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大場秀章先生の「草木花ないまぜ帳」
 
 
テーマ: ミカン

ミカン  日本では古くからいろいろ種類の柑橘が栽培されるだけでなく、新しい栽培品種も次々と出現する。その紅橙色の果実は常緑の濃い緑の葉に和して豊かな印象を与える。

 今はミカンといえばウンシュウミカンをいう。ウンシュウとは温州で、柑橘の名産地である中国浙江省温州に因んでいる。その名から中国が原産地であるかのようにいわれることが多いが、原産地は日本で天草の南方にある鹿児島県の長島とされ、およそ500年前に実生苗から選抜されたという。日本各地に広がったのは明治時代になってかららしい。だから江戸時代にミカンといえば豪商紀伊国屋文左衛門も江戸に出荷したキシュウ(紀州)ミカンである。

 紀州ミカンは中国原産でかなり古くから日本に伝わり、その後和歌山県の有田地方の特産となった。

 その他、一般にはミカンの名前で通っているのではないかと思われる柑橘もいくつかある。その代表はコウジである。コウジはまたの名をウスカワ(薄皮)ミカンといい、樹勢が強く耐寒性にも優れており、温州ミカンの栽培に向かない、山陰や北陸、東北地方でも栽培されている。現在でもこれらの地方で栽培される柑橘にはコウジが多い。

 温州ミカン、紀州ミカンそれにコウジのちがいが何かを把握するのはむずかしいが、大きなちがいは果皮の色であろう。温州は他のミカンに比べて紅色が強い。それにたいして紀州もコウジも紅色に乏しく果実は黄色味を帯びる。温州が11月頃に果実が熟するのにたいして、紀州やコウジの熟すのは12月から翌年1月にかけてである。紀州ミカンは別の名をコミカンともいい、最近では果実のついた切り枝が観賞目的に利用されている。

 ところで柑橘の柑の字はコウジ、橘のそれはタチバナをさす。そしてミカンは漢字で蜜柑と書く。蜜のように甘い柑という意味であろうか。柑の字だが他ではあまり見かけない。935年頃にできたと推定される日本最古の部類別漢和辞典である『倭名類聚抄』に、「柑子」という語があり、これに「かむし」の訓が与えられている。白川静博士の『字統』に、柑の樹は橘に類し、実は円にして大、ただ橘は久しく保つも、柑は腐敗しやすい、と記されている。

 タチバナ(橘)もコウジにかたちや色合いが似た果実をもつが、果実は酸味が強く、長持ちする。普通のヒトにとってそのまま食べるには酸味がきついので、昔は皮を剥いた後に火鉢などで炙って酸味を和らげてから食べた。こうして食べた柑橘を巷では「炙りミカン」といっていた。タチバナに限ることなく、酸味のきついものはこうして食していたのだろう。

 橘は中国ならびに日本で古くから栽培されていたとされ、多くの伝説をともなうが、その正体は判然としない。ただ、タチバナに限らず柑橘は高貴な芳香をもち、ビタミンにも富むので回春効果が期待されたし、さらにタチバナを含む一部の柑橘は酸味が強く、妊娠時のつわりの特効薬にもなったのである。

 これにたいして蜜柑はその甘味が賞味され、果実として重用された。ただ酸味に乏しい分だけカビも発生しやすく腐りやすかった。こうした特徴を人々は古くから見抜いていたことを柑橘の文字は教えてくれる。
 

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Profile:

東京大学名誉教授
理学博士
大場 秀章 先生
(おおば ひであき)
東京大学名誉教授。植物分類学の権威であり、ヒマラヤに生育する植物研究の第一人者の大場秀章先生が、植物に関する興味深いコラムを毎月お届けします。大場秀章先生には、当社の緑育成財団が支援している「ネパールムスタン地域花卉資源発掘調査」の中心メンバーとしてご指導いただいています。



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