わんちゃん栄養学 成犬の栄養学

小型犬の成犬の栄養学

すべての小型犬が同じ栄養を必要としているというわけではありません。大きさや活動レベルにあわせて特別に作られたフードをワンちゃんに与えることは、ワンちゃんがバランスのとれた栄養をきちんととることができるいちばん簡単な方法です。

 

小さなお願い

小型犬は口も胃も小さいのです。ワンちゃんにはかみやすいより小さい粒サイズのフードをあげたくなりますね。栄養密度の高い食事ならば、胃が受けつけられるわずかの量のフードでも、必要な栄養を吸収することができます。

 

特別な要求

あなたのワンちゃんは避妊手術を受けていますか? 十分な運動をしていますか? もうすぐ子犬を産もうとしていますか? こうした特別な状況は、ワンちゃんの栄養必要性に大きく影響します。 活動レベルが低いワンちゃんや避妊手術を受けたワンちゃんは体重増加を起こしがちです。体重管理は、糖尿病や関節の病気など過剰体重からくる問題からワンちゃんを守ってあげるための重要な一歩といえます。もし体重管理を目的としたフードを使うのならば、次のようなことに注目して下さい。

  • 脂肪分の少ないもの。ただし皮フや被毛の健康に必要な栄養素のあるもの。
  • L-カルニチン:脂肪を燃やしたり、体重減少時に筋肉質量を維持したりするのを助ける重要な栄養素。
  • 特別な炭水化物の混合:体重管理をしているあいだエネルギー維持を助けます。
  • ビタミン豊富なフィッシュオイル:健康全般のために必要です。


妊娠中のワンちゃんの栄養要求は大変なものです。バランスのとれた子犬用フードは妊娠中・授乳中のワンちゃんに必要なプラスアルファの栄養素を与えるでしょう。

 

フードの選択

小型犬の成犬には健康と元気に欠かせない完全な栄養素が含まれたフードが必要です。

  • ビタミン豊富なフィッシュオイル:健康な皮フ、つやのある全体的な健康のためです。
  • 必須ビタミンとミネラル:免疫機能を助け、健康維持をサポートします。
  • 高品質の動物性タンパク源:筋肉質量の維持に役立ちます。
  • 線維質源:腸管の健康を保ち、栄養吸収力を高めるのでコロッとした便になり処理も楽になります。
  • 選びぬかれた健康的な穀物からなる特別な炭水化物の混合:エネルギー維持のため正常の血糖値を維持するのに役立ちます。


こうした栄養素は栄養的な観点からとても重要なものです。ドッグフードを選ぶとき、これらの栄養素に注目して下さい。

 

高齢犬用の食事に移行

5 歳で成犬と見なされる大型犬と違って、小型犬は7歳まで成犬の食事を続けることができます。実際、小型犬は寿命が長い傾向にあり、大型犬にみられるような年齢に伴う変化をそれほど早い時期には経験しません。しかし、特別に作られた高齢犬用の食事へ早めに移行すれば、あなたのワンちゃんが末長く健康で活動的であることの助けとなるでしょう。

中型犬の成犬の栄養学

すべての中型犬の成犬が同じ栄養を必要としているわけではありません。あなたのワンちゃんは避妊手術を受けていますか? 適切な量の運動をしていますか? もうすぐ子犬を産もうとしていますか? 特別な条件があなたの中型犬の栄養の必要性に大きく影響することがあります。ワンちゃんの大きさと活動レベルに応じて特別に作られたフードを与えることは、目標としている栄養を得るためのいちばん簡単な方法です。

 

体重増加の防止

活動レベルが低いワンちゃんや避妊手術を受けたワンちゃんは体重増加を起こしがちです。体重管理は、糖尿病や関節の病気などの過剰体重からくる問題からワンちゃんを守ってあげるための重要な一歩といえます。もし体重管理を目的としたフードを使うのならば、次のようなことに注目して下さい。

