ハムスターの育て方

1.ハムスターのからだのしくみ


●げっ歯目(げっしもく)
ネズミ科キヌゲネズミ亜科(夜行性)


暗いところでもよく見えます。でもまぶしいのは苦手。
寝起きや怖いことがあったら耳が寝ます。
興味がある音には、耳をピンと立てます。
食べ物のにおいをはっきりかぎわける。
ひげ せまいトンネルの中でトンネルの大きさを測ったりして、まわりの状況を調べます。
ほおぶくろ 大きいハムスターでは、ヒマワリの種が60個も入る。
においの腺 ここから、それぞれ違ったにおいを出します。
自分のなわばりににおいをつけたり、他のハムスターに出会ったときに、においをかぎ合います。
しっぽ 短くて、産毛が生えています。
前足 指に見えるのは4本だけ。
親指の部分は小さなでっぱりになっていて、エサを持つ時にこのでっぱりで支えます。
後ろ足 後ろ足の指は5本あります。

2.げっ歯目の特徴(ハムスターの特徴)


げっ歯目とはかじる歯(齧歯)と書きます。
とにかくなんでもかじります。常にかじっていないと命に関わってくるからです。
ネズミの歯は4本にみえますが、ハムスターには実に16本の歯があります。その内前歯の4本だけが一生伸び続けます。
柔らかい物ばかりかじっていると前歯は伸び続け、やがて下あごや鼻に突き刺さります。これを防ぐために木をかじらせる事がもっとも良い方法です。


食糞 食糞といって糞を食べ、もう一度栄養分を吸収しようとする習性があります。
ほおぶくろ 頭部からアゴにかけて両側にあります。種や草を巣に大量に蓄えるために、噛みとったものをそこに貯めて運搬します。
巣穴 野生下では乾燥地帯に生息し、地面に巣穴を掘って、基本的に単独で生活しています。
夜行性 昼間は眠り、夜活発に活動します。また、水浴びや日光浴はしません。直射日光には弱いです。
雑食性 野生下では、植物の種や葉、茎以外に、昆虫なども食べ、水は食べ物に含まれる水分や、植物、それにつく夜露などから摂取します。
冬眠 冬季温度が下がるとほとんど巣穴から出ず、動きが鈍くなり、擬似冬眠に入ります。
ただし、飼育下のような室内で適温を保つと冬眠はしません。
寿命 約2〜3年

3.ハムスターの種類

大きい種類 小さい種類 極小種類
ゴールデンハムスター ジャンガリアンハムスター ロボロフスキーハムスター
アジア、レバノン、イスラエル等中近東 カザフスタン、シベリア南西部 ロシア
短毛種と長毛種がおり、カラーリングも豊富 性質が温和な小型ハムスターで人に慣れやすく飼いやすく最も人気がある種類。 ペット用ハムスターの中では最小、臆病で動きも早い

このほかにも、ドワーフハムスター、キャンベルハムスター、チャイニーズハムスター、ヨーロッパハムスターなどといった種類があります。


4.ハムスターの管理のしかた
(適温、食べ物、水、床敷材)

ハムスターを飼い始めると、かわいくてベタベタ触ってしまいがちですが、ストレスを与えてしまうだけなので、ハムスターのことを考えて、しばらくはそっとしておいてあげましょう。ただし、エサはきちんと与えてください。


適温 ハムスターが最も過ごしやすい適温は20〜23度前後。
また、急激な温度変化は避け、透き間風やエアコンの風などに直接さらさないように気をつけます。
直射日光が当たらないところが望ましいです。
食べ物 環境の変化やさまざまなストレスに弱く、下痢を起こしやすいため、食べ物はあまり変化に富んだものを与えず、人工飼料を中心にごく少量のおやつとして、野菜や果実、ひまわり等を与えます。
水分の多いキュウリ、リンゴ、キャベツなどは、少なくても構いません。
また、自分で歯の長さを調節できるように、硬いエサを与えるようにしましょう。(かじり木でもOK)

<与えてはいけないもの>
甘いお菓子、塩分が濃いもの、ネギ、タマネギなど刺激が強いもの
水は毎日新鮮なものと交換します。いつでも飲めるよう、ボトル式の給水器を使用します。
皿型のものはひっくり返されて床材を濡らしてしまう事があるので望ましくありません。
床敷材 ケージ内には床敷材または巣材として、おがくず(チップ)や牧草を入れ、5cm〜8cm位の厚さに敷き詰めます。
掃除 ハムスターは過度の湿度に弱く、下痢を起こす原因になる為、敷材は乾燥状態を保つ様こまめに交換します。
毎日汚れた部分だけでも取り替え、週に一度は大掃除をします。
この際、全部をキレイにするのではなく汚れた敷材をほんの少し残し、自分の臭いを残してあげる事によって、ストレス防止になります。
シャンプー お風呂に入れる必要はないですが、シャンプーをした後は必ず乾いたタオルでよくふきます。
少しでも湿ったままだと、かぜや皮膚病の原因にもなります。
トイレ ハムスターは一定の場所にトイレを決めて利用します。
オシッコをする場所として使用することが多く、糞はその他の場所でもします。ケージ内でハムスターに場所を決めさせ、そこにトイレ容器を設置し、トイレ砂を敷いてあげましょう。

