2004/12 |
クリスマスが終わるとあっという間にお正月の準備。年が改まると、心もリフレッシュして、新しく清らかな気持ちになるものです。 願わくは、野に咲く花のように、他の花と自分を決して比べることなく、ただ「花のいのち」を生ききる境涯になりたいと思いつつ、実際は世俗の縁に左右されて平安とはほど遠い毎日を送っていたりする自分ですが、新年は新しい自分を予感させてくれます。花たちとも、新鮮な驚きを忘れずに出会ってゆきたいと思っています。1年間お付き合いいただいてありがとうございました。みなさまが心豊かでお幸せな新年を迎えていらっしゃることを祈りつつ・・・。 今回は早春のイメージを持つ2つの植物を見てみましょう。
ユキワリソウ (Hepatica nobilis var. japonica)
ユキワリソウという名前から、雪の中から咲いてくるイメージがありますが、2月末〜5月ごろにかけて咲く花で、雪が山に残っている頃咲くと似合うかもしれません。初めて出会ったときはその可憐さに圧倒され、言葉も出ませんでした。どちらにしても春を告げる花であることにかわりはありません。ユキワリソウと呼んでいるのはキンポウゲ科の宿根草ですが、艶のある葉はトランプのクラブみたいに3つに分かれて先がすこしとがっているので別名ミスミソウ(三角草)とも呼ばれています。花径2cm、草丈10cm程度。花色や花姿は様々です。園芸でユキワリソウと呼んでいるのはこのミスミソウの通称で、種名のユキワリソウというのはサクラソウ科で別のものだそうです。 本州、四国、九州の海岸背後の山地などに自生しますが、栽培種もたくさん出ています。中には一株数万円するという高価なものもあるそうですよ。鹿沼土をメインに焼赤玉土、桐生砂などを少し混ぜた水はけの良い土壌で、花期以外は半日陰で管理します。根ぐされを起こしやすいので水遣りに注意しましょう。
スイセン・バルボコジウム (Narcissusbulbocodium)
ヒガンバナ科球根類。スイセンというとラッパスイセンやニホンスイセンが思い出されますよね。英国の春はスイセンで始まるといってもいいくらい、春になると道路沿いや大木の下、個人邸のお庭などあらゆるところがスイセンであふれます。園芸改良品種がものすごく多く、RHS(英国王立園芸協会)の登録だけでも1万種以上はあるそうです。このバルボコジウムというのはちょっと変わっていて一度見たら忘れられない形をしています。花の形から、ペチコートズイセンとも呼ばれているんですよ。花径も2cm程度と小さく、草丈も10〜20cm程度です。葉も、断面が丸くてニラのように細長い形をしています。南欧原産のバルボコジウムはとても丈夫で、秋10月〜11月頃花壇に地植えすると早春から長い間花を楽しむことが出来ます。丈夫ですから植えっぱなしでいいのも嬉しいですよね。同じく植えっぱなしにしておいて、同じ時期に花を咲かせるムスカリ・アルメニアカム(Muscari armeniacum) と一緒に植えてはいかがでしょうか?青紫のムスカリと、元気な黄色のバルボコジウムが一緒になるとお互いに引き立てあって、すばらしい景色を見せてくれますよ。 |
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