  • 脂肪分が少ないもの。ただし皮フや被毛の健康に必要な栄養素のあるもの。
  • L-カルニチン:脂肪を燃やしたり、体重減少時に筋肉質量を維持したりするのを助ける重要な栄養素。
  • 特別な炭水化物源:体重管理をしているあいだのエネルギー維持を助けます。
  • ビタミン豊富なフィッシュオイル:健康全般のために必要です。
 

妊娠

妊娠しているワンちゃんの栄養要求は大変大きいものです。妊娠してから7週間目には母親の犬には通常のエネルギー摂取量の50%増のエネルギーが必要となります。そして、子犬を育て始めるころにはもっと多くのエネルギーが必要となります。母犬は食欲を失うことがあるので、栄養密度の高いフードを食べていることが重要です。バランスのとれた子犬用フードは、妊娠中・授乳中の犬に必要とされるプラスアルファの栄養を与えるでしょう。

 

フードの選択

中型犬の成犬のフードには健康と元気に欠かせない次のような成分が含まれてなくてはなりません。

  • ビタミン豊富なフィッシュオイル:健康な皮フ、つやのある全体的な健康のために必要です。
  • 必須ビタミンとミネラル:免疫機能を助け、健康維持をサポートします。
  • 高品質の動物性タンパク源:筋肉保持に役立ちます。
  • ビートパルプのような適度な発酵性の線維質源:腸管の健康を保ち、栄養吸収力を高めるのでコロッとした便になり処理も楽になります。
  • 選びぬかれた健康的な穀物からなる特別な炭水化物の混合:エネルギー維持のため正常の血糖値を維持するのに役立ちます。



こうした栄養素は栄養的な観点からとても重要なものです。ドッグフードを選ぶとき、これらの栄養素に注目して下さい。

 

高齢犬用の食事に移行

5、6歳で高齢犬と見なされる大型犬と違って、中型犬は7歳まで成犬の食事を続けることができます。実際、中型犬は大型犬よりやや寿命が長い傾向にあり、大型犬にみられるような年齢に伴う変化をそれほど早くには経験しません。しかし、特別に作られた高齢犬用の食事へ早めに移行すれば、あなたのワンちゃんが年をとっても健康で活動的であることの助けとなるでしょう。

愛犬の減量をサポートする:L-カルニチン

L-カルニチンって?

L‐カルニチンと呼ばれるカルニチンは体内でアミノ酸からつくられるビタミンに似た物質で、動物性タンパク質源にのみ見られるものです。これまでは、ワンちゃん以外の動物の脂肪代謝促進に使われてきましたが、最近の研究で太りぎみのワンちゃんの減量においてもサポートする効果があることがわかりました。

 

L‐カルニチンの働き

L‐カルニチンは水溶性で、脂肪酸を捕えて細胞内のミトコンドリアまで運びます。ミトコンドリアは細胞の器官の一部で、脂肪を有用なエネルギーに変換します。脂肪酸はミトコンドリアで酸化により分解され、心臓、肝臓、骨格筋などすべての組織のエネルギーに使われます。カルニチンは、この過程で、体脂肪の蓄積を防ぎ、血液中に含まれる脂肪量を低下させるサポートをします。

 

L‐カルニチンと太りぎみのワンちゃんとの関係

アイムス社では、太りぎみのワンちゃんのグループを2つに分け、同じ食事を給与して実験を試みました。ただし、1つのグループには、 L‐カルニチンが含まれる食事を給与し、他方のグループにはL‐カルニチンが含まれない食事を給与しました。7週が経過した時点で比較すると 、L‐カルニチンが含まれない食事を給与したワンちゃんは、体重がわずか1.8%の減少にとどまったのに対し 、L‐カルニチンが含まれる食事を給与したワンちゃんは、体重が6.4%も減少。また、体脂肪もそれぞれ2.4%、4.6%の減少が認められました。 このようにL‐カルニチンは、太りぎみのワンちゃんの体重や体脂肪を減少させる効果があることを実証しました。

