ガーデンデザインレッスン

Q
紫色のアゲラタム(1年草だとおもうのですが)がまだこんもりと繁ってお花も可愛く咲いています。アゲラタムは環境がよければ、真冬でも咲き続けるのでしょうか。その場所に植える予定の桜草(種から育てた苗)が、出番待ちをしているのですが。
(神奈川・野村美穂子さん)

A

私の住む東京あたりでは昨年は秋の紅葉もいつもよりも遅く従って多くの花が通常より長く持っているような気がします。 アゲラタムは1年草で、英国では10月末くらいまで花が楽しめますが、中には葉の絞り汁を擦り傷や切り傷などに使う人もいますよ。

個人的には地植えした植物は、咲いているうちはそのまま咲かせてあげたい気がします。ですが、植える場所に限りがあってその場所にどうしても桜草を入れたいのであれば、どこかの時点で入れ替えるという決断をするほかはないでしょう。野村さんのお気持ちと状況しだいですね。
(スチュアートアクステル)

Q
四季咲きのバラを育てています。でもこれがなかなか難しいです。なにか励みになるようなアドバイスをお願いします。
(滋賀・新庄明美さん)

A

バラというと、英国では毎年3500万本もの苗や鉢が売れているそうです。その数から見て、英国人のバラ好きと、それから育てることの難しさを推し量れるというものです。

バラの育て方については専門家の書いた本が何冊も出ていることと思います。ごく基本的なことですが以下のような作業が必要なようです。
写真
適切な施肥と剪定、消毒
信頼できる筋から苗を入手すること
基本的に日当たり、風通しがよい場所に植え、バラの病気の伝染源になるような植物をそばに植えないこと
根元付近は雑草を取り除いておくこと。しかしバラの根が比較的浅いところにあるため、鍬などを使って除草し、根をいためないよう気をつけること。
剪定には思ったような形にしたり誘引するということのほか、たくさんの花を咲かせるという目的があります。よく切れる剪定ばさみを使用して、つぼみの5mmほど上を斜めにカットします。

管理の大変なバラだからこそ、咲いたときやその香りをかぐときの喜びもひとしおです。がんばってくださいね。
(スチュアートアクステル)

Q
石灰の使用量に悩んでいます。適量の目安をお教えください。
(奈良・池田知嘉子さん)

A

写真日本では年間を通して雨量が多く、土のなかの塩類とか、カルシウム分が流出してしまうため一般に土壌がやや酸性のところが多いようです。 多くの植物は弱酸性の土を好むため、酸度を調整しなくても育つ植物はたくさんあります。

カルシウムは根の発育に関係しており、土の酸度を調整してくれます。カルシウムが不足すると新芽の部分が黄白色になり芯止まりを起こしやすくなるといわれていますし、逆に多すぎれば土がアルカリ性に傾いて逆に海外では、たとえばオーストラリアの乾燥している地域では、土壌がアルカリに傾いているための障害が問題になっているわけで、またワイン産業などではその土壌を生かした農業が発展しているという面もあります。

石灰を構成するカルシウムというのはペクチンなどの構成物質で、生体内で情報伝達をするときの調整を担っています。 知嘉子さんのお庭の現在のPHがどのくらいかはわからので石灰を入れる必要があるのかどうか、また何を植えたいかによっても、まったく変りますので適量というのはここでは無責任にお答えできないのです。

何事も多すぎてもよくないわけで、通常人間や植物の体にとって、耐えられるカルシウムや塩分の濃度はおよそ海水の1/10くらいだといわれています。石灰質肥料は農業の場合植える作物の好むPHを目標にして施肥量を決定しますが土の状態でもかわります。目安としては現在のPHが5.0〜5.4であれば砂土で10aあたり40kgの炭酸カルシウムを焼く10cmの深さに施します。

いわゆる石灰質肥料と呼ばれるものの中には
石灰石を原料とした生石灰(主成分がCao酸化カルシウム)でアルカリ分は約80%
生石灰を主原料として消石灰(主成分がCa(OH)水酸化カルシウムでアルカリ分約60%
同じ石灰石を原料とした炭酸石灰(主成分がCaCO3炭酸カルシウム)でアルカリ分は約53%
炭酸石灰ドロマイトを原料とした苦土石灰(主成分がCaCo3炭酸カルシウム、MgCO3炭酸マグネシウム)でアルカリ分は約55%です。
などがありますが、施肥直後でも作物に害がないのは炭酸石灰や苦土石灰といわれています。

基本的に土は植物の家ですから、土を健康に保つことが植物の健康につながります。化学肥料を施した日本の土がカチカチになって、今とても病んでいることは皆さんもご存知ですよね。わたし個人的には化学的な炭酸カルシウムのような石灰を加えることはしていません。

どうしても加えたければ草木灰はいかがでしょうか。アルカリ性は強いですが化学的なものと違って土や植物に与える影響は少ないし直接散布すれば虫やウドンコ病にも効果があるようです。貝殻石灰というのもカルシウムとミネラル分を多く含んでいます。土中の貝の化石を掘り出して粉砕したコーラルというのもカルシウムの補給、土壌PHの調整や土壌改良に有効です。それらを購入するときには裏面の使用量を目安にするとよいでしょう。

ガーデニングレッスンの土のところでまた触れるつもりですが、私はそのほかに炭の粉とかパイウォーターシステムの土壌改質剤、土中の有用微生物を活発にする方法などを使っています。

知嘉子さんが土に思いをはせ、その健康を大切に思っていることを知ってとても嬉しく思います。地上部に意識がとられて、土のことはつい忘れがちですものね。これからも素敵な庭をつくってくださいね。
(秋元ふみ子)

Q
庭にどうしても日が当たらない部分があります。日かげに強い植物をどう選んだらいいですか?
(山梨・横山都さん)