5.ハムスターのにおいをとるには

1〜2匹では気にならないかもしれませんが、たくさんいると、においが気になります。
ウッドチップを床に敷くのが最もポピュラーです。
また、イオン式の空気清浄器なども脱臭効果があると言われています。


6.ハムスターのその行動
(毛づくろい、ひっくりかえる、丸まる)の意味は?

毛づくろい リラックスしている。
飼い主に抱かれたりして薄くなった自分のにおいを体中につけている状態です。
ひっくりかえる 驚いている、または嫌がっている。
ハムスターは敵に対抗する武器がないので、4本の手足で抵抗します。
丸まる グッスリ寝ている。
冬は、そのまま冬眠に入って死んでしまうこともあるので、たまにヒーターなどで保温してあげましょう。
オリをかじる 脱走を考えている。
これはどうしようもないです。硬いものをかじっているので歯が伸びなくていいのだが…。
回し車でかたまっている どこまで来たか確認中。
遠くまで移動したつもりでいるのだと考えられる。あたりの様子を確認しているのでしょう。
立ち上がってキョロキョロ あたりを見回し、音を聞いている。
より遠くの様子がわかるようにしている状態です。
体を伸ばして寝そべる 気温が高くてつらい時。
扇風機などで風を送ったりして涼しくしてあげましょう。
はいつくばってウロウロ 緊張して周辺の様子を気にしている。
においをかぎながら、周囲をうかがっている。急に触ったり、音をたてないように気をつけましょう。

7.何匹飼うのが良いか

1ペア程度の飼育が良いが、繁殖を望まない場合やよく慣らしたいのであれば1匹飼いが望ましいです。
複数飼育の場合、特に同じ性別同士によるケンカがよくある為、スペースが十分に確保できない場合は単独飼育にしましょう。


8.繁殖データ(ゴールデンハムスター、
ジャンガリアンハムスター)

主な種類
ゴールデンハムスター ジャンガリアンハムスター ロボロフスキーハムスター
身長
オス:18cm
メス:19cm
7〜11cm 7cm
体重
オス:85〜130g
メス:95〜150g
オス:39〜44g
メス:32〜37g
15〜40g
生成熟
オス:49〜56日
メス:42〜49日
60日 60日
妊娠期間
16日 21日 21日
産子数
4〜17匹 1〜9匹 1〜9匹
離乳期間
3週間 3週間 3週間

9.オスとメスの見分け方


オスは、メスに比べて肛門と生殖器が離れているのが特徴です。
ただ最初のうちはオスとメスを見分けるのは難しいので、ペットショップの人に見てもらいましょう。


10.ハムスターの発情期


オスは、発情期に睾丸が大きくなり、まるでおしりにできものができてしまったのではないかと思うほどになります。
気候も温暖な春か秋、オスとメスを同じ飼育容器に入れて様子を見ましょう。


11.交尾が終わったら(妊娠の期間)


妊娠したメスは神経質になり、オスを極端にいやがるようになってケンカが多くなるので、別の飼育容器に移すようにします。
ハムスターの妊娠期間は短く、16〜21日ほど。
巣材を集めて巣箱に入っていることが多くなります。


お母さんハムスターは、十分な食べ物や水、栄養分が不足すると、育児放棄をし、多くの場合自分の子を食べてしまいます。子どもたちに母乳を与える母親のために、にぼしやチーズなどの動物性たんぱく質を多く含む食べ物をいつもよりやや多めに与えましょう。

12.ハムスターの肥満の原因と障害について

偏った栄養の食べ物やおやつなどの与え過ぎなどが考えられ、運動不足と思われがちであるが、実際は回し車等の運動器具を用いても解消できません。肥満は、繁殖障害や肝機能障害など、さまざまな病気の原因となります。


13.ハムスターの体の異常と病気
(脂肪腫、回腸炎)

脂肪腫・しこり 脂肪を多く取り過ぎ、油分が排出されずにあらわれます。この脂肪腫を手術により取り除くことは、体に大きな負担となります。
予防策としては、ビスケットなどの高カロリーのおやつを与え過ぎないことです。
回腸炎 別名ウェットテール。淡黄色の激しい下痢により、肛門周辺や尾腹部が汚れます。
ウイルスや細菌による原因が考えられ、飼育状態の悪化に伴うストレスも原因の一つと考えられます。死亡率は大変高い。

協力:株式会社マルカン

参考資料:「ハムスター 選び方・育て方」(立風書房)