愛犬の体重管理

ワンちゃんにはタンパク質が必要です。 肥満は、ワンちゃんにおいてよくある悩みです。肥満の原因をつきとめて総合的な体重管理を行えば、 思いどおりの減量と体重維持を実現できるでしょう。総合的な体重管理プログラムとはワンちゃんの現状を把握し生活習慣を改善することです。

 

肥満の定義、原因、肥満を引き起こす要因

■肥満の定義
肥満とは骨格や身体に必要な基準を超えて体重が増えてしまうこと。余分な脂肪が体に付着した状態をいいます。

■肥満の原因
肥満は、カロリーの摂取量がカロリーの消費量を上回った場合に起こります。簡単に言えばワンちゃんが消費する以上のエネルギー(カロリー)を余分に摂取して余分なエネルギーを体内にため込んでしまった状態をいいます。

■肥満を引き起こす要因

  • 食事の与えすぎ
  • 運動不足
  • 遺伝
  • 年齢と性別
  • 避妊や去勢
  • 糖尿病
  • 副腎皮質機能亢進症
  • 甲状腺機能低下症

 

重要な栄養素

■脂肪と炭水化物
ワンちゃんは脂肪を主なエネルギー源として使用します。太りぎみの動物はカロリーを炭水化物の形で摂取したときよりも、脂肪の形で摂取した場合に、より簡単に脂肪を蓄積します。太りぎみ、あるいは肥満のワンちゃんには低脂肪・高炭水化物の食事を与えて脂肪の原因となるカロリーを制限しましょう。

■線維質と脂肪酸
適度な発酵性を持った線維質源によって供給される適切な量の線維質は、腸の健康に役立ちます。これは減量中のワンちゃんにとっては特に重要なことです。一部の減量用フードは線維質の割合を高めてカロリーを抑えています。高線維質フードは消化率および脂肪をはじめとする栄養素の吸収が低下するでしょう。質の乏しいと考えられる栄養素を供給することによって減量するしくみなのです。高線維質の食事をとると排便回数や糞便量が増え、皮フや被毛の状態も悪くなります。ビタミンが豊富なフィッシュオイルなど必須脂肪酸を含む食事なら、脂肪の量を抑えつつも、ワンちゃんの皮フや被毛の健康を保つようにサポートするのです。

 

ゆるやかな減量

きちんとした体重管理プログラムの最終目的は、ゆるやかな減量です。ワンちゃんは、1週間につき元の体重の1%から2%を減らすようにします。これはカロリー摂取を30%から50%落とすことによって達成できます。 総合的な体重管理プログラムを行えば、肥満のワンちゃんでも減量を成功させることができます。まずかかりつけの獣医さんで評価してもらうことをお勧めします。オーナー様の協力こそ成功の秘訣なのです。

愛犬の食事にサプリメントを加えること

ペットにビタミンやミネラルその他の栄養分を与えることはペットの健康や幸福にとって大切なことです。いちばんよい方法は高品質のバランスのとれた食事を与えることです。 ペットフードに栄養補給を加えることはバランスを崩すことが多く、様々な健康障害につながるおそれがあります。

 

ペットフードに栄養補給を加える理由

人々がペットフードに栄養補給を加えるには様々な理由があります。以下に挙げたのはその一部です。

  • 味を気に入らせるため。または味に変化をつけるため
  • ペットが完全な栄養を得ているという安心感を得るため
  • ペットの食事を「準備している」という充実感を得たいため

 

余分な栄養補給は食事のバランスを崩す可能性があります。

オーナー様には、高品質のフードはペットのカロリー要求に合うよう十分に配慮して作られていることを御理解いただきたいと思います。また、そのようなフードは、それぞれのワンちゃんの栄養要求に応じた必須アミノ酸、ビタミン豊富なフィッシュオイル、ミネラルなどを提供します。高品質の食事は特定のライフステージやライフスタイルに合ったバランスのとれたものです。ヒトの食事やその他のサプリメントを加えることは微妙な栄養バランスを崩すおそれがあります。

