2004/09 |
いよいよ秋。空が高くなってきましたね。今回は、お月見にお約束の2つの植物です。旧暦の8月15日、今年の中秋は9月28日です。昨年に引き続き満月だそうですよ。日ごろ夜空を見上げる暇のない人たちも、今年はこれらの植物を飾り、丸いお団子や秋の収穫物であるサツマイモや栗、ブドウなどをお供えしてお月見を楽しんでみませんか?秋の長雨のシーズンですが・・・晴れるといいですね!
ワレモコウ (Sanguisorba officinalis)
秋の高原などで、濃紅色をした楕円形のかわいらしい花を咲かせます。派手ではないけれど、秋を感じさせてくれるこの花は古くから生け花などでも愛用されてきました。ワレモコウは、バラ科ワレモコウ属の多年草。吾木香(根がインドの木香に似ているから、わが国の木香の意)、割木瓜(漢民族の丸い模様で鳥の巣と卵を表す「木瓜・もこう」が割れた形に似ているの意)、吾亦紅(われもまた紅いの意。和歌や俳句の世界ではこの漢字が一般的に使われる)などいろいろな漢字があてられています。
ススキ (Miscanthus sinensis)
秋といえばこのススキ。秋の七草ではオバナと呼ばれ、漢字で薄や芒とも書くススキはイネ科の大形多年草。オバナのほかにもカヤ、テキリガヤ、カヤンボなどの別名でも呼ばれています。カヤ(茅、萱)というのは、茅葺き屋根のカヤのことです。
地下茎には利尿作用や腫れ物などに薬効があり、茅葺き屋根の材料や家畜の飼料、炭俵の材料になるなど、農村にとってはとても大切な植物でした。古くは、カヤ場というのが農村によって維持されてきたのですが今では野草扱いで、ススキの草原が少なくなったのは残念なことです。
ススキの名前は、「すくすく育つ木(草)」から来たという説や、古代の神楽の折にササやススキ、アシなどをさやさやと鳴らしたススケ(稲などに似た草の意)が語源だという説もあります。よく似た仲間にオギというのがありますが、ススキが株立ちになるのに対し、オギは株にならず、地下茎から1本ずつ茎が出てくるという違いがあります。ススキはざらついた縁の、平たく長い葉が根茎にたくさんついて株を作ります。
ススキの葉で、手を切った経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。花は、咲き始めは花枝が横向きになっていますが、そのうちにすぼんで毛束になり、成熟するとタンポポのように、毛のある種が強い風によってすこしづつ飛散します。ススキには鑑賞用に斑入り種の、シマススキやタカノハススキ、ヤクシマススキ、トキワススキ(常緑)などがあり、栽培は簡単です。 |
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