猫ちゃんはワンちゃんと違って、徹底した肉食動物です。 |
動物が健康に体を維持していくために必要な栄養素は、「タンパク質」「脂肪」「炭水化物」「ビタミン」「ミネラル」の5つです。
肉食動物である猫ちゃんは、特に高タンパク、高脂肪を必要とします。
猫ちゃんの健康のためには、猫ちゃんに合った栄養素をバランスよく体内に取り入れることができる食生活をおくることが何よりも大切です。
総合栄養食のキャットフードには、猫ちゃんに必要な栄養素が含まれています。家庭での手作りフードを与える場合は、栄養バランスに配慮しましょう。
猫に人が食べているものをあげると、とても喜びますが、しつけや猫の健康のために与えないようにしてください。
人の食べ物は、猫には塩分や脂肪分が多すぎ、長年食べ続けていると、肥満や腎臓病になるおそれがあります。
また、人が食べてもなんでもないけれど、猫にとっては健康を害する危険な食べ物もあります。
<タマネギや長ネギ> タマネギや長ネギなどのネギ類やニラには、猫の血液中の赤血球を破壊する成分が含まれており、猫がネギ類を食べると急性の貧血を起こしたり、血尿を出したりします。毒性は加熱しても破壊されません。 |
<イカ> 「猫がイカを食べると腰を抜かす」と言いますが、これは迷信ではなく、生のイカを食べるとビタミンB1欠乏症を起こし、腰がふらついて歩行困難になることがあります。 また、加工されたスルメイカなども、食べ過ぎると消化不良や嘔吐の原因になります。 |
<生の豚肉> 生の豚肉には、人獣共通感染症の一つである「トキソプラズマ症」の感染源となる、トキソプラズマ(原虫)のオーシストという卵のようなものが含まれていることがあります。 加熱すればオーシストは死滅します。 |
<牛乳やチーズなどの乳製品> 猫ちゃんには牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素が少ないので、下痢を起こすことがあります。 また、子猫には猫ちゃん用のミルクを与えてください。 |
<塩分の多い食品> 汗腺が発達しておらず、ほとんど汗をかかない猫ちゃんは、人の約3分の1程度の塩分しか必要としていません。 人と同じ食べ物は、猫ちゃんにとっては塩分が強すぎ、体に悪影響を与えます。 |
<刺激の強い香辛料> わさびやこしょうなどの香辛料は、胃を刺激して感覚を麻痺させる恐れもあります。 |
<冷蔵庫から出したばかりのもの> 冷蔵庫から出したばかりの冷たい食べ物は、お腹を冷やして下痢をしやすくするので、常温に戻してから与えてください。 |
人でも赤ちゃん、育ち盛りの子ども、生活習慣病が気になる中高年、高齢者と、年齢によって必要なカロリーや食事の内容が異なるように、猫ちゃんでも子猫、成猫、高齢猫では必要な食事内容が違います。
猫ちゃんのライフステージ(成長段階)は、「成長期(幼猫)」、「維持期(成猫)」、「高齢期(高齢猫)」に分けられており、ライフステージに合わせた食事を与えることが大切です。
一般的に0~12カ月以下が「成長期」とされます。
猫ちゃんは生後約6週間で乳離れし、わずか1年で成猫に成長します。
成長期は、子猫の骨格や筋肉、内臓などの体の組織が急激に発達する時期であり、成猫以上のタンパク質や脂肪、ミネラルなどが必要となります。
猫ちゃんの健康を左右する大切な時期なので、食事には十分に気を配ってください。
子猫は成猫の約3倍のカロリーを必要としますが、消化機能はまだ未熟で、一度にたくさんの量が食べられません。
生後6カ月くらいまでは、1日の食事量を3~4回に分けて与えます。食事の量は成長に併せて、少しずつ増やしていきます。
維持期は1~7歳頃で、猫ちゃんの一生の中で半分を占める成猫の時期です。
この時期の食生活が、その後の健康を大きく左右するといっても過言ではありません。
成長期と同様の高タンパク質・高脂肪のフードを与えていると、あっという間に太ってしまい、内臓や骨に大きな負担がかかってきます。
成猫に合った栄養バランスのものを、適量与えるようにします。食事の回数は、1日2回くらいにします。
