子猫を迎えたら

新しい子猫

ネコちゃんを1頭飼うと、ついもう1頭飼いたくなってしまいます。1頭だけで飼うのと2頭飼うのでは、大変さはほとんど変わりませんし、オーナー様の留守中もネコちゃん同士でなかよく遊べるという利点があります。

 

かしこく選ぶ

「ネコちゃんを飼っているアメリカの家庭では、ほとんどの場合2頭以上飼っています」。こう話すのは、ペンシルバニア大学の獣医師カレン・オーバーオール教授。教授によれば、2頭目のネコちゃんを飼う場合、選ぶ決め手となる要因がいくつかあります

 

種類

他のネコちゃんと仲よくできる性質を持った種類のネコちゃんはたしかにいます。ただしオーバーオール教授によると、ネコちゃん同士が仲よくできるかどうかは、オーナー様のネコちゃんたちへの接し方が重要で、それに比べれば、ネコちゃんの種類はさほど問題になりません。教授は言います。「もしあなたが1頭の猫だけを可愛がることがあったら、それは間違いなく他のネコちゃんに悪影響を及ぼすでしょう」。

 

年齢

すでにネコちゃんを飼っている家庭に新しいネコちゃんを連れてくる場合、その年齢は重要です。「ネコちゃんは、2歳〜4歳までの間に社会的成熟性が発達します」とオーバーオール教授。すでにペットがいる家に連れてくる場合、長期的にみれば成猫のほうが簡単なことがよくあります。成猫は性格がはっきり決まっているので、どう対応してよいかが子猫よりもわかりやすいからです。子猫を連れてきた場合は、子猫のエネルギーが前からいたネコちゃんをイライラさせることもありますが、その一方で、年上のネコちゃんの遊び心を刺激して減量を助け、若々しさをもたらすのも確かです。

 

性別

オーバーオール教授は、ネコちゃんに同性を好む傾向があることを発見しました。「野生のネコちゃんは生来母系社会を営んでいます。血縁同士のメスは、生まれてから死ぬまで一緒に生活します」と教授は言います。オスもオス同士を好む傾向にありますが、教授によると、去勢・避妊を行なっていない場合には、グループの中で力関係を決めるための争いが起こるでしょう。

 

3頭につきもののトラブル

新しく来たネコちゃんは、前からいたネコちゃんに歓迎される場合もありますが、その逆もあります。特に、すでに2頭以上のネコちゃんを飼っているケースがそうです。「2頭だけで仲よくしているところへ新しい1頭を連れてくると、対立の可能性はさらに高まります。ネコちゃんのトリオは不安定で、どうしても2対 1に分かれてしまうのです」と、オーバーオール教授。 ネコちゃん同士が争う主な原因は、食事とトイレです。ストレスを与えられたネコちゃんはトイレ以外の場所で用便をしてしまいます。「新しい子猫を家に迎えた場合、トイレの問題は一番の悩みの種になります」と、オーバーオール博士。広い家ならば、各階にトイレを用意するとよいでしょう。特に小さな子猫の場合には、そうすることが得策です。「ネコちゃんの数より1つ余計にトイレを用意することをおすすめします」と教授は言います。

 

ライバルと食事

もう1つ問題となるのが食事です。食べ物を分け合うのを嫌うネコちゃんもいれば、競争して食べるのを好むネコちゃんもいます。ただし競争しながら食べると、不健康に太ってしまいます。その解決法は、すべてのネコちゃんに専用のお皿を用意してあげること。さらにいいのは別々の部屋で食事させることです。 オーバーオール教授はこう言います。「ネコちゃん同士に互いの姿を見せながら、別々の皿で食事をさせてみて、何の反応も起こらないようなら、95%の確率でそのネコちゃんたちはうまく一緒に暮らせるでしょう」。 ネコちゃんをつけまわすネコちゃんがいます。トイレや食事エリアの陰に隠れて、何も知らずに近づいてくるネコちゃんを待ち構えるのです。この行為は、家で暮らしているペット全員に大きな不安感を与えます。解決策としては、トイレを屋根つきでないものにしたり、もう1つトイレを置くといいでしょう。また安全な食事部屋を確保して、それぞれのネコちゃんがだれにも邪魔されずに食事できるようにしましょう。

 

様子を見ながらご対面

オーバーオール教授は言います。「どのネコちゃんも傷つかないように、気をつけてあげることが大切です。」 今まで一度も子猫を見たことのないネコちゃんに、いきなり子猫を近づけたりすると、ひっかかれる可能性が高いと教授は警告します。 オーバーオール教授は、「前からいたネコちゃんを愛情たっぷりにたくさんかまってやることが大切だと子どもたちに教えたい」と言います。自分も変わらず愛されているのだと安心させてやることが大事なのです。また、前からいたネコちゃんと新しく来たネコちゃんとの関係を通して、誰もが最初から仲よくなれるわけではないことを子どもたちに教えられます。誰でも新しい存在に慣れるのには時間がかかるものなのです。 オーバーオール教授は言います。「1週間か2週間後には家族全員がくつろげて安心できる状況になるでしょう。ちょっとした威嚇やケンカは心配するほどの問題ではありません。」 もしもネコちゃんたちが2週間も絶え間なくケンカしつづけているようなら、医学の助けが必要となるかもしれません。ここでご紹介した方法を試してもうまくいかなかったら、獣医さんに相談しましょう。

わんにゃん栄養学