ネコちゃんのトイレの問題の理由をつきとめ、正すためのヒント
トイレの問題
とてもすばらしいペットなのに、トイレの正しい使い方が分からないらしい…。こんなネコちゃんと暮らすことは、オーナー様にとってイライラの連続でしょう。ネコちゃんがトイレを使わない理由はいろいろあります。落ち着いて理性的に分析すれば、原因や対策を見つけることができますし、うまく直すこともできるでしょう。
粗相
粗相とは、トイレ以外の場所に便やオシッコをしてしまうことです。トイレの使用に関して何か不快なことがある場合によく起こります。本当の理由をつきとめることが大切ですが、よくよく気をつけてみないと分からないかもしれません。問題行動が始まった時期に何か変化がなかったかを思い出してください。それが問題解決の糸口になるかもしれません。
ネコちゃんがトイレ以外の場所で粗相してしまう理由
- 健康上の問題(膀胱炎、腸の疾患、便秘)
- トイレがよく掃除されていない
- トイレ砂の種類が気に入らない(質感や匂い)
- トイレの設置場所が騒がしい
- トイレの近くでからかわれたり脅されたりした
- トイレと食事の場所が近すぎる
- 不安感(オーナー様の長期の不在、体罰、新しいペット、新しく生まれた赤ちゃん)
もしかしたら健康上の問題?
ネコちゃんに健康上の問題があっても、粗相は起こります。この場合、健康上の問題を見極めて対処しないかぎり、ネコちゃんにトイレを使わせようとしてもうまくいきません。
- 以下のような徴候があります:
- オシッコの回数が増える
- オシッコの量が増える
- 排泄の際、体を強張らせつらそうにする
- 血尿
- 下痢や便秘
あなたのネコちゃんにこうした徴候が見られたら、獣医さんの診察を受けることはとても大切なことです。検尿、検便、血液検査などのテストをすすめられるかもしれません。
解決策
問題の原因を突きとめて検討します。粗相の対策は以下の3つがポイントです。
- 1. 原因を取り除く
- 2. トイレを使う習慣をとりもどす
- 3. 粗相をした場所にネコちゃんを近づけない
問題がトイレに関係している場合
- すぐに問題に対処しましょう!
- トイレを掃除する回数を増やします
- 敏感なネコちゃんのために、トイレを人通りの多い場所から静かな場所に移します。
- ネコちゃんが複数いるお家では、ネコちゃん1頭につきトイレ1個を用意したほうがいいかもしれません。
- バスルームのような小さなスペースにネコちゃんとトイレを入れます。ほとんどのネコちゃんは床を汚すよりトイレに排泄するほうを選びます。正しい習慣がつくまでは、ネコちゃんをその訓練スペースに入れておきます。
- ネコちゃんを訓練スペースから出す場合には常に目を離さないようにします。
- 1週間〜4週間の訓練期間中、訓練スペースで正しくトイレを使うことができたら、自由なスペースに出す時間を少しずつ増やします。訓練期間中は、ひんぱんにネコちゃんと遊び、かまってやりましょう。
- ネコちゃんの好みを考えた様々なタイプのトイレが揃っています。ネコちゃんが気に入らなかった場合は、1つのトイレで違った使い方をいろいろ試みるより、まったく違うタイプのトイレに変えてみたほうがいいでしょう。
- たまに、数握り分の土が混ざった本物の砂を好むネコちゃんもいます。その場合は、数週間くらい時間をかけて、徐々にトイレ砂へと変えていきましょう。
- 粗相した場所から臭いを取り除くことが大切です。ネコちゃんの便やオシッコの臭いを消すために作られている市販の製品を使ってみるのも一法です。ほとんどの製品は、オシッコや便に触れて効果を発揮します。使い方は、メーカーの取扱説明書に従ってください。
- 臭いを消すための製品を使う場合、カーペットや他の多孔性の床面では、少しスプレーするのではなく大量に使わないと効き目がない可能性があります。製品が手に入らなければ、お酢とぬるま湯を5対5で合わせたものを使ってください。
- 以前粗相をした場所には、自動アラームを仕掛けたり、食事用の器、寝床、おもちゃなどを置いてブロックしてください。ビニール、アルミホイル、両面カーペットテープなどを貼って保護してもよいでしょう。
- バスタブやシンクをトイレ代わりに使ってしまうネコちゃんの場合、中に3センチほど水を張って用を足せなくしましょう。
- 家具を動かしたりドアを閉めたりして、以前粗相をした場所に近づけないようにします。粗相した場所が部屋の隅だったら、そこにトイレを置いてもいいでしょう。
スプレー行動:この場所は僕のもの!