 

ミネラルと栄養補給

異なるミネラル間の相互作用は非常に複雑なものです。幸い、この栄養分野では広範な研究が長年にわたり行われてきました。研究によれば、食事に含まれる個々のミネラルレベルが重要なことはもちろんですが、それらが適切なバランスを保っていなければならないことが明らかになっています。あるミネラルが過剰にあるために別のミネラルの吸収が阻害され、そのミネラルが不足するということも起こり得るからです。

 

肉による栄養補給:ミネラル相互作用の一例

よくある栄養補給として肉の補給があります。しかし肉にはカルシウムの20倍から40倍以上のリンが含まれています。肉をバランスのとれた食事に加えると、適切な骨の発達と維持に重要なカルシウムとリンの比率が崩れてしまうのです。すると、動物の体は適正な比率を得ようとして骨からカルシウムを摂ろうとします。下あごの骨からの再吸収が行われて歯を失ってしまうことが、高齢のワンちゃんにはよく見られます。カルシウム対リンの比率は1.1:1〜1.4:1ぐらいであるべきです。

 

カルシウムは多ければ良いというものではありません。

カルシウムの摂りすぎは、成長する子犬に起こる骨の病気と関連があるといわれています。特に大型犬の子犬のオーナー様は、大きな骨を適切に発達させるためにはカルシウムが余分に必要であると思われるようです。ヨーグルトやカテージ・チーズやカルシウムの錠剤を子犬の食事に加えることは、体の微妙なミネラル・バランスを崩すだけです。大型犬の子犬は、より多くのフードを食べますが、推奨された分量を食べれば体が必要とするカルシウムは得られるのです。普通の成長率を促進するためのいちばんの方法は、成長するワンちゃんに、バランスのとれた食事を決められた分量だけ与えるべきです。



愛犬に必要なドッグフード

栄養上のニーズ

あなたの健康にとって優れた栄養が大事であるように、あなたのワンちゃんの健康にとっても栄養は大切です。でも、ワンちゃんが栄養上必要とするものは、あなたの必要とするものとは全く違います!ヒトには線維質が多く脂肪が少ない食事がよいとされていますが、ワンちゃんはエネルギーと丈夫な皮フと美しい毛づやのために、もっとたくさんの脂肪を必要としています。そして線維質は少ない方が腸の健康のためにいいのです。たとえあなたが菜食主義でも、あなたのワンちゃんは肉抜きの食事では生きられません。犬は肉食動物として食事を与えられるのがベストです。ワンちゃんの胃袋は構造が単純で腸は短く、動物性タンパク質と動物性脂肪を消化するのにとても適しています。またワンちゃんにはエネルギー源として炭水化物も必要です。

 

ライフステージとライフスタイル

多数の様々なペットフードが販売されているなかで、あなたのワンちゃんに最適な一品をどうやって選べばよいのでしょうか? まずそのワンちゃんのライフステージとライフスタイルを特定することから始めましょう。子犬、授乳期の母犬、高齢犬などがライフステージの例です。そしてそれぞれのライフステージが異なる栄養上の要求を持っています。すべてのドッグフードには、どのライフステージにおすすめなのかがはっきりと表示されていなければなりません。 栄養上の要求はライフスタイルによっても異なります。自分のくつろぐ場所を守ることが主な活動であるようなワンちゃんは、羊の群を守るワンちゃんほどエネルギーを必要としません。もうひとつの考慮すべき事は犬種の大きさです。小型なのか、中型なのか、それとも大型なのか。 最後に、あなたのワンちゃんに特別な医学上の条件があるとしたら、それを考慮することも大切です。たとえば食物アレルギーがあって、かかりつけの獣医さんに特別な食事をすすめられている場合などがそれにあたります。

 

ドライフードかウェットフードか?

