雪割草の育て方

早春に咲く雪割草は春を告げる植物で、花色・花形ともに豊富で魅力のある植物です。
高山で咲くサクラソウ科サクラソウ属のユキワリソウとは、別の植物です。


MEMO

雪割草
学名:Hepaticaキンポウゲ科 ミスミソウ属

作業カレンダー


雪割草分布図

オオミスミソウ:花や葉が大きく、花形・花色の変異が多いです。
ミスミソウ(三角草):葉先が三角にとがり、花の萼片は他の種類よりやや多いです。
スハマソウ(州浜草):花色は白花が殆どで、萼片が6〜7枚です。葉は丸みをおびています。
ケスハマソウ:葉の表面に毛があり、葉の形は丸みを帯びています。


1.雪割草の花形

雪割草の花の構造は、正面から見ると花の中心に緑色の部分が有りますが、これは雌しべです。それを囲んでいるのが雄しべです。雄しべの背後に花びらがありますが、花弁でなくがくであり、花弁状に変化した物です。花の背後にあるがくのような物は苞です。

標準花

雄しべ、雌しべともに正常な状態


乙女咲

雄しべがほとんど消えた花


二段咲

雄しべが花弁状に変化した花


三段咲

雄しべが小さな葉のように変化した花


カラコ咲

雄しべ、雌しべが各々異なった花弁の花


千重咲

雄しべも雌しべも小さな花弁状になり、花びらが100枚以上になる花


2.雪割草が好む栽培条件
(オオミスミソウの場合)

雪割草の一つであるオオミスミソウは、落葉樹(コナラ、カシワ等)が生育している中に、常緑樹(ヒメアオキ、シラカシ等)が点在しているようなところに自生しています。開花中から葉が固まるまでには日が充分にあたり、梅雨明け頃までには落葉樹の葉が茂り程よく日よけになり、夏場でも涼しく過ごせ、秋になり木々の葉が落葉し、冬には雪で寒さから守られるような所で育ちます。花は、晴れの日の昼間しか咲きません。しかし、雨の日や夜間でも開花します。品種にもよりますが花は10日間くらい楽しめます。

3.開花中と夏場の置き場

開花中

開花中は、南側の日当たりの良い所に置きます。花後は、新しい葉が展開するので引き続き日当たりの良い所で管理します。


夏場

夏の日差しは強く、葉やけを起こしやすいです。80%くらいの遮光の日よけの下で管理するか、朝数時間日の当たる木下や建物の影に置きます。


4.雪割草の植え替え・株分け

1.長年植えたまま株は根腐れや根詰まりを起こしやすくなるため、植え替え及び株分けを9月に行います。


2.鉢から株を抜きます。根の間に竹ばしを入れ、根をほぐして土を落として行きます。根鉢をくずして、腐った根やネコブセンチュウを除去します。


3.株分けをする場合は、分ける株に花芽が2芽以上あり、各々の芽に根があればその数分だけ株分けが可能です。


4.植え込み用土は、弱酸性用土であれば何でもかまいませんが、弱酸性用土の鹿沼土は排水がよく、乾くと白っぽくなり分かりやすいです。また、鹿沼土のみでは乾燥しますので保水性のある赤玉土を混ぜます。鹿沼土中粒8と赤玉土中粒2の割合の混合用土がよいでしょう。乾燥しやすい所では赤玉を多めにします。鉢の深さの4分の1位まで用土を入れ、根を広げて株を置きます。鉢と株の間、根の間に用土を入れ割り箸などで突付いて植え込みます。


5.植付けが完了したらたっぷりと水を与えます。


5.雪割草の実生での増やし方

雪割草は、自家受粉により種ができますが、丁子咲きや乙女咲きには花粉ができないため、交配したい花の花粉を綿棒でつけるか、雄しべごと切り取り雌しべにつけます。雪割草の標準花であれば、花後に福寿草などと同じようなコンペイトウの形の種をつけます。土にこぼれた種は12月〜3月間に発芽します。


種が少量の時は浅鉢に、多い時は育種箱やミニプランターなどに蒔くことをおすすめします。用土は、鹿沼土の小粒を使い種を蒔きますが、覆土しなくてもよいです。置き場は、明るい日陰に置き、乾燥しないようにします。


双葉が出てから約1ヶ月後に、ポットなどに植え替えます。やがて本葉が出て、それ以後毎年秋に植え替えていきますと、発芽より2年後くらいには花が咲き始めます。


6.雪割草の水やり

開花中から新葉がしっかりする6月頃まで毎日たっぷり与えます。夏は鉢内温度を下げる意味で夕方にたっぷり与え、秋は、表土が白っぽくなる前にたっぷりと与えます。冬は乾き過ぎないようにたっぷりと与えます。


7.雪割草の肥料

元肥として緩効性化成肥料を根の上部に置きます。そして、目安として月に1回薄めの液体肥料を水やりがわりに施します。開花中には肥料は施しません。


8.雪割草の花後の手入れ

葉茎を付け根からつみとります。早めに花柄を摘み取ることにより、灰色カビの防止になります。鉢の上に落ちた花びらなどから発生するためです。


5月頃、古葉と枯れ葉を元から切り取ります。この時、新葉を傷つけないように注意します。


9.病害虫対策
(炭素病、灰色カビ病、軟腐病、ハダニ)

病気

1.炭素病 発生時期:春と秋

「症状」

葉の縁から枯れ全体に広がります。

「対策」

予防として銅水和剤を散布します。発病後は効き目がありません。病気の葉は切り取ります。

2.灰色カビ病 発生時期:開花時期です。低温多湿で発生。

「症状」

花弁が褐色になり、その後カビが発生し、新葉にうつります。ひどくなると全体をからします。

「対策」

薬剤による予防は期待できません。市販されてる灰色カビ病の予防薬の中に雪割草では、薬害が出るものもあります。カビを予防する為にも、花には水をかけないようにします。

3.軟腐病 発生時期:秋に特に多発します。

「症状」

時際や地下部は腐敗してやわらかくなります。

「対策」

ストレプトマイシンなどを散布します。

害虫

1.ハダニ 発生時期:高温乾燥時の夏に発生しやすいです。

「症状」

葉の裏が褐色になり、表面が黄ばんできてやがて葉が枯れます。

「対策」

ケルセンやアカールなどの殺ダニ剤を梅雨明け前から1週間ごとに葉の裏に散布します。ハダニは乾燥を好むので、葉水をします。

2.ネコブセンチュウ 発生時期:3〜12月

「症状」

根がこぶ状にふくらみます。生育が目に見えて悪くなり、満足に花が咲かなくなったりします。

「対策」

1年に1回オキサミルをまいておくことで完全に防ぐことが出来ます。※農薬はラベル等に記載されている使用基準に従い、適用のある植物に使用して下さい。

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