スプレーとは、ネコちゃんが垂直な面に尻をむけて、霧状の尿をかける行動を言います。 これはマーキング行動です。以下の場合に行います:
- 自分のテリトリーが侵略されていると感じたとき
- 不安なとき
- おとなりのネコちゃんが来たとき、または家にたくさんのネコちゃんがいすぎるとき
外猫やとなりのネコちゃんが来ないようにするためには
外部のネコちゃんの訪問は、スプレー行動を引き起こす要因になります。外猫やとなりのネコちゃんがあなたの家に入ってこないようにしましょう。鳥の餌場、ごみ箱、食べ物など、外のネコちゃんを引き寄せる要素を庭から取り除きます。
- 外のネコちゃんがどうしても敷地に入ってきてしまう場合、あなたのネコちゃんから彼らの姿が見えないように工夫すべきです。外のネコちゃんが見える窓や部屋からあなたのネコちゃんを遠ざけましょう。
- 窓から家具を離す、カーテンを閉める、窓の下枠を変えるなどして、あなたのネコちゃんが外を眺められる部屋がないようにします。
- 家の内側でも外側でも、ドアや窓の周りからオシッコの臭いを取り除きます。
- 家の中にいる他のネコちゃんが要因になっているなら、そのネコちゃんとスプレー行動をするネコちゃんを隔離します。
- あなたのオスのネコちゃんが去勢されていないなら、去勢させることを考えてください。手術を受けるとほとんどのネコちゃんはスプレーしなくなるようです。
してはいけないこと
ネコちゃんに罰を与えることは、ほとんど役にたたないばかりか問題を悪化させます。乱暴だったりタイミングを逸した体罰ならなおさらです。どんな場合であれ、脅かしたり体罰を与えてはいけません。たとえば粗相した場所にネコちゃんの鼻を押し付けたりしても効果はありませんし、問題を悪化させかねません。設置したトイレに無理にネコちゃんを連れて行くことも、トイレの印象を悪くします。 もしネコちゃんが粗相をしている現場に行き当たったら、注意を惹く程度に水鉄砲で水を放ったり大きな音を立てたりします。このとき、注意する水や音を出しているのがあなただと気づかれないようにしてください。 もしこのヒントに従ってもダメな場合は、かかりつけの獣医さんに相談して、専門家のアドバイスを受けましょう。
水にぬれるとご機嫌ななめ
水と油の関係のようにネコちゃんと水とは、上手くいかないことが多いようです。ぶち猫"ジェームズ・マディソン"を例にあげましょう。ジェームズはよく小さな白い前足をバスタブの縁にかけて、シャワーから噴き出す水に驚いている姿を目撃されています。しかしジェームズのオーナー様、ウィスコンシン州マディソンのリン・ジャード氏によれば、ジェームズの興味は水を眺めるところに留まっているそうです。ジェームズは体を濡らそうとはしません。ジェームズを追い払う方法についてジャードさんは語ります。「手を濡らして、あの子の顔に数滴水をはじきとばすだけでいいのよ」。
ネコちゃんが水を嫌がる理由
専門家によると、家で飼われているネコちゃんが濡れるのをいやがることについて考えられる理由はいくつかあります。その諸説によれば:
- 先祖が乾燥気候地域に生息していたから
- 獲物が陸生だから
- 入念にグルーミングするから
水なしで生きていた先祖
ネコちゃんは水に興味をもつのに、なぜ体を濡らそうとしないのでしょうか? 「ネコの行動:獣医のためのガイド」の著者でテキサスA&M獣医学大学の小動物外科学の教授・獣医師ボニー・ビーバー氏によれば、だからといってネコちゃんが水嫌いだというわけではないそうです。たしかに猫も毎日水を飲んでいます。猫は単に体を濡らす必要性がないだけなのです。 ビーバー教授によると、今日のペットとしてのネコちゃんの先祖はアフリカの半乾燥気候地域に生息していました。そうした野生のネコちゃんは、食べ物から水分を摂っていました。環境のせいで、彼らは飲み水なしで生きる術を身につけていたのです。ビーバー教授は、「もしネコちゃんが雨の多いジャングルに暮らし、水に慣れているトラから進化していたなら、今日の姿も非常に変わっていただろう」と述べています。
獲物は陸の動物