ワンちゃんのライフステージとライフスタイルの要求を判断したら、次にドライフードを与えるかウェットフードを与えるかを決めなければなりません。たいていのワンちゃんがドライフードだけを食べて育ちます。ドライフードは研磨の役目をするため、歯と歯茎の健康にかかわる口腔衛生に貢献します。特に気むずかしいワンちゃんが、口当たりがなめらかでしっとりとした缶詰フードを好む場合もあります。 ドライフードは一日中でも食器の中に入れっぱなしでかまいませんが、缶詰フードは残った場合、30分たったら処分するべきです。ですから日中家を留守にする忙しい方にはドライフードが最高の選択です。 あなたのワンちゃんの栄養上の要求と好みがわかったら、次はフードの購入です。

 

表示を比較する

原材料は使用量の多い順番に書かれています。ワンちゃんは肉を必要としますから、一番目の原材料が動物性タンパク質源のものを選ぶのがよいでしょう。たとえば鶏肉、鶏副産物粉、ラム、ラム粉、魚粉、鶏卵などです。これらの原材料は、大豆やコーングルテンミールなどの植物性タンパク質源とは異なり、必須アミノ酸を過不足なく含んでいます。 食事にトウモロコシ粉、オオムギ、グレインソルガムなどの炭水化物を組み合わせて入れると、炭水化物の消化性が最適となり、エネルギーレベルを維持することが科学的研究によって示されています。 また同様に科学的研究によってビートパルプが優れた線維質源であり、消化管の健康を促進することが分かっています。 つややかな被毛と丈夫な皮フのためにワンちゃんは脂肪の含まれた食事を必要とします。良質の脂肪源には鶏脂やフィッシュオイルなどがあります。

 

価格の比較

ドッグフードを選ぶとき袋に表示されている価格は重要ですが、それはいちばん気にすべきことではありません。安い価格は原材料が高くないことを示しているかもしれませんし、市場価格の変動によって原材料が変わるのかもしれません。 さらに低価格の製品の多くは、高品質のフードと同じ量の栄養分を供給するために、一日あたりの摂取量が多くなっています。1袋当たりではなく1食あたりの費用を計算したほうが、費用がもっとよく分かります。それを知るのが肝心です。 1 食あたりの費用を計算するには、まずその商品がもった日数で総費用を割ります。たとえば10kg入りの袋が5000円で30日もつとします。そうすると1 日あたりの費用は167円です。10kg入りの袋が4000円で20日もったとすると1日あたりの費用は200円になります。したがって費用を適正に分析すれば、質の良いペットフードは優れた栄養分を提供するうえに、得であることがわかります。

栄養素とペットフードの原材料

ペットフードの栄養素

栄養素は次のように分類します。タンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラル、そして水分です。

 

タンパク質

一般的なペットフードのタンパク質源には、肉、魚、そして植物性としてコーングルテンミールや大豆などがあります。 タンパク質は、体内でさまざまな働きをします。一番知られているのは、被毛、皮フ、爪、筋肉、腱、靭帯、軟骨等をつくるためのアミノ酸を供給することです。タンパク質はまた、ホルモン生産にも重要な働きをします。 ワンちゃんは、肉食動物として食事を与えることが一番望ましい形です。肉食動物であるワンちゃんには、必須アミノ酸が必要です。しかし、大豆などひとつの植物性タンパク質源だけでは、必須アミノ酸すべてを摂取できません。

 

