ベランダガーデンのテクニック

まず1鉢から始めましょう。

ベランダガーデニングは、ベランダに鉢植えの植物を飾って、愛でることからスタートします。

園芸店には、季節の花苗や鉢花がいろいろ並んでいます。まず1鉢、お気に入りの花を選ぶことから始めましょう。

花苗が入っているポリエチレン製の鉢(ポリポット)は植物にとっては仮の住まい。きれいな花を咲かせるには、それなりの大きさの鉢が必要です。苗1株で4〜5号鉢(直径12〜15cm)が目安です。プラスチック鉢に入っている鉢花も、お気に入りの鉢に植え替えると見違えるように素敵になります。花に合わせて鉢を選び、植えつけることからはじめましょう。


フクシアのコンテナガーデン

フクシアのポット苗を見つけました。エンジェルスイヤリングとも呼ばれるように、下向きの垂れ下がって咲く花姿が素敵です。 花に合わせて、高さ18?、少し高さのある鉢を選んでみました。

画像  フクシアポット苗(3号=直径9?)、
素焼き鉢4号(直径12cm、高さ18?)、
市販の草花用培養土、鉢底石、鉢底ネット、
土入れ、箸、定規を用意。
画像 土の流出と、害虫の侵入を防ぐために、鉢底の
穴を鉢底ネットでふさぐ。
画像 水はけをよくするための鉢底石を3〜4cm入れ、
その上に培養土を入れる。培養土の量は苗を
ポットのまま仮置きして決める。
画像 鉢の縁に箸を渡し、苗の上面までが2〜3cm
になるように培養土の量を調節する。
慣れるまで、実際に測るとよい。
画像 株元に手を添え、ポリポットを外す。
根鉢(根と周りの土の部分)を崩さないように
注意。
画像 鉢の中央に置く。根鉢と鉢の間に培養土を
土入れで入れる。
画像 箸を根鉢と鉢のあいだに入れ、つつくと土が
隙間に導かれてしっかり詰まる。土は苗の
上面までとする。鉢を両手で持ち、硬い面に
軽く打ちつけ、土を落ち着かせる。
画像 鉢の上縁から2〜3cm下の部分はウォータース
ペースとし、土は入れない。この部分に土が
あると、水やりのたびに土があふれて流れ出す
ので、必ずあけておく。
画像 注ぎ口の細い水差しなどで、土に直接、静かに、
まんべんなく水やりする。鉢底穴から水が流れ
出すまでたっぷり与える 。
画像 ベランダのテーブルの上などに飾り、愛でる。
日当たりのよいところで育てる。次の水やりは
鉢土が乾いているのを確かめて、たっぷり水
やりする。
ベランダガーデンで育てられる植物

コンテナで育つ植物なら、一年草や宿根草などの草花から花木、野菜、ハーブなどまで、 基本的にはすべて育てることができます。樹高1〜1.5m程度の樹木類もコンテナの深さが 30cmあれば育てられます。ベランダの日当たりや風あたりなどを確かめて選びましょう。

なお、ベランダは雨が降り込まないので、長雨や多湿を嫌う草花(ゼラニウム、ラベンダー、 ペチュニアなど)がよく育ちます。東京以西の暖かい地域では冬に霜が降りないので、冬の鉢花は室内で咲かせるより長く咲き続けます。

北向きのベランダでも寒さに強いヘデラやアオキ、ヤツデなど、日陰を好む植物がよく育ちます。

また、冬を除いて、室内向きの観葉植物がよく育ちます。特に風が強い場合は、マーガレット、ラベンダー、ユーリオプスデージー、マーガレットコスモ スなどのほかに、セダム類やカランコエ、エケベリアなどの多肉植物を育てましょう。ポット苗や鉢花を購入してコンテナなどに寄せ植えすれば、一年中花を絶やさずに楽し むことができます。日当たりのよいベランダなら、野菜やハーブのタネをまいて、あるいは苗を購入 して、ベランダのキッチンガーデンを楽しむというのもお勧めです。


コンテナガーデンで楽しむ

土のないベランダでは、コンテナガーデンを楽しみます。

コンテナとは、さまざまな素材の植木鉢、プランター、ハンギングバスケットや吊り鉢など、植物を植える容器の総称。コンテナガーデンとは、コンテナに1種類から数種類の植物を寄せ植えしたもの。それ自体が小さな庭です。

お気に入りのコンテナガーデンをいくつか並べて、ベランダでガーデニングを楽しみましょう。なお苗はポリポット入りのものが入手できます。ポリポットは育苗・流通用の鉢で、そのまま栽培するのは不適当です。入手した場合はできるだけ早くコンテナに植えつけると長く楽しむことができます。

コンテナの材質

素焼き  700〜800℃で焼いた陶製の鉢。多孔質で通気性、排水性、
吸水性に優れる。鉢側面からも蒸散するので乾きは早い。
テラコッタ 語源はイタリア語の「焼いた土」の意。
本来はイタリアの上質の粘土を使って素焼き鉢より高温で
焼かれたものだが、様々な国で作られるようになり、価格も
品質もバラツキがある。
化粧鉢 釉薬をかけられた陶製の鉢。素焼き鉢より通気性は劣る。
木製 防腐剤処理のしてあるものを選ぶこと。水を含むと重くなる。
プラスチック製  軽くて割れないが、古くなると劣化が激しい。
鉢側面からの蒸散がなく、底面の穴は細かいので、鉢土の
乾きは遅い。