カンザス州ウェストウッドの開業獣医師であり「犬と猫の問題行動ハンドブック」の共同著者でもあるウェイン・ハントハウセン氏は、ネコちゃんが狩のために泳ぐ必要がない点も指摘します。「彼らの獲物は陸生です。食べ物を狩るために泳ぐ必要がないのです」。 このようにネコちゃんは水を嫌っているわけではありません。そのように見えるのは、何百代も昔の先祖から受け継いだ本能が、足先を水につける必要などないことを教えているからなのです。
ネコちゃんはひどくきれい好き
これらの獣医さんたちは、ネコちゃんが念入りにグルーミングする習性も忘れてはいけないと言います。水はネコちゃんの被毛を変に乱してしまうので、元に戻すにはたくさんなめるはめになります。 つまりマディソンの行動には、何の不思議もないのです。そう、マディソンには洗濯室に洗濯機の排水を見に行くだけの好奇心はあります。しかし本能の逆らいがたい命令にあえて反するほどの好奇心はないのです。ジャード氏は語ります。「マディソンは頭を水にくっつくほど近づけますが、前足で水に触ることはけっしてしません」。
愛猫を登らせないために
ネコちゃんの楽しみといえば、高いところから世界を眺めることです。ネコちゃんはそれをいちばん楽しいと思っています。しかし困ったことに、ネコちゃんたちはよくとんでもない場所にまで登ってしまいます。本棚やたんすの上などに登って壊れやすいものを落として壊してしまうのです。 ネコちゃんを高いところへ登らせないようにするのは難しいことですが、その方がネコちゃんのためです。家具から家具へ飛び移っているときや、植木スタンドのような不安定なものに飛び上がったときに、足がもつれて転び、ケガをしてしまうことがよくあるからです。
ネコちゃんをあちこち登らせない5つのヒント
- 飛び上がる際の踏み切り台を別の場所に移動してしまいましょう。ネコちゃんが高い本棚に登るとき、近くの椅子を踏み切り台にしているなら、その椅子を動かします。踏み切り台がなければ高い場所へ行けません。
- ドアノブ用アラームをカーテンに取り付けます。カーテンにピンで留めておけば、ネコちゃんがカーテンをはしご代わりに使おうとするたびアラームが鳴ります。カーテンを垂直のブラインドに替えてしまうのも手です。
- ネコちゃんの通り道に物を置いてしまいます。鉢植えの植物や大きな本をいくつか置いておけば、棚やたんすの上に乗らなくなります。
- キャットタワーのようにもっと心地よく過ごせる場所を用意してやります。キャットタワーはほとんどのペット専門店で売られていて組み立ても簡単です。器用な方なら自分で作るのもいいでしょう。
- 窓につけるネコ用の台もおすすめです。簡単に設置できますし、ネコちゃんはそこで何時間も楽しむことができます。窓の外の庭側に小鳥のえさ場を用意すればネコちゃんも見て楽しめます。窓はきちんと閉めてネコちゃんが外に落ちないようにしてください。
ネコちゃんの行動を変える方法
あなたのネコちゃんがこちらのメッセージを理解せず、あちこち登りつづけるようなら、驚かせてやめさせる方法もあります。水鉄砲、笛、お手玉などを使ってみましょう。ただし、ネコちゃんがあなたのことを水や音、突然飛んできたお手玉などと結びつけて考えないように気をつけてください。もし結びつけてしまうと、むやみにあなたのことを怖がるか、あるいはあなたのいないところで悪さを続けるようになります。いくつかヒントを挙げてみましょう。
- 水鉄砲や笛を使うときはネコちゃんと目を合わせないようにします。ネコちゃんが高い所に登ろうとするたびにネコちゃんの近くに(ネコちゃんではなく)水鉄砲の水を飛ばしたりお手玉を投げたりして、気がつかれないうちにその場を離れます。怖がらせるのではなく、不快にさせるようにしましょう。
- ネコちゃんが登る家具の上に一時的にアルミホイルを貼ります。ホイルの音や感触を嫌がるからです。
- ネコちゃんがいけない場所に登るたびに鳴るようなアラームシステムを取り付けます。鳴ったあとにリセットされるようなものが最適です。
- いけない場所にネコちゃんが登っている現場を押さえてもどなったりぶったりしてはいけません。体罰はオーナー様とネコちゃんの関係を台なしにしてしまい、他の破壊行動に走らせることがあります。
- ネコちゃんが何か壊れやすい物のそばに登っているときに、水鉄砲や笛を使ってはいけません。怖がって飛び上がり、物にぶつかって床に落としたりネコちゃん自身がケガをする可能性があります。
ひっきりなしに鳴くことに対応するには
