鑿を叩き釘を打つ |
単純な道具だからこそ奥が深い |
本当に使いよい玄能・金槌を求めて |
建築工法の変化と、値頃感のある輸入大工道具の増加等によって、伝統を受け継ぎ、機能を追求した本職の要求に耐えうる大工道具の
国内生産量は減少傾向にあります。
玄能・金槌の場合、よい刃物としていわれる「かけず、まくれず、永切れする」というような必須条件があります。それは「かけず、まくれず」は
当然として、使い手の意志に的確に反応し、正確で美しい作業を素早く長時間にわたり行うことができる性能が必要とされるのです。
また、その隠れた性能が外観にさりげなく表現されていることも、所有する喜びを満足させる、道具の重要な要素の一つです。
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■ 「相豊ハンマー」 玄能・金槌造りの信条
1.信頼の置ける材料で造ること。 |
2.頭の形状にゆがみが無いこと。 |
3.しっかりと調質(焼き入れ)すること。 |
4.柄にゆがみがないこと。 |
5.柄の木目が通っていること。(木柄の場合) |
6.柄の仕込みが丁寧でゆるみがないこと。 |
7.すがたかたちが美しいこと。 |
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■ 商品紹介
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製品の特徴
・鋼種:炭素鋼S55C
・火造り※
・高級白樫柄付き(手に良く馴染み、振動の吸収も良い)
・霞仕上げ
・銘とサイズの打刻
※ 火造り:材料に熱を加えハンマーとわずかな鍛造工具のみを使って、勘を頼りに全て手作業にて成形する鍛造方法のこと。
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■ 玄能・金槌豆知識
【材質】
一般的な玄能、金槌は鋼(炭素鋼)で成形され、熱処理(調質)により必要な硬度に加工されています。鉄で出来ていると誤解されて
いますが、鉄は熱処理を施しても硬くなりません。 |
鉄 : |
純鉄に0.03%未満の炭素が合金されたもの。 |
鋼 : |
純鉄に0.03%から1.7%の炭素が合金されたもの。ちなみにそれより多くの炭素を合金したものは鋳鉄、いわゆるイモノである。 |
熱処理 : |
金属材料を加熱冷却して組織を変え、所要の目的に適する性質にする作業。一般的には「焼き入れ」と同意。
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【用途・使用方法】
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鑿(のみ)を叩くには主に玄能を使い、その両端は同じ大きさです。 |
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玄能の頭の一端は平らで、こちらでのみを叩き釘を打ち込みます。そして他の一端はほんのりと中高になっており、こちらでほぼ打ち込んだ釘
を最後に叩きしめます。但し、鑿専用のものは両端が平らに造られています。
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・ |
釘を打つには金槌を使い、その一端は大きく、こちらで釘を打ち込みます。そして他の一端は細くとがっており、こちらでほぼ打ち込んだ釘を
叩きしめたり狭い部分の釘打ちを行います。
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【理想の玄能・金槌】
・ |
頭(形状・重量・ひつの形状と大きさ)と柄(握りの形状・太さ・長さ・材質)のバランスが非常に重要で、これが玄能・金槌の命ともいえます。 |
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ひつ: |
柄を仕込むために頭に明けてある穴のこと。 |
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・ |
理想的な焼き入れ状態は、玄能の口の周囲が硬く焼き入れされ、真ん中は少し柔らかめになっている状態です。またひつ(穴)の周囲は僅かに焼きが入ったようになっています。ひつの周囲まで硬く焼きが入っていると、柄を仕込んだときに割れるおそれがあります。 |
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・ |
腕の良い大工は頭だけを買い求め、自分(体格・体力・作業の種類)に合った木柄を仕込みます。若しくは太めの木柄を仕込んだものを買い求め、それを削って自分に合わせて使います。 |
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・ |
柄の長さは頭を握って肘の内側につけた長さが良いです。また柄の断面は片側をそぎ落とした桃の実型が良いとされています。 |
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・ |
火造りで造られた物はひつの中程を狭く造ることができ、仕込んだ木柄が非常に抜けにくくなっています。そのためしっかりと木柄を仕込んだ場合
には、くさび等の抜け止めをする必要がありません。
