猫ちゃんのしつけ

猫ちゃんのしつけ 猫ちゃんのしつけ

猫ちゃんのいたずらにお困りではありませんか?猫ちゃんのしつけの考え方や具体的な方法をご紹介します。

しつけの考え方

猫ちゃんは自分で『判断』する生き物です

「ワンちゃんは人の言うことをちゃんと聞くのに、猫ちゃんはちっとも言うことを聞かないし芸もしない」とよく言われます。しかし、これは大きな誤解。猫ちゃんに学習能力がないわけでも、知能が低いわけでもありません。
群れを作って生活をするワンちゃんには、もともとリーダーの指示に従う習性があります。一方、野生時代に単独生活を送ってきた猫ちゃんは、自分の身を守るために何事も自分で判断する習性をもつ生き物です。だから、ワンちゃんのように他者の命令に従う必要もなかったのです。猫ちゃんにだって教えれば、オテやオスワリを覚える能力はありますが、必要がないことなので覚えようとしないだけなのです。

猫ちゃんに必要なのは『命令ではなく提案

けれども、一つ屋根の下で人と一緒に生活していくためには、猫ちゃんにもある程度のしつけが必要になってきます。ただし、猫ちゃんのしつけとは、ワンちゃんのように飼い主がリーダーになって行動をコントロールすることではありません。猫ちゃんも飼い主さんも快適に暮らすためのルールをつくり、お互いにそれを守ることが大切です。
・そそうをしないように使いやすいトイレを用意する。
・あちこちで爪をとがないように爪とぎの場所を提供する
「猫を追うより皿を引け」というように、猫ちゃんの習性をよく理解したうえで、飼い主さんが知恵を搾れば、暮らしの中のトラブルもそれほど起こりません。
しつけは子猫の時期に行うことが効果的ですが、成猫になってからでも不可能ではありません。少し根気が必要になりますが、焦らずにじっくりと取り組みましょう。

ほめ方、叱り方

叱られても、その理由が猫ちゃんにはわからない

猫ちゃんは叱られてもちっとも反省しないし、知らんぷりをするという声がよく聞かれます。
しかし、なぜ猫ちゃんを叱るのか、その理由を考えてみると、多くの場合は、飼い主さんがしてほしくないことを猫ちゃんがしたときだと言えるでしょう。
家具で爪をといでも、カーテンによじ登っても、棚に上ってたまたま物を落として壊したとしても、猫ちゃんは自分の本能のままに行っただけであり、飼い主さんに迷惑 をかけたとか悪いことをしたとは思っていません。猫ちゃんは自分で判断してすべて良かれと思って行動しているので、その行動についてほめられたり叱られたりしても意味をあまり理解しないのです。だから、ごほうびやほめ言葉もあまり効果はありません。

大きな声で叱られるのは苦手

猫ちゃんを大声でガミガミ叱ったり叩いたりするのは、ほとんど意味のない行為です。
怒鳴られれば、猫ちゃんは攻撃されていると思うだけで、叱った人を自分にとって危険人物と判断し、避けるようになってしまいます。飼い主さんが叱っているときに、猫ちゃんがそっぽを向いたり、逃げてしまったりすることがありますが、これは決して無視しているのではなくて、不安や恐怖から必死で逃れようとしているのです。

天罰」で困った行動をやめさせる

しかし、飼い主さんにとってして欲しくないことを、猫ちゃんがする時だってあります。そんなときは、叱るのではなく「天罰」を与える方法が効果的です。これは、猫ちゃんが「して欲しくないこと」をしようとした瞬間やしている最中に、一時的に驚かせてその行動を中断させることです。天罰を何度か続けていくと、「その行動をしようとすると嫌なことが起こる」と学習し、次第にやらなくなります。
このとき、だれが天罰を与えているのかを絶対に猫ちゃんに悟られないようにすることが重要です。飼い主さんがやっていることがわかってしまうと、その人を避けたり、隠れてするようになるからです。猫ちゃんへの天罰には次のような方法があります。

トイレのしつけ

猫ちゃんのトイレのしつけは比較的カンタン!

猫ちゃんはもともと、砂漠地帯のさらさらした砂の上でウンチやオシッコをしていた生き物で、前足で排泄物の上に砂などをかけて隠す習性があります。室内に猫砂などを用意し、猫ちゃんの排泄の条件を満たす環境を提供してあげれば、猫ちゃんは比較的短時間でトイレを覚えることができます。覚えの早い猫ちゃんならば家に来たその日のうちに、覚えの遅い猫ちゃんでも1週間くらいあれば、たいがい覚えられます。くり返し教えても、トイレ以外の場所で排泄する場合は、体や心の病気も考えられるので、獣医師に相談してください。
新しく家にやってきた猫ちゃんが、トイレの中でオシッコやウンチをできるようになれば、その猫ちゃんが家に慣れてきた目安になります。

トイレは猫ちゃんが落ち着ける場所に置く

トイレは、人の出入りが少なく猫ちゃんが落ち着ける場所に用意します。中に入れる猫砂に、以前使っていた砂を少し混ぜると、トイレを覚えるヒントになりますし、自分のニオイがついていることで猫ちゃん自身も安心します。
また、猫ちゃんにトイレの場所を教えるにはタイミングが大切です。猫ちゃんが床のニオイをかいで、うろうろするしぐさが見られたらトイレのサインです。猫ちゃんをすばやく抱き上げ、トイレに連れて行きます。寝起き、食後や水を飲んだ後、運動の後もトイレのタイミング。子猫の頃はトイレの回数も多いので、よく観察して、トイレサインを見逃さないようにしましょう。 これを何度か繰り返していけば、スムーズにトイレを覚えます。
初めのうちはいったんトイレに入っても、トイレのなかをうろうろしたり、出たり入ったりすることもあります。慣れるまでは無理にせかさずに、じっくりと見守ってください。トイレでちゃんとできたら、やさしい声でほめてあげましょう。

