基本的なしつけのポイント

基本的なしつけのポイント

しつけの前に

子犬は、楽しく遊びながら訓練すれば、わずか生後7週間くらいでも随分多くのことを覚えることができます。幼い子犬にはご褒美など動機付けによる学習方法が一番いいようです。命令された行動ができたとき、おもちゃや食べ物を与えてほめてあげると、子犬は服従したくなります。できるだけ子犬がミスしないような状況をつくってからやらせます。たとえミスしても決して子犬に体罰を与えてはいけません。子犬に精神的にも肉体的にもダメージを与えてしまうからです。
たいていの子犬はヒトの幼い子どもたちと同じで習うことが好きですが、集中できる時間は短いものです。以下に挙げる練習は1日数回やれば十分です。この練習にはほんの数分間しかかかりませんが、後の子犬の態度に驚くほど違いがでてきます。あなたと子犬の結びつきを深め、今後起こりうる問題を未然に防ぐために、子犬が来たら数日後には早速しつけを開始しましょう。

オスワリ(座れ)

おもちゃや食べ物(動機付けとなる物)を子犬の目の前から上のほうへ動かしながら「オスワリ」と命じます。こうすると子犬は動機付けとなる物の動きに従って頭を上げ、そのはずみでオシリを床に下ろすでしょう。最初は空いているもう一方の手で、子犬の腰のあたりをそっと押し下げてください。「オスワリ」ができたら大げさにほめてあげます。そしてご褒美におもちゃや食べものを与えてください。

フセ(伏せ)

子犬の注意をひくために、おもちゃあるいは食べ物を持って見せびらかして欲しがらせます。「フセ」と命令して、おもちゃをゆっくりと床に下ろします。必要ならばそっと子犬の肩のあたりを押さえて手伝ってあげます。(背中を押さえつけてはいけません。けがをさせるおそれがあるからです)。ほんの何秒でも「フセ」ができたらおもちゃを与えてください。ご褒美を与え、たっぷりほめてあげます。その後、ご褒美を与えるまでの時間を長くしていきます。こうして子犬が「フセ」をして待つ時間を少しずつ長くします。

タテ(立て)

子犬を「フセ」の位置にしてから始めます。「タテ」と命令してから、おやつやおもちゃを子犬の鼻先から上の方へ持ち上げます。必要に応じてもう一方の手で子犬が体勢を保てるように助けます。「タテ」の姿勢を1秒か2秒とったままにさせ、それから自由にさせます。ご褒美を与えてたくさんほめます。

マテ(待て)

まず子犬を座らせます。「マテ」と命令して子犬から1歩か2歩後ろへ下がります。そのまま2、3秒座って待っていられたらほめてあげます。ご褒美をあげて自由にさせます。ご褒美は必ず子犬がまだ「マテ」の姿勢でいる間に与えます。立ち上がってからご褒美をあげたのでは、子犬は「マテ」をしたからでなく、立ち上がったからもらえたと誤解してしまいます。子犬が立つのが早すぎるときには、同じ練習を何回も繰り返します。だんだんと「マテ」の時間が長くしましょう。

ツケ(付け)

子犬をあなたの左側におき、おいしそうなおやつを顔のあたりでチラチラさせ、子犬の注意を引きます。「ツケ」と命じて前へ勢いよく歩き出します。(命令にはいつも同じ言葉を使います)。歩きながら子犬には何か少し食べさせておきます。最初は数歩だけにしておき、それからだんだん距離を伸ばします。そして子犬を自由にさせほめてあげてください。できるようになってきたら、おやつを少し高い位置にあげます。しかし、飛び上がってとる場合にはご褒美をあげてはいけません。

コイ(来い)

このしつけには2人必要です。あなたのところに喜んで子犬が来るようしつけるためにぴったりの方法です。人物1は子犬をつかまえておきます。人物2は子犬の鼻先の手が届かないあたりに、おやつやおもちゃを振って見せてじらします。それから、人物2は「ポチ(名前)、コイ!」と大きな声で呼びながら走って去ります。人物1は子犬をはなします。子犬は大急ぎで人物2を追いかけます。人物2は子犬をよく褒めてやって、振っていたオモチャかおやつをご褒美にあげます。幼い子犬に「コイ」のしつけをしているときは、特に呼ぶような理由がなくても家や庭で1日何回か子犬を呼ぶようにしてください。そして子犬が来るたびにほめてご褒美をあげます。(栄養過多なおやつをあげて太りすぎが心配なら、いつも食べているドライフードを数粒、ポケットに入れておいて子犬が来る度にあげるといいでしょう。)子犬はあなたの所へ来れば、いつも素敵なことがあると思うでしょう!

手ごろなアシスタント役の人が見つからなければ、こうしてください。子犬をゆるく長い紐か曲げやすいしなやかなリードにつないでおきます。おやつかおもちゃを見せて子犬の名前を呼び、強い口調で「コイ」と命令します。子犬が来ればおもちゃや食べ物を少しあげて十分に褒めてあげます。もしすぐに来なければそっとリードをひいてから、子犬から離れて後ろの方へ移動します。ここで子犬に向かって駆け出せば、子犬は追っかけっこをして遊ぶのだと思ってあなたから逃げ出します!

子犬がもう少し大きくなって自立心が強くなった時、長い紐や曲げやすいしなやかなリードは、呼べば犬は必ず来るということの証明になります。この方法は戸外の公園など子犬が初めて目にするおもしろくて気を引くものがたくさんあるところで特に役に立ちます。子犬が来たときはいつでもご褒美をあげてください。あなたの所へ来たときに、決して子犬をしかったり体罰を与えてはいけません(子犬が何か悪いことをしたときはあなたの方から子犬のところへ行くように…。子犬に来させないこと)。戸外では、子犬をリードにつなぎ服従させることが確実でなければ「コイ」の命令をしてはいけません。そのうち子犬はあなたが呼んだら必ず来て、来れば必ずいいことがあると思うようになるでしょう!


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