ただし、ひつの中程を狭く造るといっても極力ストレートに近いほうが柄が抜けにくく、腕の良い職人の造ったものでは、目視で確認できないほど
ストレートに空けられています。 |
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火造り: |
材料に熱を加えハンマーとわずかな鍛造工具のみを使って、勘を頼りに全て手作業にて成形する鍛造方法。姿の良い品物を造るには熟練を
要します。
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鍛造: |
金属を高温に加熱して柔らかくし、ハンマーや金型などで圧力を加えて変形させて造る方法。 |
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・ |
打撃面硬度は、素人の釘打ち作業においては柔らかめが滑らずに使いやすいとされていますが、それではまくれてきて使い物になりません。
一般的には硬すぎるとすべって使いにくくなるといわれていますが、滑るのは硬度の問題と言うより、焼き入れ方法、打撃面の形状や角度,そして
使い手の技量が深く関わっています。ちなみに腕の良い職人の造った優秀なものでは、ずいぶんと硬度は高くても滑らず、非常に使いやすく出来ています。
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・ |
玄能では口張り付き(鋼付け)が最高級とされています。これは鉄(良いものでは日本鉄を折り返したもの)の両端に鋼(通常は高炭素鋼)を鍛接
して造られたものです。ただし、これは鑿叩き専用と考えていただきたいです。
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日本鉄: |
鉄の中でもきわめて炭素量の少ない柔らかなもの。たたらにて作られる。 |
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鍛接: |
違った材質のものを鍛造によって接着する作業。 |
【焼き入れ】
焼き入れの方法にも様々あり、それぞれに長所と短所があります。 |
全焼き
(まるやき) |
頭部全体に焼きが入れてあり、側面を使用しての横打ちが行えます。ただし、衝撃が手に伝わりやすく疲れやすいです。 |
部分焼き |
打撃面のみに焼きが入れてあります。その他の部分は柔らかいため、衝撃の吸収がよく、長時間の使用にも疲れにくく使いやすいです。 |
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■ 霞仕上げのできるまで
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素材
(炭素鋼S55C) |
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三番穴あけ |
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角にする |
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四番穴あけ |
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一番穴あけ |
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仕上げ |
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二番穴あけ |
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焼入れ・化粧 |
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■ 玄能・金槌への木柄の仕込み方
〜 使う人が木柄を仕込むわけ 〜
木柄は木材でできているので、環境の変化よって、収縮・変形が起こります。製造地と玄能を使用する場所が離れている場合、製造場所で柄を仕込んだものは
湿気や温度など気候の違いによって、仕込んだ木柄が緩むことがあります。だから、使う場所で木柄を仕込むのです。
〜 玄能・金槌への木柄の仕込み方 〜
1. |
木柄を入れる方(銘のある側)のひつの周囲をやすりで面取りします。 |
2. |
頭に木柄を入れて柄尻を叩いて、1日目は穴深さの80%まで入れます。それ以上入るようでは緩いということです。また仕込む前に仕込む部分の木柄に軽く油を拭くと仕込みやすくなります。 |
3. |
2日目は穴深さの90%まで入れます。 |
4. |
3日目で100%まで入れて完成です。 |
基本は『穴より大きな柄を仕込む』ことですが、上記意外でも工夫を凝らした様々な仕込み方があります。 |
〜 玄能・金槌に仕込んだ木柄の緩みへの対応 〜
いかに木柄をかたく仕込んでも多少は緩む場合があります。この時又叩くのも良いですが、一度木柄を抜いて紙を隙間に
詰めると良いです。くさびを打つ方法もありますが、巧く打たないと木柄の強度を落とす場合があり、あまり勧められません。
〜 木柄に使われる材質例 〜
うつぎ うしころし 樫 榊 ぐみ つげ 桜 梅 ヒッコリー
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