第20回のテーマは、庭の一部に英国風コーナー

今回はちょっと大きなテーマですね。それにイングリッシュ・ガーデンと言う言葉もなんだか漠然としています。いままでなんとなく使ってきた言葉ですが、英国では自国の庭をイングリッシュ・ガーデンとは呼びません。それにスタイルもまちまちです。でもいくつかのイングリッシュ・ガーデンを形作る上での要素をピックアップすることは出来ます。その要素のうち、ご自分のテイストやイメージに合うものを取り入れて、庭の一部を英国風に演出してはいかがでしょうか?ここでも一番大切なのは自分の感性を大切にするということ。自分らしさが出せたら、成功ですよ。

英国の庭と日本の庭

植物や自然を身近におくという点に置いては、西洋も日本も同じような庭のスタートだったに違いないと思いますが、日本ではより精神性が追求されたのに対して、西洋ではより機能性が追及されたところに違いが生まれたような気がします。
つまりごく近代に至るまで、日本ではある種の宇宙観というか世界観を庭の中に表現し、それを家の中から鑑る、眺めるものであったように思います。
西洋でもお城の庭などは建物の中から眺めて楽しむ刺繍模様のような庭もありましたが、一般の家庭では家庭菜園としての機能や外にあるもう一つの部屋のように、使うためのスペースとしての庭だったようです。

イングリッシュ・ガーデンとは?

歴史的にはノットガーデン(ツゲなどで結び目模様にした庭)などローマ風フォーマルガーデンから始まって、フランス式な幾何学模様のパーテア、オランダのトピアリー等の庭の時代があり、そのあとそれに反してウィリアム・ロビンソンが提唱した自然をそのまま切り取ったような自然風景式の庭が生まれ、貴族の庭などはみなこぞってフォーマルガーデンを壊してナチュラルなロックガーデンやワイルドガーデンなどを造りました。フランスはジュベルニーの、モネの庭もウィリアム・ロビンソン式の庭だそうですよ。もう一つの流れは、画家だったガートルート・ジーキルで、ナチュラルな自然とフランスのフォーマルの良さも取り入れながら、花色を使って、色彩豊かな絵を描くような庭を数々つくりました。壁や塀ぞいに細長く作った色彩のボーダーガーデンなどは英国で発達したものです。私達が所謂イングリッシュガーデンというときのイメージは、このジーキルの庭かもしれませんね。またコテージガーデンのように、英国の田舎家の庭といった、野菜やハーブと一緒にお花も植える生活に密着した庭も英国らしいと思います。