炭水化物

一般的な炭水化物源は、植物と穀物です。炭水化物は、デンプンと線維質に分類され、エネルギーや便のかさのもとになります。 デンプンは、グルコースや果糖など、さまざまな種類の糖類からできています。デンプンはワンちゃんが消化することによって、エネルギーに変換されます。 線維質には発酵するものとしないものもあります。線維質は、ワンちゃんの腸のバクテリアにより短鎖脂肪酸に分解されます。植物のガムのように非常に発酵性の高い線維質源は、多量の短鎖脂肪酸を生み出します。ビートパルプのように中程度の発酵性をもつ線維質は、短鎖脂肪酸と便を動かすためのかさとなります。セルロースのように発酵性の低い線維質は、消化管の中の便を動かすためのかさが主で、産出する短鎖脂肪酸はわずかです。

 

水分

水分は体にとって最も重要な栄養素です。体は水分なしで栄養素を運ぶことができません。エネルギーを得るために、栄養素を消化することもできません。また、体温調節や水分の放出もできなくなってしまいます。

 

脂肪

脂肪は肉、魚、植物の油にあります。多くの重要な体の機能の働きに欠かせないものです。動物の細胞膜は脂肪でできています。そして、脂肪は体温の維持や炎症のコントロール、その他いろいろな働きに貢献しています。脂肪は体の中に蓄えられるエネルギーの最初のかたちであり、炭水化物やタンパク質の2倍ものエネルギーを生み出します。 脂肪はまた血液の凝固や炎症の減少に重要な働きをもつことが分かっています。

 

ビタミンとミネラル

ビタミンは、骨の発達や血液凝固、エネルギー生産や、酸化からの保護等のさまざまな機能を助ける働きがあります。ビタミンA、D、E、Kは、体内吸収の際に脂肪を必要とします。またビタミンB群やビタミンCは、体内に吸収される際に水分を必要とします。 ミネラルは骨格のサポートや神経伝達、筋肉収縮等を助けます。



ペットフードの選び方

必要な栄養

ヒトにも良質の栄養が必要であるのと同じように、大切なワンちゃんやネコちゃんにも良質の栄養が欠かせません。ただ、どのような栄養が必要となるかは、ヒトとペットではまったく異なります。 ヒトの食事は高線維質・低脂肪がよいとされています。しかし、ワンちゃん・ネコちゃんにはヒトよりも多くの脂肪が必要です。逆に線維質は少なくてもかまいません。その方がエネルギーを得て、被毛と皮フの健康と、腸の調子を保つためによいのです。オーナー様ご自身が菜食主義であったとしても、ワンちゃんやネコちゃんは肉抜きの食事では健康を保てません。ワンちゃんも肉食動物の一種として食事を与えるべきなのです。それはワンちゃんの胃は単純な構造で腸も短く、動物性タンパク質や脂肪の消化に適しているためです。 ネコちゃんはご存じのとおり完全な肉食動物です。タウリン、その他の不可欠な栄養素を摂取するには、動物性タンパク質が欠かせません。動物性タンパク質をとらなければ、ネコちゃんは健康を保てないのです。また、ワンちゃん、ネコちゃんともにエネルギー源として炭水化物が必要です。また、よい消化のためには線維質も必要です。

 

ライフステージとライフスタイル

現在、市場には多数のペットフードが出回っています。あなたの大切なワンちゃん、ネコちゃんにぴったりのフードを選ぶにはどうすればよいのでしょうか。 まず、ワンちゃん、ネコちゃんのライフスタイルや、ライフステージを見極めましょう。 子犬や子猫、授乳中の母犬、母猫、そして高齢犬、高齢猫。これらはライフステージの例です。そしてライフステージごとに必要な栄養が異なってきます。だから、ペットフードはすべてどのライフステージに適しているのかを明記するべきなのです。 ライフスタイルによっても必要となる栄養は違ってきます。牧場で働く牧羊犬と、ソファに寝そべっている時間が長いワンちゃんとでは、必要とするエネルギーが大きく違います。また成犬サイズの違いにも注意が必要です。小型犬、中型犬、大型犬、超大型犬といった犬種サイズによって栄養も変わります。 最後に、例えばあなたのペットが食物アレルギーといった医学的に特別な状態にある場合、そのことを十分に考慮することが重要です。獣医さんがすすめる、特別な食事が必要な場合もあります。

