球根の基礎知識

球根植物は、地下に「球根」という養分貯蔵器官をもっています。またこの器官によって新しい球根を増やし、子孫を繁栄させる植物です。


作業カレンダー


植え付け時期によって習性が異なる

春植え球根

例)アマリリス、ダリア、グラジオラス、アガパンサス、カラー
熱帯地方原産の植物が多い
↓晩秋は低温で地上部は枯れ、休眠
↓低温で枯死しやすいので、通常は掘り上げて室内で貯蔵する
↓寒さが和らいだ4月頃に植え付ける
↓夏〜秋に咲く


夏植え球根

例)リコリス、サフラン、コルチカム、ダイヤモンドリリー
寒さに強い
↓花の後に、冬じゅう葉が伸び続ける
↓春に枯れ、休眠に入る
↓植え付けは休眠が終わりそうな8月ごろ
↓秋に突然花が咲く


秋植え球根

例)チューリップ、アネモネ、クロッカス、フリージア、ムスカリ、ラナンキュラス、ユリ、スイセン、ヒヤシンス
夏に雨が降らない地域に自生するものが多い
↓気温が上昇すると、葉が枯れ、休眠に入る
↓夏に十分に休眠させないと、生育が悪くなる
↓寒くなってきた秋に植えて、冬を越す
↓春に蓄えた養分をフルに使って花が咲く


球根のかたちはいろいろ

鱗茎

チューリップ、ヒヤシンス、スイセン、アマリリス、ユリ、リコリスなどタマネギ型。これをふたつに割ると、断面には、中心部に茎や葉、花になる部分があり、それを取り囲むように、鱗片がついています。

球茎

クロッカス、グラジオラス、フリージアなど鱗茎と同じように、多くは茶色の皮に覆われていますが、割ってみると、層に分かれているのではなく、茎が肥大してそのまま球状になっているのがわかります。

塊茎

アネモネ、カラー、カラジウム、グロリオーサなど短縮した茎が肥大化して塊状になっているタイプ。球形と違い、皮で覆われてはいません。年々球根が更新されたり、肥大化します。

塊根

ラナンキュラス、ダリアなど根が肥大して塊状になり、そこに養分をたっぷり蓄えたものです。上部にクラウンと呼ばれる茎の基部があり、ここに芽をつけます。

良い球根を選ぶ

球根を消毒する

植えつける前に殺菌、殺虫剤で消毒します。例えば、ベンレート1000倍液などに浸した後、陰干ししてから植えつけます。また、ネダニの防除を行う場合は、植え付け前に球根をスミチオンの溶液に1時間くらい浸しておきます。


土づくり

地植えで育てる…

深さ20〜30cmを耕し、堆肥(バーク堆肥、腐葉土、ピートモスなど)を1平方mあたり5〜10リットル、土全体によく混ぜます。

コンテナで育てる…

市販の培養土を使うか、赤玉土(小粒)と腐葉土(またはピートモス)を7:3で配合した土を用います。

MEMO

夏場は根腐れしやすいので、パーライトや鹿沼土などで、通気性、排水性を良くしましょう。

植え付けの深さと間隔

購入した球根のラベルによく表示されていますが、一般的に球根どうしの間隔は球根1〜3個分、深さは球根の高さの3倍程度が適当です。球根草花の植え付けの深さはそれぞれ少しずつ異なります。


水やり

地植えで育てる…

植え付け直後も成長中も水やりはしません。ただ、夏や冬に晴天が続いて土が乾燥したときに1ヶ月に1〜2回程度、水を与えます。

コンテナで育てる…

自然の土の湿気になじむ植え付け後2〜3日目までは与えません。以後、土の表面が乾いたら水を与えます。

追肥のタイミング

春植え球根…

2ヶ月に1度

夏植え球根…

花後と、冬の間に1〜2度

秋植え球根…

2〜3月と花後

花がら摘み

花が咲き終わったら、早急に花がらを摘み取ります。放っておくとカビが発生します。花首の部分から手でもぎとりましょう。刃物を使うと、ウイルス感染の恐れがあるからです。

掘り上げ

地上部が枯れてくると、休眠期に入ります。葉の緑色が3割ぐらいまだあるうちに球根を掘り上げます。掘り上げた球根は、茎葉を取り除き、分球するものは分球し、表面が乾いてからミカンの袋などに入れ、風通しの良い場所に吊るします。


MEMO

天気の良い日に掘り上げましょう。乾いていないと、土が落としにくく、球根を傷つけてしまうこともあります。

よくある失敗例…


MEMO

球根植物は、球根という貯蔵タンクを持っているので、正しく植えれば自分の力で根を出し、いつのまにか花を咲かせる、初心者でも育てられる植物です。楽しく育てて、色鮮やかな花をたくさん咲かせましょう。

参考資料:
花づくり大百科(主婦の友社)
ガーデニング基本大百科(集英社)

関連情報:

関連ページ:
園芸館 菜園&ガーデン倶楽部