ノースカロライナ州のローリー出身の看護婦ナネット・ヴォーンさんは、シャム猫がおしゃべりなのをよく知っていましたし、それがシャム猫を飼いたいと思った理由のひとつでもありました。やがて家にやってきたシール・ポイントの子ネコマンディがさかんにおしゃべりしはじめると、ヴォーンさんはもっと鳴くようにしむけました。しかし1年後にはマンディを静かにさせるのに四苦八苦することになったのです。(あなたの家族に合ったペットを選ぶには? ここをクリックしてください)
鳴くのには目的があります
ヴォーンさんはこう言います。「たしかにシャム猫はよく鳴くものです。でもマンディは朝から晩まで鳴いているんです。頭がおかしくなりそうです。どうやってやめさせたらいいのか、方法が分かりません」。 「絶え間なく鳴くネコちゃんは、オーナー様を訓練しているのです」。動物行動学専門医でノースカロライナ州ラリーのNCSU獣医学大学助教授バーバラ・シンプソン獣医師はこう言います。「鳴けばネコちゃんは欲しいものをたやすく手に入れることができます。オーナー様があげてしまうから、そう思い込むようになるのです」。
おしゃべりなネコちゃんのための作戦
ひっきりなしに鳴くのをやめさせるためのヒントです
- 無視する これはネコちゃんがひっきりなしに鳴くのをやめさせるには最も有効な手段ですが、最も難しい手段でもあります。普通、鳴き声はおさまるばかりか、ますますひどくなるでしょう。でも結果的にペットは鳴きつづけても効果がないことを学ぶはずですから、どんなにひどく鳴かれてもあきらめないでください。
- やめさせる ネコちゃんが朝4時に起き出してあなたを起こすために鳴き出すなら、ドライヤーの風をさっと吹きつけたり、水鉄砲の水をちょっとひっかけたりして驚かせてみます。ネコちゃんがあなたのことを不快な風や水と結びつけて考えないように、上手にやってみてください。
- 気をまぎらわす 猫は退屈するとよく鳴きます。退屈したときに遊べるよう、ネコちゃんのそばにいつもいくつかおもちゃを置いておくようにしましょう。
- 規則正しい日課を守る ネコちゃんは習慣にこだわる動物です。その習慣が変わると気が動転してそれを知らせようとします。規則正しい日課を守ればネコちゃんも安心して暮らせます。
- 重要な合図 「普段はおとなしいネコちゃんが突然、ひっきりなしに鳴くようなら病気の可能性があります」。フロリダ州レイクワースのアニマル・ヘルスケア・センターのマーク・デュー獣医師はこう語っています。「食事やグルーミング、トイレの際につらそうに鳴くようなら、すぐにかかりつけの獣医さんに診察してもらいましょう。」
ヴォーンさんはどうしたでしょう?獣医さんに相談したところ、マンディのゆきすぎた鳴き声を断固として無視するようにアドバイスされました。「マンディとは日に何回も遊んで愛していることを分からせるようにし、それ以外のときには無視するようにしました」とボーハンは言います。その結果、「3週間もかかりましたが、マンディもようやく理解してむやみに鳴かなくなりました」。
猫はボディランゲージで話します
一部の人たちは、猫は人に対して距離をおいて、コミュニケーションが上手にとれないと言います。猫は生来、孤独で自立心が強い動物だというのです。しかし、このような方々はおそらく猫と一緒に暮らしたことがないに違いありません。きっと猫が「愛してる」というしるしに人の足に体をすりつけるしぐさや、「窓の外に何かおもしろいものがあるぞ」というときにピンと立てる尻尾を見逃しているのです。 猫は犬のように絶え間なく声を出すことはしません。ボディランゲージで話すのです。その独特の言葉づかいを理解してあげてください。
体の動き
ボディランゲージは猫の自然なコミュニケーション方法であると同時に、オーナー様にとっても猫の要求や感情を知る手段となります。猫のしぐさを理解するのに助けが必要でしたら、以下にあげる初心者向けボディランゲージ入門編を参照してください。
- 背中を弓なりにして毛を逆立てる。子猫の場合は「一緒に遊ぼうよ!」という意味です。でも成猫の場合は「放っておいてくれ」という意味。特に低いうなり声、こわばった動きでこちらを凝視しているならそういう意味です。