A

日陰・シェードガーデンがあるなんてすてき! 日陰の庭をきれいにしている人はまだまだ少ないのですが、日陰こそ魅力的な庭を造るのに適している、と私は思っています。日本の過酷な夏に、外来の多くのお花たちはとても弱くて、夏の間に溶けてしまった、なんてことはよくありますよね。朝の日がしばらく当たって、後は日陰になるようなところで風通しがよい場所だとそういった植物が意外と元気よく育ったりします。ただ日陰と一言で言っても一日のうちで一度も日が当たらない場所なのか、または少しは日が当たるのかによっても、また明るい日陰か暗い日陰なのかによっても、適した植物はかわります。

まずは、都さんのお庭が、どんな日陰か、ということをチェックしましょう。そしてその土が乾燥した土なのか湿気が多い土なのかなども調べましょう。日陰の条件がわかれば植物選びをしてゆきます。

写真落葉高木の下の明るい日影では、秋から春にかけて斜めから光が入り、夏には木漏れ日があたることでしょう。ここでは夏の暑さが苦手な植物や山野草、斑入りの植物、春咲球根などが最適です。また直接光は夏、日が高いときだけあたり、他の季節では日が差さないけれど空が開けている、家や塀の北側などではおよその植物が育ちます。日当たりが好きな植物は少し徒長気味になるかもしれませんが株間を空けて少しでも光が当たるようにしましょう。それはそれで美しいものです。 また東側で半日ほど日が当たる場所ならほとんどの植物は育ちますし、西日を嫌う百合などの植物にはぴったりです。

反対に南北を建物や塀に囲まれたり、生垣に挟まれたりしている狭い場所は暗い日陰ですね。 こういうところでは土は湿り気がある場合がおおいかもしれません。さあ、こんな場所だと使える植物は限られてきますが、そういうところには明るい色のステッピングストーンや敷石、又は砂利などをデザインの中にとりいれ、そこに葉の色が美しいグラウンドカバー類や、また今流行のカラーリーフプランツを組み合わせてはいかがでしょうか?又常緑高木の下も、株元近くは土が乾燥して暗いし、下枝が低いとその下はほとんどいつも暗いです。こういったところではかなり難しいのですが、乾燥に強いグラウンドカバー類のハナニラとか原種のシクラメン、リシマキア・ヌンムラリアなどは大丈夫なようです。あまり暗いときには高木の下枝をすかしたりして調整するとよいでしょう。

どちらにしても、状況を把握した上で、都さんのご趣味にあった花色や、また葉の色や形、テクスチャーなどの面白さを加味して、植物選びをすれば、素敵な空間が演出できると思いますよ。まずは手に入れようとする植物の性質やそれに適した環境などを確かめた上で、自分の庭に合うかどうかを判断されることが大切ですね。 春からが楽しみですね!
(秋元ふみ子)

Q
お庭にネコが入って来て困っています。
ネコの嫌がるハーブも2本植えてみましたが効き目はありません。
(岐阜・飯森初美さん)

A

猫好きで、ニュージーランドでは6匹もシャムネコをかっていた私なので、猫が近隣に問題を起こすことはわかります。当時、「近隣の女王」だったうちの猫を寄せ付けないことに成功した1件の家がありました。お試しになりますか?

1.小さめの容器をいくつか用意する。
2.アンモニアの希釈水を注ぐ。
3.猫が来るガーデンに埋め、容器の上端が土のレベルになるようにする。
4.猫が来る可能性のあるところにはすべて容器をセットする。

犬の場合もそうですが、アンモニアのにおいは他の動物の尿を連想させるので近づかないようになるというわけです。様子を見て、容器の数が足りないようなら増やしたりアンモニアの濃度を調整したり、蒸発した分は随時補充します。安上がりで簡単ですよ。
(スチュアートアクステル)


写真かわいい猫ちゃんですけれど、いざガーデニングをするとなると、お庭をトイレがわりにされて急に猫ちゃんが憎らしくなるお気持ちはわかります。でも一緒に地球に暮らす仲間同士、戦争は避けたいですね。また薬品を使ってこれ以上環境を汚染することも賛成できません。猫ちゃんをよく知って、お庭を彼らにとって居心地の悪い場所にすることで解決できそうないくつかのアイディアをご紹介しましょう。

乾いてふかふかしたところが大好きな猫は、たいてい決まった場所をトイレにしているはず。毎日水を撒くというのも一案ですが、その場所にレンガなどを置いて、上に大きなコンテナ植物を置いたり、バラなど棘のある植物の剪定した枝などを置いたりしてみるのはいかがでしょう。また猫は強いにおいやミカン科の植物のにおいを嫌いますからレモングラスやルーを植えると効果があるはずです。

猫はとてもきれい好きで、体が汚れたり、足の裏にある肉球に痛みを与えるようなものがあるとその場所には来なくなります。ですから園芸店で手に入り、土の肥料にもなる草木灰を撒いたり、またコーヒーのかすをよく乾燥させたものを撒いても効果があります。コーヒーのかすは雑草を防いでくれる効果もあるので私はいつもためておいてマルチングに使っています。 よく乾燥させた卵の殻を砕いて撒いておく作戦も効きますよ。 ・・・などなど他にもまだあるとは思いますが、来るたびに大きな声で脅したり、怒ったりすると、あまり寄り付かなくなるみたいです。心理効果でしょうか。それが一番効いたりして(笑)。

かくいう私も、ひざに猫の「さくら」ちゃんを抱っこしながらこれを書いています。ごめんなさい。私、ガーデニングも、そして猫も比べられないくらいだあい好きなのです・・・。
(秋元ふみ子)


 
  ウィンドウを閉じる