観葉植物を育てるには、土で植える場合(土耕栽培)と、発泡煉石で植えるハイドロカルチャーの場合(礫耕栽培)があります。まず、土植えの観葉植物の育て方の注意点です。

【観葉植物の選び方】

観葉植物は、園芸店や花店、雑貨店などで、プラスチック鉢に入った鉢物やポリポットに入った苗ものを一年中入手することができます。観葉植物を長く楽しむには、よいものを入手することから始まります。しっかりチェックして入手しましょう。

1: 葉の色・つやがよく、株もとの葉が黄色く変色していないもの。
2: 株が密に茂り、全体がこんもりとして形がよいもの。
3: 植え土を確認し、土の量が適量であるもの。極端に多いもの、少ないものは避ける。
 

入手した観葉植物は、インテリアにマッチした鉢カバーをするか、お気に入りの鉢に植え替えるとよいでしょう。


日常の置き場所

冬の最低気温を守るのが絶対条件

室内で育てるグリーンはどれも生育適温の18〜26℃ならよく育ちます。これは人が快いと感じる温度とほぼ同じです。人が暮らす室内なら、温度に関する条件は特に問題ないでしょう。

ただし、冬の室内は暖房をしています。夜、暖房を切ると室温はかなり下がりますから、明け方の最低気温を確かめましょう。植物によって耐寒力が異なりますが、10℃前後が越冬温度のものが多いようです。越冬温度近くになると植物は成長を休止して春が来るのを待ちますが、越冬温度以下になると枯死する場合もあります。

越冬温度以下にならないように置き場所を選び、保温の工夫をします。また、植物は急激な温度変化を嫌います。窓際など、昼間と夜の温度差が大きいところも夜の保温に注意が必要です。

なお、関東地方南部以西では、気密性の高い建物の室内の場合は明け方の気温が生育適温近くを保ち続け、冬も生育を続けます。

室内の明るさに合わせて置き場を決める

室内のどこにどの植物を置くかを決めるのは、室内の明るさがポイントです。

夏は太陽の位置が高く、南向きの窓辺でも日はほとんど射し込みませんが、一般的に、南向きの窓辺がいちばん明るく、光の強さは窓から離れて奥へ行くほど弱くなります。

窓辺の直射日光が差し込む範囲は日なたを好む植物を、奥へ行くほど半日陰を好む植物を、そして部屋の奥には日陰が望ましい植物、あるいは耐陰性が特に強く、日陰に耐える植物を置きます。

北側の窓も、窓が大きく遮るものがない場合はかなりの明るさがあるので、半日陰で育つ植物を置くことが出来ます。

ローテーションでいつもいきいき

室内には日陰となる場所がかなり多くあるものです。そのような場所には、アグラオネマやチャメドレアなどの日陰が望ましい植物、またはディフェンバキアやシンゴニウム、ヘデラ類などの日陰に耐える植物を選んで置きます。

しかしいくら日陰に耐える植物といっても限度があります。暗い場所に置いたままでは葉の色が悪くなったり、節間が間のびして草姿が乱れたりします。

このようにならないために、同じような条件のものを2鉢以上用意しておいてローテーションを組み、1週間交代で置き場所を変える、あるいは昼間留守にするときは明るい場所に移動するなどして、適量の光を与えるとよいでしょう。ただし、光が必要だからといって、直射日光が当たる場所への移動は葉焼けを起こすので避けます。

一般的に花を咲かせるもの、実を付けるものは日なたを好みます。室内で上手に楽しみたいときは、鉢花を何鉢か用意してローテーションを組み、1週間交代で室内とベランダなどを移動します。外出しがちの家では、昼間はベランダや庭などの日当たりのよい場所に置き、夜、家に帰ったときは室内に戻すという方法もおすすめです。


グリーンへの水やり

室内のグリーンは、人が責任を持って水やりしなければ枯れてしまいます。日常のメンテナンスの中でいちばん大切なのが水やりです。

「鉢土が乾いたら、鉢底の穴から水が流れ出るまでたっぷり与える」のが水やりの原則です。

鉢土が乾いているかどうかは、指で触って確かめたり、水やりしたときの鉢の重さを覚えておいて、乾いたときの重さと比較したりするとよいでしょう。

ハス口を外したジョウロや、注ぎ口の先が細い水差しなどを使い、鉢土に直接水やりします。鉢植えへの水やりは、葉や土の表面から蒸散した水分を補給するだけでなく、根から出る老廃物などを洗い流し、新鮮な空気を呼び込んで根の呼吸作用を活発にする役目をもっています。ですから、たっぷり与えます。