猫ちゃんの老化は、7~8歳くらいから始まります。
人間同様、個体差はありますが、運動量は減り、体の機能は徐々に衰えてきます。
若い頃と同じカロリーの食事を与えていては、肥満になり、体にいろいろな弊害がでてきます。低カロリーのフードを与えるようにしましょう。
高齢猫は、運動不足と腸の働きの低下から、便秘になりやすくなるので、食物繊維を多めにとらせるのもよいでしょう。
また、12~15歳くらいの高齢では歯槽膿漏になったりして、かたいものが食べにくくなりますので、食べにくそうになったら、やわらかいフードを選ぶことも大切です。
健康ならば15歳くらいまで生きることができ、20歳まで生きる猫ちゃんも少なくありません。
つまり、猫ちゃんの一生の中の半分くらいが高齢期とも言えます。食事や健康管理に気を配ることで、猫ちゃんの老化の進行を遅らせることもできます。
食事は、健康で元気に暮らしていくために欠かすことができません。
野生時代、猫ちゃんは自分でハンティングをして、獲物を捕まえて食べていました。
しかし、私たちとともに生活している猫ちゃんは、自分で食事を選ぶことができず、飼い主から与えられたもので栄養をとらなければならないので、食事には十分に気を配る必要があります。
キャットフードのメリットは、猫ちゃんに必要な栄養成分がバランスよく含まれているので、いつも安定した食事を与えられることです。
さまざまなタイプのキャットフードが市販されている今、猫ちゃんの健康のためにも良質なフードを選ぶことも重要です。
アメリカには、AAFCO(アフコ:米国飼料検査官協会)という、ペットフードの栄養に関する厳正なガイドラインを定めている団体があり、この団体のガイドラインが世界的な栄養基準となっています。
日本でも、「ペットフード公正取引協議会」がAAFCOの栄養基準を反映した規約を設けています。
こうした基準やガイドラインに基づいているということも、フード選びの判断材料になります。そうした情報は、商品パッケージに表示されています。
キャットフードは、フードの中の水分含有量によっていくつかのタイプに分けられていて、それぞれに特徴があります。
どれが一番優れているというわけではないので、猫ちゃんに合ったタイプのフードを選ぶとよいでしょう。
<ドライフード> 水分含有量が10%以下で、カリカリになった固形状のフードです。 同じ重さの他のフードと比べると、タンパク質や脂肪、炭水化物などの栄養素が多く含まれるので、経済的です。 保存性もよく、開封後も腐敗したり、カビがはえたりしにくいという利点もあります。 フードそのものの水分は少ないので、十分な水と一緒に与えるようにして、水分不足にならないように注意してください。 |
<ウェットフード> 水分が75%以上含まれているフードで、缶詰やアルミトレー、レトルトタイプに多く見られます。 牛肉、鶏肉、魚などの素材の味をそのまま生かすことができるので、猫ちゃんも好んで食べます。 開封前は長期保存できますが、開封後は保存がきかないので、別の容器に移し替えてラップで密封して冷蔵庫で保存、早めに与えます。 開封後、丸1日過ぎたら、処分したほうがよいでしょう。 |
最近では、食物アレルギーの猫ちゃんも増えています。
食物アレルギーとは、おもに特定のタンパク質に対して体が過敏な反応を起こすことです。猫ちゃんにアレルギーの心配がある場合には、低アレルギーと表示されているフードを選ぶのも一案です。アレルゲン(アレルギーを引き起こすもと)が特定できている場合は、その食品が入っていない食事に切り替えます。
アレルギー症状が激しい場合は、獣医師ともよく相談して食事を選ぶようにしてください。
自分でハンティングしていた猫ちゃんは、ワンちゃんと違って、もともと食事は量より質にこだわり、おいしいものを少しずつ、何回かに分けて食べる食習慣があります。 一定量のフードを回数を多く分けて与えることは、猫ちゃんにとって理想的です。 また、キャットフードの場合は、それだけで栄養が足りています。魚の切れ端などをあげると、栄養バランスがくずれてしまうので、なるべく与えないようにします。 |