- 前足で踏み踏みする動き。このしぐさはもともと子猫特有の動きですが、成猫にもみられることがあります。おそらくは子猫時代のなごりをこれという理由もなくひきずっているのでしょう。ほとんどの猫は気分のいい時にこのしぐさをします。
- 人の足にすりよる動き。これは猫本来のマーキングのしぐさです。顔の分泌腺から出るフェロモンをくっつけて、あなたや家族を心地よい仲間の香りにしているのです。足にすりつくのは飼い主との関係を強化する動きでもあります。普通このしぐさをすると、なでてもらえたり注意を向けてもらえたりするからです。
- 足の動き。前足を曲げているのは、戦う気はないが必要なら自己防衛することを示しています。足が完全に伸びきっているなら、猫が自信を持って攻撃の準備をしているしるし。後足が曲がっているのは迷いやためらいのしるしです。
- 後ろに耳を寝かせる。これは以下の2つのうちどちらかを意味しています。耳が後ろに寝たまま体の動きがぴたっと止まっているなら、状況を見極め次の動きを準備しているところです。一方、体を低くふせている場合は、おそらく申し訳なく思っているのでしょう。カーテンがぼろぼろになっていないか、ソファで爪とぎをされていないか調べたほうがいいでしょう。
- ぴんと立った耳。普通は周囲で起こっていることに興味を示しているしぐさです。でもこのしぐさのバリエーションは時としてまったく違った意味を示します。高く掲げた頭は支配、低く垂れた頭は服従、縮めた首は退屈をあらわします。(あなたの猫は退屈していませんか? 運動が必要なのかもしれません。)
声
- ゴロゴロとのどを鳴らす。猫は気分がいい時ノドをゴロゴロ鳴らしますが、他の感情を表現している可能性もあります。痛みや恐怖を覚えている時、何かうれしいことを待ちわびている時などです。
- シューという声。このような声を出している時は機嫌がよくありません。そっとしてあげましょう。
尾の動き
- 尾をぴんと立てる。普通は、猫が窓の外に興味を引くものを見かけたときなど、興奮したときのしぐさです。ただし獲物を見つけた時や縄張りを主張する時のしぐさでもあり、攻撃の前ぶれでもあります。その場合は気がおさまるまでそっとしておきましょう。
- 尾をたたみ込む。子猫が恐怖を覚えたときにするしぐさ。特に耳が平らになり、目を見開いてうなっている場合はそうです。怖がっている猫は噛んだりひっかいたりします。そっとしておきましょう。
- 激しく尾を振る。尾を左右に大きく振るのは不快感のしるし。一方、小さく動かすのは興奮や好奇心を示しています。
- 尾を震わせる。多くの人は猫があらわす最上級の愛情表現だと信じています。このしぐさは普通、お気に入りの人に対してしか示しません。
その他のしぐさ
- むっつりしている時。猫がむっつりした表情を示すのは退却のしるし。戦いの場面で優位な猫は敵を凝視します。一方、視線をそらす猫は相手の敵対心をあおるまいとしているのです。人間が猫を凝視すると、その人は猫にとって支配的な敵ということになります。人間は猫より大きいので、猫はむっつりしたような表情できびすを返し歩き去ります。むっつりした表情をやめると、普通は静かにリラックスしてノドをゴロゴロ鳴らし始めます。
- ひっかく。猫があなたの新しいステレオのスピーカーや革張りの椅子をひっかくのは、注意をひきたいからです。飼い主に「私を見て!私はここにいるんだよ!」と訴えているのです。
- おなかを見せる。愛猫が床に転がっておなかを見せるのは最高の敬意のしるし。あなたを信頼しているという表現です。
- 体を低くする。猫が体を低くして地面をはうように進むのは、こっそりと攻撃の準備を整えているしるし。ご用心、あなたの素足に飛びかかろうとしているのかもしれません。
- 私をなでて。専門家によると、猫は子猫時代の記憶を大人になるまで持ち続けるそうです。猫は人間をお母さんだと思っているのです。なでるあなたの手に、猫は毛づくろいしてくれるお母さんの舌を思い出しているのかもしれません。
- 体のサイズ。愛猫が体を膨らませるのは、敵に対して体を大きくみせたいから。敵を威嚇しようとしているのです。
トラブルを知らせるボディランゲージ
ボディランゲージによっては病気を意味する場合もあります。以下のような場合は獣医さんに診察してもらいましょう。
- ものを食べない。
- 人のいるところから引っ込んで丸くなっている。
