ミカンの育て方 ミカンの
育て方

ミカンの育て方

ウンシュウミカンの年間作業カレンダー(関東以西)

作業カレンダー

ミカンをはじめとするカンキツ類は、冬に暖かい土地ほど作りやすく、北日本では栽培できない地域も多くあります。ビタミンCが豊富で、風邪の予防から癌予防効果まで期待されるとも言われています。みんなが知っている身近な果物こそ、おいしく育てたいものです。

ミカンの品種

カンキツ類は数千万年前からすでにあったといわれ、インド、中国南部からヨーロッパ、南北アメリカへと伝わっていく中で、それぞれの土地に特有の品種ができたようです。わが国でもカンキツ類は多種多彩。中でも最も多く生産されているのはウンシュウミカンです。他にも多くの品種がありますが、そのほとんどは食べごろがウンシュウミカンよりも少し遅くなります。

メモ

◎ウンシュウミカンも2つに分けられます。
早生ウンシュウ/木が小型で、成熟期が早く、実の収穫量も多く、台風、塩害、寒害などに耐えます。 貯蔵性はあまりよくないですが、木が小型で丈夫なので、家庭果樹用のミカンとして適しています。

◎こんなのもミカンの仲間だ!
グレープフルーツ、サンショウ、コクサギ、シキミ、キハダ etc.

育て方のコツ

1.適地

まず、育つ環境の中にないといけません。日本全国どこでも育つわけではないのです。カンキツ系は、東北南部以西で育てるのがおすすめです。さらに、ウンシュウミカンや甘夏みかんは、年平均が15度以上で、冬季も零下5度以下にならない環境が必要になります。

2.植え付け時期

暖地では3月、低温地では4月が最適です。植え付け時期は一緒でも、ミカンの種類によって収穫時期は異なります。

3.仕立て方

強い枝で、方向、位置、角度のよい枝(①②③)を主枝に決めて開心自然形に仕立てる。

幼木時代

未成木時代

成木

4.摘果

果実をたくさんつけすぎると、隔年結果したり、品質が落ちるので、必ず摘果作業をします。早生も普通種も1回目が6月下旬から7月上旬、2回目が8月上旬頃です。

メモ

こんな果実は要チェック
直射日光のあたる部分にある枝の先端についたもの(残暑の影響を受けやすい)
台風などで風ずれでダメージを受けたもの病害虫にやられている新葉の少ない部分

5.整枝・剪定

暖地では2月中旬~3月。低温地や風の強い地方では発芽前になります。春に新梢を出してから、夏と秋にもまた出てきます。ただ、春枝以外は不要なので剪定します。

メモ

大枝や幹に直射日光を当てると日焼けをおこすので、徐々に剪定する。あまり枝を込ませないで、日当たりや風通しをよくする。

ポイント
・日当たりや風通しをよくします。
・大枝や幹に直射日光はあてないように徐々に剪定しましょう。

6.施肥

ミカンの仲間は常緑樹ですので、葉が1年中ついています。それだけ養分を吸収しますので、そのときどきに、肥料を与えるとよいでしょう。
目安: 元肥・・・3月  実肥・・・6月  お礼肥・・・10月

主な病害虫

カイヨウ病、黒点病、ヤノネカイガラムシ、ハモグリガ、ハダニ、アブラムシ等多様です。カイヨウ病にはベンレート水和剤を、ハダニなどにはケルセン剤等が有効です。


※農薬はラベル等に記載されている使用基準に従い、適用のある作物に使用して下さい。

ミカンの種類

種類名 説明 収穫時期 適性
ウンシュウミカン
日本で最もポピュラーなミカンです。国内のミカン生産の約8割を占めています。甘み豊か、程よい酸味で食味が良く生食に用いられる他、ジュースなどの加工にも適するミカンの代表格です。中果。 10月~12月 日向耐寒性/やや強い。霜が当たらなければ、戸外でも冬越しできます。
耐暑性/強い
不知火
甘味が豊かで果汁も多いので生食の他、ジュース等の加工用にも適しています。豊産性のニューフルーツとして注目されています。 1月~2月 日向耐寒性/やや弱い
耐暑性/強い
大実ユズ(キトウユズ)
食酢や加工食品の原料に用いられる他、正月の鏡餅に乗せたり、ユズ湯にも用いられます。昔からお供物として使われた他、殺菌・防虫の効果があることで知られています。5月~6月に開花します。 10月~11月 日向~半日陰耐寒性/やや強い
耐暑性/強い
キンカン
樹高は約2m程と小柄なので庭植えや鉢植に適しています。カンキツの中で最もビタミンを多く含有しています。ビタミン豊富な健康果実です。最近、キンカンの砂糖煮は風邪に効果があると注目されています。 12月~3月 日向。霜の当たらない所。
耐寒性/やや強い。寒風や乾風に当たると、落葉や落果しやすくなります。
耐暑性/強い
レモン
ビタミンC等の各種ビタミンを多く含み、風邪の予防や疲労回復に効果があるといわれています。比較的寒さに弱いので関東以北では鉢植で楽しんでください。 10月~12月二番花は3月~5月頃 日向。寒くなる前に室内に取り込み、日当りの良い所で管理します。
耐寒性/やや弱い
耐暑性/強い
カボス
果皮や果汁はスダチ同様、料理の風味付けに利用されます。ユズと近縁の食酢用のカンキツです。 8中旬~10月 日向。霜の当たらない所。
耐寒性/やや強い。寒風や乾風に当たると、落葉や落果しやすくなります。
耐暑性/強い
スダチ
樹高は約2m程と小柄なので庭植えや鉢植に適しています。生長は若干遅めですが、強健で育てやすいカンキツです。果実は強い酸味と上品な香りから、様々な料理の風味付けに利用されています。 日向。霜の当たらない所。
耐寒性/やや強い。寒風や乾風に当たると、落葉や落果しやすくなります。
耐暑性/強い
ネーブル
生食や加工用として用いられます。独特の甘みからジュースなど人気があります。さわやかな香りと酸味をもつカンキツで、ビタミンCが豊富です。 12月~1月 日向。冬は寒風が当たらない所が適します。
耐寒性/やや弱い
耐暑性/やや強い
ハッサク
食感が良く生食として人気があります。果実の大きさはイヨカンとほぼ同じ位、大きい果実をつけます。1本の木では結実しにくいので、アマナツミカンなどを混植し人口受粉させます。 1月~ 日向。冬は寒風が当たらない所が適します。
耐寒性/やや弱い
耐暑性/強い
ポンカン
糖度が高いのが特徴で生食やジュース等の加工用に用いられます。英名「マンダリン」 12月~1月 日向耐寒性/やや弱い。強風によって枝が裂けたり落果する場合があるので注意が必要です。
耐暑性/強い
花ユズ(一才ユズ)
ユズは本来、実をつけるまで非常に時間のかかるカンキツですが、この商品は通常2~4年で実をつけます。鉢植でも気軽に楽しめる他、比較的寒さに強いので東北北部以南で地植えが可能です。 10月~11月 日向。霜の当たらない所。
耐寒性/やや強い。寒風や乾風に当たると、落葉や落果しやすくなります。
耐暑性/強い
甘夏ミカン
酸味・甘味が豊かで生食の他、ジャム等の加工用にも適しています。日本では温州ミカンに次いで勢生産量の多い人気品種です。 2月~5月 日向。冬は寒風が当たらない所が適します。
耐寒性/やや弱い
耐暑性/強い

参考文献:

小学館 「フラワーオアシス 庭木・花木・果樹」

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