受け皿に水を溜めない

受け皿や鉢カバーにたまった水は必ず捨てること。そのままにしておくと土が湿ったままの状態になり、新鮮な空気が不足し、根が呼吸できず、根腐れを起こす原因となります。

必ず、鉢土が乾いたのを確かめてから与える

次の水やりは、鉢土が乾いた時。乾いているのを確かめてから行います。なにより大切なのは毎日の観察です。

生育期はときどきシャワーも効果的

また、春〜秋の生育期には、ときどき戸外に出し、葉の幹の汚れを洗い流すようにシャワーをかけてやります。上からだけでなく、横からも下からもかけてやると、ハダニなどの病害虫の予防にもなります。

なお、冬は植物の成長が遅くなり、根の吸水量は少なくなります。この期間の水やりは鉢土が乾いたのを確認して、さらに3〜4日たって水やりし、乾燥気味に管理します。こうすると植物の耐寒力が増します。
自生地ではジャングルに生えていた多くの観葉植物は、特に多湿を好みます。冬の室内は空気が乾燥しがち。葉に霧吹きをして空中湿度をおぎなってやりましょう。

乾燥に強いサボテンや多肉植物への水やりも「たっぷり与える」という原則は同じです。ただし、鉢土が乾いてから、さらに4〜5日待って水やりするという管理を徹底させます。

観葉植物の水やり

夏は、ときどき屋外で植物全体にシャワーをかけ、汚れやほこりを洗い流す。ただし、シダ類など葉が細かく内部がむれやすいものは、半日陰で風通しのよいところで、水気を十分にきる。 画像 底穴から水が流れ出るまで、鉢土全体にしみ込むように十分かける。 画像
肥料と病害虫対策

室内植物の肥料は専用肥料を

観葉植物の場合、おう盛に生育する5〜9月だけ、肥料を与えます。この時期に肥料を施すと、株が元気に育ち、草姿や葉色が美しくなります。ただし、冬は生育を休止しているので肥料は不要です。

園芸店にはさまざまな種類の肥料が並んでいますが、油かすや鶏ふんなどの有機質肥料は、悪臭があったり虫がわいたりするので、室内のグリーンには向きません。

「観葉植物用」と表示されている専用の化成肥料が便利です。粒状と液体がありますが、粒状のものは長くゆっくりと効くタイプで、2ヶ月ほど効力があります。2ヶ月に1回、鉢土の表面をフォークなどで軽く耕し、土の上に肥料を置きます。一般的に直径5mm程度のものなら5号鉢で5〜7粒が目安ですが、取扱い説明書の用法を守りましょう。

必ず規定の濃度を守ること

液体の肥料(液肥)は速効性のタイプです。10〜15日に1回、必ず規定の濃度に薄めて、鉢土に与えます。1,000倍液とは、水1,000mlに、肥料1ml。肥料分はほんのわずかの量ですから、ついつい多めに入れて濃い肥料にしがちです。しかし濃い肥料を与えても効き目はありませんし、かえって根を傷めてしまうことがあるので注意します。

肥料はメーカーなどにより用法が異なります。取扱い説明書をよく読んで、用法をよく守ることが大切です。
サボテンや多肉植物の場合は、春と秋のみ、液肥を規定の濃度よりさらに薄くして、水やり代わりに与える程度にします。

鉢花の場合は、1ヶ月以上咲き続けるものには追肥として肥料を与えます。肥料ぎれすると花が咲かなくなる場合があります。

市販の化成肥料にはN:P:K=8:15:8などと含まれている成分量の割合が表示されています。N(窒素)は茎や葉を育てる成分、P(リン酸)は花や実をつけるのを助ける成分、K(カリウム)は根の発育を促進し、植物体の組織を丈夫に育てる成分です。

そこで、観葉植物の場合はN(窒素)の割合が多いものを、鉢花の場合はP(リン酸)の割合が多い肥料を選びます。取扱い説明書の用法を守り、粒状の長くゆっくり効くタイプのものは1ヶ月に1回、速効性の液肥は10日に1回を目安に与えます。

病害虫対策は環境整備から

土植えの場合は、観葉植物にも病気や害虫が発生することがありますが、できれば農薬は使いたくありません。発生初期なら害虫や病気の部位を除去すれば被害を防ぐことができます。