- グルーミングしようとせず、毛がぼさぼさになっている。
- ひんぱんにくしゃみをする。
- 絶え間なく爪とぎをする。
- おしっこをしづらそうにしている。
- 息が乱れている。
愛猫と引越し
家族のほかのメンバーと同じく、あなたのネコちゃんも新しい場所に慣れるのには時間がかかります。しかしうまく計画を立てれば、ネコちゃんの恐怖を最小限に抑えることができます。スムーズに転居をさせるコツをあげてみましょう。
引越しの前に
- 転入する地域の、猫を飼う際の規則を調べておきましょう。
- 必要な予防接種を受けていることを確認し、獣医さんに相談して必要なら移動中のための鎮静剤をもらっておきます。獣医さんのカルテのコピーをもらいます。
- 出発の4時間から6時間前に食事を与えます。
- 出発前に、少しの間だけネコちゃんを新しい猫用トイレに置いてみます。(猫は自分のテリトリーをマークするために新しい猫用トイレに用を足すでしょう。)
移動中は
- 予防接種証明書を携帯します。
- ネコちゃんの首に引越し先の情報を書いたタグをつけておきます。迷子で見つかったとき知らせてもらう電話番号も忘れずに。
- ネコちゃんのお気に入りのおもちゃやおやつをキャリアーに入れてあげます。ただし乗り物酔いを防ぐために、食べ物の量は控えめにしてください。
- おなかを壊さないよう、前の住まいの水を飲料水として持っていったほうがいいでしょう。ネコちゃんが神経質になっていて水を飲まない場合は、獣医さんからもらったシリンジで口に水を数滴たらして様子をみます。
- 移動中はネコちゃんをペット・キャリアーに入れたままにしておきましょう。車の中を歩かせるのは停車している時だけにしてください。
移動後は
- ネコちゃんの食器、ペットフード、トイレをすぐ出してあげましょう。前の住まいとほぼ同じ場所に置いてあげます。
- 新しい獣医さんに予約を入れ、ネコちゃんを診察してもらい、状態を評価してもらいましょう。
子猫と前からいたネコちゃん
大ゲンカさせずに、新しい子猫を前からいたネコちゃんに紹介する方法
先住のペットの性格
あなたの家で暮らしているワンちゃんやネコちゃんが仲よくしているからといって、新しく連れてきた子猫を喜んで寛大に迎え入れるとは限りません! 前から暮らしているペットがやさしい性格ならば、どんなペットを連れてきてもやさしく迎え入れてくれるでしょう。しかし、やさしい性格のワンちゃんやネコちゃんも、新しい子猫の出現には気を動転させているのです。 新しい子猫を家に連れてくる前に、前からいるワンちゃんやネコちゃんに今まで以上に愛情を注ぎましょう。あなたにまだ愛されているということ、新入りの子猫が来たからといって家での地位が危うくなるわけではないことを知らせてやる必要があるのです。
新しい子猫
新しい子猫を家に連れてきたら、まず、他のペットから隔離する必要があります。誰のものでもないテリトリー(前からいるペットのお気に入りの寝場所ではいけません)を選びましょう。こうすれば前からいるペットを安心させる時間もでき、新しい子猫を他のペットたちの攻撃的な態度にさらさずにすみます。
子猫のための場所
子猫の部屋に寝床、爪とぎ、トイレ、食事と水の器、おもちゃを用意します。子猫を部屋に入れ、あなたが見ている間、部屋の中をちょっと探検させましょう。それから少しの間、子猫が新しい環境に慣れるまで独りにしておきます。 子猫は最初のうちは、部屋の隅のほうに隠れたりするかもしれません。そうしたら、うまく連れ出してなだめてやりましょう。でも決して急いではいけません。子猫は少しずつあなたに慣れていくでしょう。
ファーストコンタクト
動物たちは匂いでお互いを知ります。前からいるペットは子猫がいるドアの隙間を念入りにくんくん嗅ぐでしょう。子猫もドアの向こう側で同じことをするのです。 1 日か2日たったら、前からいたペットが子猫にどんな反応を示すか見てみましょう。一般には、ワンちゃんはドアをひっかいたりしっぽを振ったりして子猫に興味しんしんの様子を示し、ネコちゃんはのどを鳴らして好奇心満々で友好的な態度をとります。ただしあなたのワンちゃんがドアに向かってうなったり吠えたり、ネコちゃんがカーッと威嚇したり気が動転しているようなら、子猫と会わせるのをもう数日待った方がいいでしょう。
ゆっくり急がず!
