今年はこれで決まり!庭づくりへの3Steps
画像 今回を含めて3回にわたり、私達が通常ガーデンデザインと施工をするときのプロセスをご紹介します。

このレッスンを通して、皆さんが庭をリフォームしたり、進化させたりするときの参考になるアイデアをお知らせできれば、と思います。私達がしているのは、シンプルな3つのステップ。誰でもできることです。そこに、皆さんがお持ちの創造力やテイスト、センス、パーソナリティーを加えて、後は、マジックをひと振り。私達が、2004年の11月にジャパンガーデニングフェアでデザイン・施工した英国大使館のモデルガーデンを例に挙げて、デザイン・施工の流れを一緒に見ていきましょう。

  3つのステップは、どんなサイズのガーデンにでも生かせます。もちろんあなたの庭にも!
 
Step 作業の流れ 内容
Structural Design
1.構造のデザイン
Client Brief
クライアントブリーフ
どんな庭にしたいのかをリストアップ。DIYの庭ならなおさら。欲しいもの、必要なものをリストアップ。
Zoning Plan
ゾーニングプラン
シンプルなゾーニングプランでスタート。
The Design
デザイン
欲しいものが実際に庭にフィットするかどうかスケールドロイング(図面を描いてみる)。
The Materials
材料選び
材料選びはスタイル選び
Construction
施工
自分で施工しないときは、施工を見守ることが大切
Planting
2.植物のデザイン
The Concept
コンセプト
はじめに庭のスタイルや最終イメージを心に描く
Choosing the plants
植物選び
日当たりや土の状態などを考慮して植物選び
Planting
植栽作業
最終樹高や草丈、広がりを考慮して植える
Garden Decoration
3.ガーデンデコレーション
Add you personality
自分のテイストを加える
植栽が終わったら仕上げが必要
Shopping
お買い物
ぴったりのアクセサリーを探してお買い物するのは楽しい
Create your own
自分で作る
クラフト好きのあなた、自分でつくってはいかが?
Found objects
オブジェ探し
記念になるものや思いでのものをオブジェとしてガーデンに



STEP 2:Planting 植物のデザイン

  The Concept コンセプト
  はじめに庭のスタイルや最終イメージを心に描く

構造部分のデザインと素材が決まったら、そこに植物をデザインしていきます。まずは庭のコンセプトを考えましょう。どんなイメージに仕上たいですか。どんな感じの庭が好きですか?庭いじりは好きですか?また、どんな色合いの花が好きですか?そんなことを考えながらデザインします。明るく輝くような庭、静かでやさしい庭、かわいらしい庭、または花色をそろえたブルーガーデン、ホワイトガーデン、イエローガーデンなど。あなたの描くイメージはどんな感じですか?まずコンセプトを決めると後の作業がしやすくなりますよ。
 
 
Our Model Garden モデルガーデンの場合
画像「癒しの庭」と、「英国のコッツウォルズ」という漠然としたテーマがありました。そこに私(秋元)の感じる「癒しの庭」を村の雰囲気で表現してゆくことにしました。そこでスチュアートの構造デザインを元にイメージドローイングをしました。

私のイメージは以下のようなものです。
日当たりのよい小さな庭
村の暮らしなのでハーブやちょっとした野菜も、花と一緒に植えている
パーゴラに絡むつる性植物
多年草主体の、ローメンテナンスの庭。常緑樹と落葉樹
シルバーリーフをメインに、白から紫系の優しい色合いの花。ポイントでバラ
植物で高低差をだす
特徴のある形も葉や葉色のものをコントラストとして入れ、緩みがちなイメージを締める
ウィンドウボックスは庭のエッセンスというイメージで庭と統一する
 


  Choosing the plants 植物選び
  日当たりや土の状態などを考慮して植物選び

描いたイメージやコンセプトを元に、実際に植物を選んでゆきます。
そのときには日当たりや土の状態なども考慮してくださいね。乾燥しやすい場所かどうか、木の下などで日陰になるかなどを見ながら、イメージに合った植物を選ぶのは本当に楽しい作業です。まずは大きな樹木を、それから潅木や大型の多年草などを、そしてグランドカバー類というように・・・。平面図の上で計画するのもよいでしょう。植える季節や、手に入る植物の大きさ、状態なども考えます。
 