猫ちゃんには偏食が多く、子猫の頃の食事にこだわる傾向があるので、子猫の頃からなるべくバラエティ豊かなフードを食べさせてみてください。
また、食べないからといって、次々にぜいたくなものを与えていると、もっとおいしいものをもらえるかもしれないと期待して、気に入ったものが出てくるまで食べようとしなくなります。
猫ちゃんが狩りをしていた野生時代は、毎日、獲物を捕まえて食事にありつけるとは限らなかったので、猫ちゃんはもともとムラ食いをする生き物です。元気があれば、1回くらい食べなくても大丈夫です。食事を出して10分たっても食べないときは、いったん片づけ、1~2時間してからもう一度出してみます。おなかが空けば、猫ちゃんも根負けをして決められたものを食べるようになります。
猫ちゃんは食べるか食べないかをニオイで判断しています。新鮮な食べ物を好む猫ちゃんは、古い食べ物や不潔な食器の中のものは、口をつけません。食器はつねに清潔にし、食事は新鮮なものを与えます。
食べ終わったら、食器は下げてきれいに洗って片づけます。
残っているからとそのままにしておくのは不衛生ですし、食事の区切りもつきません。
いつまでも食事を出しておくと、「いつでも食べられる」と猫ちゃんは考え、遊び食いやだらだら食いが習慣化し、体調が悪くて食欲がないときも、気づきにくくなってしまいます。ただし、水だけはいつでも飲めるように新鮮なものを用意しておきましょう。
人間同様、猫ちゃんにとっても、肥満は万病の元です。 肥満になると心臓や内臓の負担も大きくなるし、泌尿器系の病気になる可能性も高くなります。 メインクーンなど大きな種をのぞいて、一般的な成猫の平均体重は3~5kgです。 体重が5kgを越えていたり、下腹が垂れていて手で支えることができるような場合は肥満です。 一般的に、男の子よりも女の子のほうが太りやすい傾向にあります。また、避妊・去勢をした猫ちゃんでは、異性を求めるために費やすエネルギーが減る分、食欲が安定するので、少しカロリーを控えなければ太ってしまいます。 生殖に関わるホルモンが減少することで、ホルモンバランスが崩れることが影響している場合もあります。 |
育ち盛りの子猫は、成猫よりもたくさんのカロリーを必要とします。
しかし、与えすぎていては、脂肪細胞の数が増えてしまいます。
成猫になってもその状態が続くと、一つ一つの細胞のサイズが大きくなってしまい、さらに脂肪が蓄積すると、それほど食べなくても体重が減らなくなってしまいます。肥満防止のためには、子猫の頃からの食事管理と運動が大切です。
また、室内飼育の猫ちゃんたちは運動不足になりがちですし、避妊・去勢をしているとエネルギーの消費量も少ないので、規定量のフードを与えていても、太ってしまうことがあります。体重をはかる習慣をつけておくと、体重の変化に気づくことができます。
肥満改善の手段として、やみくもに食事の量を減らすのは、健康上おすすめできません。
まずはなぜ太ったのか、その原因を探り、計画をたてることが大切です。
次に、「いつまでに何キロ落とすか」という目標を明確にします。なんの目標もなく、ダラダラやっていては、猫ちゃんも飼い主もつらいだけです。
太っている場合は、現在の体重の15%の減量をまず目標にし、期間を決めて集中して取り組みます。定期的に体重を計ってグラフにすることも、成果がわかって励みになります。
ダイエット期間中は、1日に与えるフードをきちんと計量し、1日2~3回分の小分けにしておくと、与えすぎを防ぐことができます。おやつもこの中から与えるようにします。
また、一緒に遊ぶ時間を増やして運動させることなども効果的です。
ただし、運動量を急激に増やすのは、太りすぎている場合は心臓や関節に負担がかかったり、足腰を傷めたりすることがあるので、おすすめできません。
食事コントロールで少し体重を減らして体を軽くしてから、徐々に運動量を増やしましょう。
情報提供:花王株式会社
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