前からいたペットの子猫に対する態度が友好的になったら、お互いが見えて匂いをかげる大きさだけドアを開け、ペット同士を会わせます。オーナー様は側にいてよく見張っていてください。反応を見ながら少しずつドアを開けていき、動転せずにお互いの姿が見られるようにします。対面させるまでに数日かかることもありますが、たいていはこの方法でうまくいきます。 ペット同士の初めての顔合わせは短く、できれば穏やかにすませたいものです。前からいたペットが犬の場合はリードでしっかり押さえ、子猫を追いまわして脅かすことがないようにします。 無理強いはいけません。ペットたちが望むままに近づけたり遠ざけたりさせます。ペットたちが同じ部屋に問題なくいられるようになるまで、あなたの監視のもと、短い紹介手順を必要なだけ繰り返します。ペットたちはすぐに仲よくなるものではありません。それなりに時間がかかるのです。
それぞれの場所を作る
新入りの子猫にテリトリーを盗られるわけではないと、前からいるペットを安心させてやる必要があります。ペットにお気に入りの寝場所があるなら、子猫をそこで寝かせないこと。子猫には専用のおもちゃを用意しましょう。 動物は、自分の食べ物や器に所有権を主張します。子猫には子猫用フードを食べさせなければならないのですから、他のペットとは別の器を使い、できるだけ離れた場所で食事をさせるのが理想的です。 前からいたペットと新しく来た子猫。どちらかがどちらかを食事の場所から追い払うことがないよう見張りましょう。子猫用フードは生後12カ月までのネコちゃんに合わせて作られています。子猫はしばらくの間、ドアを閉めて別の部屋で食事させたほうがいいでしょう。 前からいた成猫が太りぎみの場合、子猫フードのような高カロリーは必要ありませんし、成猫が減量用のフードを食べている場合、子猫が同じものを食べると成長に必要な栄養を満たすことができません。 ペットそれぞれのライフステージに合ったフードをあげることが大切です。
猫トイレ
2頭以上のネコちゃんがトイレを共有できる例もありますが、多くの成猫は、相手の存在を認めるまでは子猫とトイレを共有するのを嫌がります。 トイレを2つ用意すれば、前からいるネコちゃんが反抗の印としてトイレ以外の場所で粗相するようなことがなくなります。
友達か、友好的な敵か、敵か?
前からいるペットと新しく来た子猫が完全に仲よくなるには、1年あるいはそれ以上かかることもあります。あるいは、決して友達にはならず、単に相手の存在を許す程度にとどまるかもしれません。 互いによそよそしい態度をとっていても、ほとんどのペットはオーナー様が留守のときには他の生き物が家にいたほうがいいと思っています。普通、ほとんどのペット同士は親友とまではいかなくても、そこそこの友好関係を築き上げます!
子猫を家に連れてくる前に
- かかりつけの獣医さんへ連れていって診察を受け、病気や寄生虫がないか確かめましょう。
- 前からいるペットの予防接種がすんでいるかを確認します。
- ペットがお互いに去勢・避妊ずみだと攻撃的態度は少なくてすみます。子猫は適切な年齢に去勢・避妊をさせます。
子猫を家に連れてきてからは
- 子猫を家に連れてきたら、まず他のペットから隔離します
- 子猫を以前からいたペットと少しずつ会わせます。
- 先住ペットのテリトリー権を確保してあげます。
- 子猫に、ほかのペットとは別の食事用の器、水用の器、おもちゃ、トイレを用意します。