ガーデンデザインレッスン

Lesson 11 コンテナガーデニング

写真世界中のどんなガーデンにも、コンテナのためのスペースがあります。日本の場合、土地開発の仕方や家の建て方、限られた広さなどによっては、コンテナだけが植物を育てる場所であったりします。
英国の場合、スペースが限られているときにはウォールを植栽の場としたり、またはハンギングバスケットやウィンドウボックスなどを使い年間を通してディスプレイします。

コンテナを置く位置もとても重要です。多種多様な素材や色、サイズのコンテナをでたらめに置くと、フォーカルポイントにはならず、いたずらに見るものの目を惑わせることになります。コンテナはエリア分けにも使えます。例えばデッキやパティオのエッジ、また階段の始点と終点などですね。またドアに向かって両側にフレームとして使ったり、単独でフォーカルポイントとしても使うこともできます。美しいコンテナなどでは、植栽の必要が無い場合もたくさんあるでしょう。



Container Types:コンテナのタイプ

素材だけでなく形や色、サイズや値段など、多数のタイプのコンテナが手に入るようになっています。特別の場所には大きなコンテナを奮発するのも一案です。英国では「少ないほうが時には大きな力を持つ」という言葉がありますけれど、コンテナの場合にも言えることですね。

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ガーデニングコンテスト作品
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Terracotta:テラコッタ

写真ハンドメイドのテラコッタ(素焼き)のコンテナは、庭の中ではいつもすばらしい役者となります。気をつける点は、凍害に強いかどうかを確認することでしょう。高温で焼成するハンドメイドのテラコッタであれば大抵の場合凍害を心配しなくて良いと思います。またその形も重要です。外へ広がったような形をしているものなら、凍って膨張した土は上へ押し上げられますが、アリババタイプ(つぼ型)のようなものは難しいかもしれません。

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Stone:石

写真自然石の盃型コンテナなどは、クラッシックなタイプの庭にはぴったりですが、たいていはとても高価なうえ非常に重いという難点があります。最近では、見た目はほとんど変わらない、自然石のダスト(粉)などをレジンで固めて作る2次成型のものがかなり安価で手に入ります。私たちの作ったモデルガーデン(写真一番上)の手前部分にあるものも同じタイプです。



Wood:木製

写真英国では木製のウィンドウボックスというのが一般的に使われていますが、長形のものであればどんな素材でも構いません。良いものになると、土によって腐食するのを避けるために内側がプラスチックになっていることもあります。好みのカラースキームで塗装するのも一案ですね。

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Metal:金属

写真これはまだあまり一般的とは言えませんが、古くなったジョーロやコールスカッター(石炭をすくうための入れ物)、浴槽や荷車などでさえプランターとなりえます。金属製のものはたいていは重いですから、場合によっては、土や植物を入れる前に設置することが必要になるかもしれません。鉢底に、水抜きの穴が必要なこともお忘れなく。



Plastic:プラスチック

写真安価で軽量ですが、紫外線に長いこと当たると劣化します。あまり派手な色のものを選ぶと花色に影響するかもしれませんが、ひと回り大きくて素敵なコンテナの中に落とし込んで使ってもいいわけです。



FRP:ファイバーグラス入り強化プラスチック

写真これはプラスチックよりもグレードが高く、最近の庭でもよく見られるようになってきました。テクスチャー(質感)や色などが自然のものとごく似ているのと、大体どんな形のものものでも作れて以外と安価です。おまけに自然素材よりも軽量ですから小さな場所やバルコニー、ルーフガーデンにも向いていますね。



Other:その他

日本の園芸文化である盆栽などによっても生まれたコンテナ類の多様さはとても魅力的です。言ってみれば、土を入れることができて、水を排水することができる機能を持ったものであればなんでもアーティスティックな植栽をするコンテナになり得るということですね。

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コンテナに関するヒント

プラスティックのものは、別の素材の鉢の内側に使うと良い。


木製のものはライナーを使わないと、腐りやすい。


ガーデンのスペースがない人にも、
庭代わりに使えるのがコンテナ。


テラコッタの場合は、凍害が起きないような質のものを選ぶ。


FRPは自然素材に見えるが、
軽くて安価であり、すばらしい代替品となりうる。


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