審査員:三上 善之

三上 善之 / リョービ販売 株式会社

作品の美しさが伝わる素晴らしい作品です。細部の組立ても丁寧で長く使えるドレッサーデスクと思います。

作者のコメント

コメリ店内にて園芸用品を探していたところ、本コンテストのポスターを偶然にも見かけた。度々来店しているが、初めて目に止まり恥ずかしながら応募してみることに。
今迄、日曜大工程度に幾つかの小物を作ってはきたものの、そのほとんどが箱物中心であって脚物など作る機会は皆無であった。
共働きで永年苦労をかけ、母の日も近づいていることもあり妻に捧げたいのは脚物ならこれだと考え作ってみることにした。
朝食前,お膳の上に並び置かれた茶碗や箸の真横で猫背の姿勢になって小さなスタンド鏡と睨めっこしながら化粧に勤しんでいる妻、そして場所狭しと雑本が積まれた机の片隅で同じように小さなポータブル鏡を広げて高・大学生の娘達もそれぞれ化粧に励んでいる日々を見ていると、三面鏡さえ無い我が家にとってはやはり化粧台が必要との想いが以前から強かった。
手狭な我が家にとっては単に化粧台と言っても鏡が常に剥き出しになっている化粧台では室内が重苦しく感じ、又、一般的に売られている台の真中の蓋を持ち上げると鏡が開き化粧ビンが入るような箱付きタイプでは天板にすき間があり全面がフラットとなっていないのが難点と考え、鏡を仕舞い込むと机としても使え、ちょっとした書き物やパソコンでも置ける机タイプを試みた。
鏡は片手で持ち上げ、最上になった時点で後に寝かせると固定する仕組みで、化粧が済むと手前に引き上げて下に降ろすと収納されるという具合となっている。鏡を降ろしても前に板をはめ込んでいるために座っていても下半身の一部が鏡に映ることはなく前面からは決して覗くことはできないようになっている。
材は住宅家屋の解体現場から調達したものや、工務店を営む知人から頂戴したもので、檜、松、栂等の針葉樹を使用してみた(鏡の淵はチーク材)。どうせ作るのなら広葉樹材と思ったものの、家具には不向きと見られている針葉樹特性の温かさと木目を優先し取り掛かった。
とかく針葉樹材は加工がし易いと聞いてはいたが、聞いて見るのと作るのとでは大違い。材が柔らかいために加工段階で穴の周りや、臍さきや、木口面が繊維に沿って欠けてしまうことが多く、節周辺の鉋がけが難儀で特に木目が入り組んでいるこ個所は逆目が出てしまい一苦労。こんな筈ではなかったという場面に遭遇することが度々訪れ、慎重を期したつもりが仇になることもしばしばで、作り直した部材も幾つか出現。材料費はそれほど掛からなかったが、手間が意外に掛かったと痛感したのが仮組み段階での印象である。
とにかく、仕上がり具合に影響するのが塗装と言えるようで、特に材が針葉樹のために柔らかく、とにかく傷が付き易い。よって天板が命と考えて初めて経験するウレタン塗装(透明、つや消し)。
仕上がり具合を見極めるため使用した幾つかの端材を使用するオイル販売会社に持ち込んで塗装を依頼(色の濃淡・つやの程度等確認のため)。オイル販売会社からの指示と実際に送られたサンプル通りには上手くいかず、隅のはけ塗りが意外と難しい。ハケ跡やムラが随所に出てしまい、オイルの乾燥を待って研磨を何度も繰り返す。木製品でのウレタン塗装は始めて経験するため塗装に4日間も要したのには驚いた。
良い作品を作りたいとの一念からがむしゃらになって相当手間を掛けて仕上げたつもりでいるが、鏡には妻や子供達の顔が日々映ってはいるものの、妻子の目には一体、この作品がどのように映っているのだろう。作業中からそんなもの作って何処に置くのといった言葉がささやかれていたので、気弱な性格から気兼ねして使い勝手の良し悪しを未だに聞きだせないでいる自分である。

  サイズ   
     縦    445mm
     横    720mm
     高さ   700mm

みんなのコメント

ベストドレッサーさん / 埼玉県

奥様のために愛情込めて作られた作品の出来栄えにに感動いたしました。

はんの木さん / 埼玉県

努力のあとが感じられますね。文章もつくり手の心情が感じられてgood!