Fumikoの季節の植物たち
2005/06
7月になり、梅雨が明ければ夏本番。アウトドアが好きな人は、夏の暑さをものともせず海へ山へと繰り出します。あなたは夏が好きですか?苦手でしょうか?この数年、夏の暑さはますます厳しくなってきたように思います。気候がトロピカルになってきているような気さえするのですが・・・。でも夏、浴衣姿の美しい女性が素足に下駄を履いて歩いているのを見ると、涼しげですね。うちわや風鈴、浴衣など、日本の文化には、蒸し暑い夏を、涼しくすごす知恵が沢山あります。夏を代表するアサガオと、水生植物をご紹介しましょう。


リュウキュウアサガオ・オーシャンブルー(Ipomoea indica)
画像 いつだったか、九州は宮崎のオープンガーデンの取材をしていたとき、鮮やかなブルーのアサガオが見事に咲いているお宅に出会いました。これは亜熱帯原産で、沖縄では自生している宿根蔓性多年草のノアサガオ(野朝顔)でしたが、多花性で、花期も長く初夏から晩秋まで咲き続けます。ヒルガオ科イポメア属。美しいブルーの花は午後まで咲き、夕方にはピンク色に変わります。幻想的でしょう?アサガオといえば小学校のころ夏休みの宿題で観察日記をつけた方も多いのではありませんか?もとは、奈良時代に薬草として中国から渡来したものが、花が美しいことから室町以降庶民が栽培するようになったそうで、江戸時代には変化アサガオという、突然変異や自然交配で珍しいアサガオを作出するブームが起きたそうですよ。変化アサガオの中には、アサガオとは思えない姿のものもあり、数々の美しい花を咲かせる変化アサガオを、今でも愛好家の方たちが大切に育てていらっしゃるとのこと。なくしたくないものですね。リュウキュウアサガオは普通の朝顔と違って自家受精はしないので、種が出来ません。地表付近から出るランナー(匍匐茎)を切り離して植えたり、株分けや挿し芽をしたりして増やします。霜の降りないところなら越冬しますが、寒いところなら、地際まできり戻し、マルチングして越冬させるか、挿し芽したものを室内で越冬させます。どちらにしても3〜4年で株が弱って枯れるものも多く、挿し芽などをして更新してゆくのが良いようです。・・・ところで、どうしてアサガオのつるは「左巻き」なんでしょう。


シペラス・パピルス(Cyperus papyrus)
画像 例えば庭がなくても、池がなくても、小さな睡蓮鉢などで水生植物を育て、中にメダカなどを飼い、更にそこに浮玉などを浮かべますと・・・。ほうら、すっかり気分は夏!水がそばにあると思うと、心なしか気温も下がったようで涼しい気持ちになるものです。そして、水辺にはこういった植物がよく似合いますね。水生植物は本当にいろいろあり、カヤツリグサの仲間もたくさんありますが、このシペラス・パピルス、和名カミカヤツリは、古代エジプトで紙を製造したことでも有名な、紙の語源「パピルス」が学名になっています。カヤツリグサ科の常緑性多年草で、原産地は北〜中アフリカ。湿地性の、水辺に多く見られます。長い茎の先端から放射状の苞(葉のように見えるものは苞)を沢山つける、傘のような姿から umbrella plantアンブレラ・プラント、などとも呼ばれています。特徴のある姿が美しくて、大好きな植物のひとつです。水を好むので地下部が水の中に入る形で管理してもよいですが、普通の鉢植えにして気軽に楽しむことも出来ます。但し日当たりのよいところで管理します。その場合は表土が完全に乾く前に水やりをするような感じでも良いと思います。また比較的耐寒性もあるため、冬場は室内で、少し乾燥気味に管理するとよいでしょう。地上部が枯れたとしても、春に芽を出してきますよ。


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