Fumikoの季節の植物たち
2005/10
11月ともなると秋が深くなり、やがて来る冬を思わせるような寒い朝が多くなってきます。落ち葉を踏みしめての散策も、だんだん静かで瞑想的なものになってくるような気がします。お庭のほうでも冬へ向けての準備で忙しくなっているかもしれませんが、11月ごろから、ランの仲間が花を咲かせて私たちの目を楽しませてくれるようになります。そのランのなかから私の好みで2つ選んでみました。


カンラン(寒蘭)(Cymbidium kanran)
画像太平洋側の暖地(屋久島、南西諸島、九州、四国、紀伊半島など)で、広葉樹林の林に生えるラン科の多年草ですが、乱獲などによって自生種がほとんど見られなくなっている絶滅危惧種です。同属のシンビジウムの花から比べると、華やかさに欠けるというひともありますが、この渋さ、日本人の心奥にある「侘び寂び」の世界を刺激する美しさがあると思いませんか?繊細な美しい花だと私は思います。絵にあるのは「日光」という種類です。シュンラン(春蘭)と並んで東洋のランを代表するこのカンランは、昭和30年代全国で大ブームになり、自生種が乱獲されて今では殆ど見つけることさえ困難になっています。11月から1月にかけて、細い花茎に、3枚の細い花弁と3枚の萼からなる花を3〜10ほど付けます。また花にはとてもよい香りがあります。日本全国には、数多くの愛好家のかたがいらして伝統的な園芸の文化が伝承されています。栽培の基本は、「冬暖かく、夏は涼しく」でしょうか。弱酸性で保水性、排水性のある土で、風通しのよいところで肥料は少なめに管理します。水やりは3月の芽立ち時と成長期には多めに、冬は控えめにします。植え替えの適期は9月か3月。毎年植え替えて管理します。私はまだまだ観賞させていただくにとどまっています。


オンシジウム・アロハイワナガ(Oncidium Aloha Iwanaga)
画像秋が深くなる頃から、小さな蝶々のような黄色の花を沢山咲かせてくれる、スズメランとも呼ばれるこの花には、このほかに「ダンシングバレリーナ」や、「バタフライオーキッド」といった華麗な別名もあります。ラン科オンシジウム属は、なんと400種以上にものぼり、葉の形などによって薄葉系、厚葉系、剣葉系、棒状葉系に分けられますがこの絵のアロアイワナガは、薄葉系で、比較的育てやすいことから人気があるようです。花持ちもよくアレンジメントなどにも適しており、ランといえば高価だというイメージがある中で、オンシジウムは手頃な値段で手に入れることができることも大きな魅力のひとつでしょう。名前からもわかるように、日系ハワイの方が育種したといわれていますが原種は中南米だそうです。日本では、日本書紀に記載があり、大和時代に唐から献上されたと記録されているとか。適温は13〜25℃ですが、冬は3〜5℃あると越冬します。10月になったら室内の日当たりのよい場所に移動しましょう。春から秋は、風通しのよい戸外の半日陰に置きます。培養土が古くなったり、根が傷んだりしているようなら新しいミズゴケで植え替えます。バルブが上に上るタイプなので、トップバルブの発根部分がミズゴケの中に入るように植えましょう。通常は1年〜2年に一度、4月〜5月頃に、株よりも少し小さめの素焼き鉢で植え替えます。水やりは、春から秋は、乾いたらやり、秋から春は、よく乾いているのを確認して、暖かい日の午前中、少しぬるめの水をあげましょう。室内が乾燥しているようならに日中に葉水を与えます。どちらにしても、乾湿のメリハリがきいた管理を心がけます。


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