 

ドライフードか、ウェットフードか

あなたのワンちゃん、ネコちゃんのライフステージとライフスタイルが分かったら、次はドライフードにするか、ウェットフードにするかを決めましょう。 ほとんどのワンちゃん、ネコちゃんはドライフードだけで健康を保つことができます。ドライフードは口腔内の衛生にも貢献します。また、噛む際に摩擦作用がおこるため、歯や歯肉の健康を保つのにも役立ちます。なかには食事の好みがはっきりしたワンちゃん、ネコちゃんもいます。その場合には、水気があり滑らかな舌触りのウェットフードなら喜んで食べる場合があります。 忘れてはならないのは、ドライフードならお食事用のボールに一日中入れたままにしておいてもかまいませんが、ウェットフードは出してから30分以上経って残っているものはもう使い物にならないという点です。ですから、日中自宅にいないオーナー様の方にはドライフードのほうがよいでしょう。 ペットがどのような栄養を必要としているか、どのライフステージにいてどのようなライフスタイルなのか、どのような食事を好むのか、ドライとウェットフードとどちらがよいのか、以上の4点を考えたうえでペットフードを買いにお出かけになるよう、おすすめいたします。

 

原材料表示の比較

ペットフードの原材料表示は使用量で多いものから順番に記載されています。 ワンちゃんもネコちゃんも肉を食べないと健康を保てません。先頭に表記されている成分が動物性のタンパク質源であるものを選ぶのがよいでしょう。たとえば、鶏肉や鶏副産物粉、ラム肉、ラム肉粉、魚粉、鶏卵などがあります。 こうした動物性の原材料には、必須のアミノ酸のすべてが含まれています。大豆やコーングルテンミールなど植物性のタンパク質源では、こうした栄養素をすべてそろえることはできません。 また科学的な研究から、たとえばトウモロコシとオオムギや、オオムギとグレインソルガムといった炭水化物の混合を食事に配合することは、炭水化物の消化性が最適で、エネルギーを維持することを助けることがわかっています。 同様に科学的研究から、ビートパルプという砂糖大根から砂糖を取り除き精製した線維質は大変優れた線維質源で、消化管の健康を助けることが分かっています。 つややかな毛づやと健康な皮フには、食事に脂肪分が必要です。優れた脂肪源としては鶏脂、フィッシュオイル、亜麻などがあります。

 

価格の比較

ペットフードを選ぶ際に値段も確かに大切な要素ではあります。しかし、それは最重要素ではありません。低価格のフードには、安価な原材料が配合されている場合があります。また、市場価格の変動にあわせて原材料を変更することもありえます。 また、低価格な製品の多くは、1日に食べる量を増やさなければ高品質のペットフードと同じ栄養が得られません。価格を正しく把握するには、単純に1袋がいくらかではなく1食当たりいくらかかるのかを計算することが大切です。 1食あたりの価格を算出するには、ある製品1袋で何日間もつか日数を計算し、1袋の値段を日数で割ります。たとえば、10kg入りのフードが1袋5000円で、これ1袋で30日もつものとします。この場合、1日あたりの価格は167円になります。同じ10kg 入りのフードで1袋4000円であったとしても、20日しかもたないのであれば、1日あたりでは200円になります。 つまり、価格を正しく評価してくだされば、高品質のペットフードを選んだほうがより良い栄養を大事なネコちゃん、ワンちゃんに与えることができるだけでなく、値段の面でも実は良い選択なのです。

 

健康な食事をしているペット

  • 歯が白くて強く、歯肉はピンクで健康的
  • 弾力性のある皮フと、つややかな毛づや
  • 足の筋肉がしっかりしている
  • エネルギーにあふれた、元気な性格
  • 便の量が少なく、コロっとしている

わんにゃん栄養学