 
使用した全ての植物リスト
Our Model Garden モデルガーデンの場合
イベントの庭という特殊な状況で、また11月という難しい時期でもあり、植栽選びには苦労しましたが、全体に、そこに何年もあったような庭というイメージにするため、大株の素材をさがし、苗を並べたような感じになるのを防ぎました。冬へ向かう庭ということで、パーゴラにはウィンタークレマチス・シルホルサという、冬咲きの白い可愛い花をすこし早めに咲かせたものを選びました。サンゴミズキなど赤い枝になるものは八ヶ岳のほうで色を出すようにし、ラベンダーを数ヶ月前に鉢上げしてもらい、剪定をせずに管理してもらうなどの事前作業も必要でした。いくつかの植物を紹介しますね。
 

4.アカンサス・モリス

16.サンゴミズキ

21.ユーホルビア・スパージ・ウールフェニー

27.ガウラ・あかね

36.ラベンダー・グロッソ

51.ヒメツルソバ

69.コルジリネ・レッドセンセーション


  The Planting 植栽作業
  最終樹高や草丈、広がりを考慮して植える

さあいよいよ植物を植えてゆきます。手に入った苗木や花苗は、育ってゆくものですから、最終的にどんな高さになるのか、どんな広がりになるのか、また今は咲いていなくても将来どんな花をさかせるのかなどを考えながら植えましょう。はじめは寂しいくらいでも、広がったらいっぱいになります。間隔を十分に取って、健康に育つ環境を与えましょう。
植えるものによっては、土壌を改質する必要があるかもしれません。植物の視線で考えるとどうしたらよいのかわかってきますよ。
 
Our Model Garden モデルガーデンの場合
33度のアングルでデザインすると同時に構造物に高さを与え、床レベルを変えることでより大きく見せる工夫をしました。構造デザインのなかでは、6つの違った高さがあります。また庭の中には様々な製品をディスプレイする必要がありました。
 

仮設の庭では、上に書いたことが残念ながら通用しません。植えてから数年たったイメージを作るために、かなり詰めてレイアウトしています。しかも実はこのガーデンでは土を使っていませんから、花壇の内側はあたかも土が上まで入っているように見えるよう、かさ上げしてあります。また植物は乾燥を防ぐためと後の処理のため鉢のまま並べてあります。かろうじてアプローチの両側のグランドカバー類と手前の石のコンテナだけはビニールポットをはずしてあります。レイアウト図を、植栽リストの番号と対応するように書いてみましたのでご覧ください。実際には100種類以上の植物が入っています。また、リストは学名(ABC)順ですのでご了承ください。
 
Planting Images
写真
素材を並べて現場でレイアウト。大きなものはおよその位置を考えていたが、後は実際の草姿を見ながらレイアウトを決めた
写真
ウィンドウボックスには美人ユッカとラベンダー、ミントマリーゴールド、ディコンドラ・シルバーフォール
写真
伸びすぎた感じのシロタエギク(左)のシルバーリーフがユーフォルビアなど周りのグリーンやバックのコルジリネの深い紫色を引き立てる
写真
ローズマリーのように見えるのはウェストリンギア。ローズマリーのような香りはない
写真
ガウラ・あかねは、草丈が通常のものより低く、まとまりやすい。花期がとても長く、晩秋まで咲き続ける
写真
パーゴラのウィンタークレマチス(クレマチス・シルホルサ)とテッセン。手前左は紅葉したハツユキカズラ
写真
コルジリネ・レッドスターをバックに、レースラベンダー・ピナータ
写真
石のコンテナにはコルジリネ・アトロプルプレアとモクビャッコウ、ヘデラ
写真
英国のハークネスローズから拝借した優しい色合いのバラ。フォーカルポイントでありながら、静かな癒しの庭に調和するような「主張しすぎない」色合い


  Conclusion まとめ
  ガーデニング作業の中で最も楽しいのが、植物を選んで植えることでしょう。更に、その後庭の中で育ってゆく姿を見ることは何よりの楽しみです。植物はそれだけでも魅力的で美しいものですが、庭の中に、アクセサリーを加えることでテイストが生まれます。そうすることで庭にはフォーカルポイントができ、植物をより引き立ててくれるようになります。

次回のSTEP3では、ガーデンアクセサリーの加え方を見てゆきましょう。
これもまた楽しいですよ!

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