それよりも、新しく購入したり、屋外から室内へ持ち込んだりするときに、鉢の裏や株元の土、葉の裏などをよく調べて病害虫を室内に持ち込まないこと。また、枯れ葉はこまめに取り去ることです。室内の換気に気を付け、適度の湿度を保ち、健康体に育てることが大切です。


植えかえ

植えかえは鉢いっぱいに根が張ったら

鉢植えの観葉植物は、1〜2年で鉢の中は根でいっぱいになり、根詰まりの状態になります。水やりしても水が土の中にしみ込んでいかなくなり、新しい酸素も供給できなくなって、ついには枯れてしまいます。根が鉢の底からはみ出ているものや、鉢土の表面が盛り上がってきたのも根詰まりしている証拠。こうなると植えかえが必要です。

また、冬越しがうまくいかないと葉が枯れたり変色したりします。生育期になったのに全体に元気がなく、新芽が出てこない鉢も、植え替えることで再生することができます。

植えかえ適期は成長期

植えかえは5〜9月の生長期ならいつでもできますが、適期は夏に向かう前の5月下旬です。気温も高く、作業後の生育が順調です。

用土は配合土を用いる

水はけも水もちもよく、通気性のある土が最適です。赤玉土や腐葉土などを配合して作ることができますが、市販の配合土を使うと便利です。水はけをよくするために市販の鉢底石を用意します。

植えかえ作業のポイント

作業の手順と注意点は次のとおりです。
1:まず、伸びすぎた枝や茎、つるを剪定します。

次に鉢から抜き、古土や傷んだ根を取り除きます。
2:鉢の上の縁を軽く木の棒などでたたくと抜けやすくなります。

古土は竹べらで土を崩しながら、底の部分や周囲の部分を1/3から1/2ほど取り除きます。
3:植えられていた鉢よりひと回りかふた回り大きな鉢に植えます。

根の間にも土がいきわたるように、竹べらや竹箸で土をまんべんなく詰め込みます。

ただし、鉢の上端から3cmほどはウォータースペースとして土を入れずに空けておきます。

上端まで土を入れると、水やりのたびに土が流れ出て周りを汚す恐れがあるからです。スパティフィラムやシダ類など、株元から葉が出ているタイプのものは、株分けも兼ねて植えかえます。鉢から抜き、ハサミなどで半分に割って古土や根を落として、新しい用土で新しい鉢に植えます。

観葉植物の植え替え

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鉢縁を軽くたたくと鉢から抜けやすくなる。   枝分かれしているところをハサミや包丁で1/3〜1/2に分ける。   まわりの根や土を竹箸などで少しほぐす。
鉢裏から根が出ているものはあらかじめ切る。   手で割れるものには、刃物は使わない。   下根も1/4〜1/3切り落とす。
     

・同じ鉢や大きい鉢へ植え替え

     
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竹箸などで根をほぐし土を落とす。   1:ウォータースペースをとる。
  2:苗は鉢の中央に植える
3:新しい用土
下根はハサミで大胆に切り落とす。       4:元肥としての肥料
5:コロニ

土と根を全体の1/4ほど落とし、長い根は切り詰める。

       

植えかえ後の管理

作業後は鉢底穴から水が流れ出るまでたっぷりと水やりします。根を切ったものは新しい根が動き出すまで水をよく吸収できません。1週間ほどは半日陰の風の当たらない場所に置き、ときどき葉に霧吹きなどで水をスプレーして葉がしおれるのを防ぎます。

剪定した枝はさし穂に利用出来る

剪定した枝や茎をさし穂として、苗をふやすことができます。市販のさし芽・タネまき用土なら、肥料分もなく、清潔で失敗することもありません。

さし穂を長さ5〜6cmに切り、下葉を切り捨て、深さ2〜3cm土の中にさします。作業後は半日陰の日の当たらないところに置き、表面の土がうっすらと乾いたら水をたっぷり与えます。

ほとんどのものは1ヶ月ほどで根が生え、しっかり張っています。そのころから薄めの液肥を与えます。

【さし木・さし芽】:ほとんどの観葉植物に行える

切り口はカッターできれいに切り落とす。   ベンジャミンなどの切り口から白い液が出るものは、水に入れ液を洗い流す。
木のものは1時間くらい水揚げしてからさす。
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画像   画像 ポトスやシンゴニウムは水にさしてもよく根が出る。
1:肥料分の無い清潔な土
2:ゴロ土
3:1節分くらいを土にさす
  発根促進剤をつけるとよい。