コンテナの形

画像
ロウボール型  根が浅い植物を何種類か寄せ植えするのに適する。
丸くこんもりとしたスタイルが向く。
バケツ型 一般的な使いやすいタイプで、いろいろなスタイル、どんな
植物にもよく似合う。
角型
 (スクエアボックス型)
正方形のタイプで、スタンダード仕立てや円錐形のトピアリー
をメインにフォーマルなスタイルで寄せ植えするのに適している。
ウインドボックス型 長方形のタイプ。
壁際やフェンス際などに置く場合はボーダー風に植える。
壷型 個性的な形や装飾性が高いものが多く、存在感がある。
口径が小さいものがあるので注意。
スタンド型 ふんわりと四方に広がったり、下垂する植物に向いている。
樽型 木製で、本来は酒樽の再利用。
かなり大型なのでボリューム感のある植物を植えることが
できる。
ウオールポット 壁やトレリスなどに掛けて植物を楽しむコンテナ。
上部のみ植え付けるタイプ。
ハンギングバスケット スリットのあるプラスチック製のものは、花つきのポット苗を
植えてすぐに飾ることができる。

コンテナの大きさ

基本的な鉢はバケツ型で、口径と高さが同サイズです。大きさは号数で表し、1号大きくなると3cm大きくなります。3〜10号鉢が最もよく使われます。例えば5号鉢は口径15cm、高さ15cm、底の径は12cmです。 画像
鉢の大きさは口径を号数で表す(鉢裏の数字)。1号は約3cm、4号は約12cmに相当する。 一般的には3〜10号がよく使われる。

用土と肥料

用土

限られた量の用土で植物を育てるので、花壇の土よりさらに良質のもの、すなわち通気性、保水性、排水性、保肥性のよいものを使います。

市販の草花野菜用培養土を使うとすぐに使えて便利です。自分でブレンドする場合は、赤玉土中粒5、腐葉土3、バーミキュライト1、パーライト1の 割合でよく混ぜて使います。それぞれの土を購入し、あまった土は置いておかなければ ならない手間を考えると、市販のブレンド済みの培養土を使ったほうが便利です。


肥料

油かすなど、有機質肥料は臭いが出るので使いません。

植えつける時に与える肥料を元肥、育てている途中で与える肥料を追肥といいます。 元肥には無機質肥料の緩効性化成肥料を使います。 追肥の場合も緩効性化成肥料が使えますが、こまめに施肥できる人は、液肥を使うと 成長に応じた管理ができます。液肥は速効性がありますが、肥効期間が短いので、7〜10日に1回、施肥する必要が あります。

緩効性化成肥料はゆっくり長く効くタイプなので、1ヵ月1回程度、与えれば効果があります。 なお、使う量は、使用する肥料によって異なります。説明書をよく読んで、規定量を与えるこ とを守ります。液肥は希釈倍数を必ず守ります。肥料は多くやれば効くというものではなく、 かえって植物に害になる場合があるので気をつけましょう。

コンテナガーデンを作る

植物選びのポイント

長く観賞できる植物を選びます。

1種類で植える インパチエンス、ニチニチソウ、ペチュニア、ベゴニア・センパフローレンスなど、開花期間の長い草花を一つのコンテナに1〜数株植えつけ、ふんわりと大きく咲かせます。
多種類で寄せ植えする 開花期間や生育環境(日当たりが好きか、半日陰を好むか、あるいは水はけのよい土を好むか保水性のある土を好むかなど)が同じ植物の中から、草丈やボリューム、花色などデザインを配慮して植物を選びます。

植えつけのポイント

 鉢底穴をネットでふさぎ、土の流出を防ぎ、害虫の侵入を防ぐ。
鉢底石(軽石)を2〜3cmの高さまで入れ、水はけをよくする。
苗の根鉢の高さを残して培養土を入れる。
苗を仮置きして全体のバランスを確かめ、植えていく。
根鉢の地表面をそろえる。
ウォータースペースをとる(鉢の上縁から3cm程度には土は入れない)。
根鉢の間にしっかりと土を入れる。割箸などで根鉢と根鉢の間を突きながら、土を入れていく。
鉢を両手で持ち、トントンと、軽くコンクリート面などに叩きつけて、土を落ち着かせる。
表面を手のひらで押さえて株元を整え、たっぷりと、鉢底穴から水が流れ出るまで水やりする。

コンテナガーデンの日常の管理
置き場所  花が咲く植物の多くは太陽が大好き。
日が当たらないと、花が咲かなくなります。
少なくとも半日以上は日の当たる場所に置きます。
水やり 限られたコンテナの中では、土が乾きやすく、花壇のように地中からの水の補給はありません。人が責任を持って水やりしなければ枯れてしまいます。
鉢土に直接水を注ぐこと。
土の表面が乾くのを確かめ、鉢底から水が流れ出すまでたっぷり与えます。小さなコンテナは土が乾きやすく、水やりの回数は増えます。逆に大きなコンテナや表面積の広いコンテナは土が乾きにくいので、水やりの回数は減ります。
ただし、鉢内全体に水が行き渡りにくいので、時間をかけてたっぷりと与えます。
追肥 水やりの回数が多いので肥料は流出しやすくなります。
植えつけ約1ヵ月後から、開花期間の長いものは1ヵ月1回緩効性肥料を与えるか、または液肥を規定量に薄めて、10日に1回与えます。
花がら摘み 咲き終わった花はそのままにしておくと見苦しいだけでなく、結実するとタネを育てるのに養分を取られ、次の花が咲かなくなります。また、しおれた花びらは柔らかく、多湿になると灰色カビ病などの発生源となりがちです。
こまめに花がら摘みをしましょう。
リフォーム 花の最盛期を過ぎたら植え替えます。樹木や宿根草のカラーリーフなどは株の状態を見て残し、他の植物は抜き取ります。一年草は処分、宿根草は配置換えをして葉姿を楽しむか他の鉢などに植えて翌年の開花時期まで育てます。
土を補充し、新たな植物を植えて、次のシーズンも楽しみましょう。