失敗しても叱らないで! そそうのときの対処法

万が一、猫ちゃんがトイレを失敗して他の場所でしても、決して叱らないでください。大きな声で怒ったり、体罰を与えたりしても、猫ちゃんが怯えるだけでしつけとしての効果はありません。現行犯でしている最中ならば、大きな声で排泄を中断させ、抱き上げてトイレに連れて行きます。
また、そそうした場所にニオイが残っていると、同じ場所でする可能性もあるので、きれいにふき取ります。

床や家具にそそうした場合

オシッコをふき取った後に、住居用洗剤などでニオイを取り除きます。

カーペットへのそそうした場合

①乾いた布かティッシュで吸い取ってオシッコの広がりを防いでから、水で絞ったタオルで押すように拭きます。
②住居用洗剤をタオルにスプレーして押すようにして何度か拭き、お湯でぬらして固く絞ったタオルで拭き取ります。

もし、大人の猫ちゃんが突然、トイレ以外の場所でするようになったら、行動や健康面でのトラブルが考えられます。とくに猫ちゃんは泌尿器系の病気にかかりやすいので、おかしいと思ったら、動物病院で相談してみてください。

爪とぎのしつけ

爪とぎの目的をきちんと理解しよう

多くの飼い主さんを悩ますのが、猫ちゃんの爪とぎです。家具や柱、壁などで、猫ちゃんはおかまいなしに爪をとぎます。 しかし、爪とぎは猫ちゃんの習性であり、猫ちゃんにとっては大切な行動で、いくつかの目的があります。 爪とぎは猫ちゃんにとって必要不可欠な行為ですし、無理やりやめさせないようにしましょう。

爪のお手入れ

一番の目的は、爪のお手入れです。猫ちゃんにとって爪は、獲物をつかまえたり、自分の身を守ったりするための大切な武器です。頻繁に研いで古い爪をはがし、いつも鋭くとがらせておく必要があるのです。また、猫ちゃんは爪とぎが大好きですが、この行為そのものにストレスを発散させて気持ちを落ち着かせる効果があり、前足をぐーんと伸ばすことは、筋肉のストレッチにもなります。

マーキング

ほかに、爪とぎには自分のなわばりを主張する、マーキングとしての目的もあります。
自分のなわばりの証として、爪あとを残すだけでなく、肉球や爪の周辺からはフェロモンが出ていて、爪とぎをすることで自分のニオイをこすりつけているのです。

猫ちゃん好みの爪とぎを見つける

とはいえ、家中、爪あとだらけにされてはやっぱり困りものですから、決めた場所で爪とぎをするように、習慣づけましょう。
猫ちゃんは、身近な物のなかから、とぎ心地のよかったものを選んで、自分の爪とぎ場所とします。
また、猫ちゃんは自分のなわばりを主張するために、環境の中で一番目立つ場所をわざわざ選んで爪をとぎます。
猫ちゃんが気に入る爪とぎ場所は、表面がガサガサしていて、爪が引っかかりやすくて、ある程度の高さや安定感がある場所です。
市販されている爪とぎ器の素材には、カーペットタイプ、段ボールタイプ、木製タイプ、縄タイプなどがあり、形も横に寝かせて使うものや、立てて使うものなどがあります。猫ちゃんの好みの素材と爪とぎの体勢をしっかり見極めて、猫ちゃんが満足するものを選んであげてください。

爪とぎの場所をしっかり教える

爪とぎ器は猫ちゃんがわかりやすいところに置きます。他の場所でしそうになったら、すぐに爪とぎ器のところに連れて行きます。間に合わず、他の場所でといでしまったら、大きな声を出して、とりあえず爪とぎを中断させます。
爪とぎ器の使い方を教えるときは、猫ちゃんの前足を爪とぎにこすりつけます。すると、自分のニオイがつくので、なんとなく理解します。爪とぎ器がボロボロになっても、新しいものに変えないでください。猫ちゃんはこのボロボロ感をとても気に入っていることもあります。

爪とぎをされたくない場所は工夫で守る

爪とぎをされたくない家具やカーペット、壁や柱などは、飼い主さんが知恵を絞って防御したほうが賢明といえます。爪がとぎにくいつるつるとしたビニールや、猫ちゃんが嫌うアルミ箔などで覆っておけば、その場所での爪とぎを避けるようになります。また、猫ちゃんの爪が伸びすぎないように、こまめに爪切りをする習慣をつけるとよいでしょう。

ハウスのしつけ

室内でも猫ちゃんのくつろぎ空間を与える

「ハウス」とは、猫ちゃんをキャリーバッグやケージに入ることを慣らすためのしつけです。普段から「ハウス」に入る習慣がしっかり身についていれば、一緒に旅行に行くときや、万が一災害が起こって避難するときに、猫ちゃんも抵抗なく入ることができます。
それが、ごくまれに苦手な動物病院に行くときだけキャリーバッグに入るということでは、「キャリーバッグ」=「不快・不安」になってしまい、抵抗したり逃げ回ったりして、いざというときになかなか 入ってくれません。
また、猫ちゃんがいたずらをしたときや、来客があったときに「ハウス」に閉じこめてしまう方がいらっしゃいますが、ハウスはお仕置き部屋ではありません。

「ハウス」のトレーニング

ケージやキャリーバッグに慣らすには、そこが楽しくて安心できる空間であるということを猫ちゃんに教える必要があります。ケージの中に大好きなオモチャや、またたびを少量入れておいたりして、ハウスの中は楽しいところだと印象づけます。
また、好奇心旺盛な猫ちゃんは、もともと箱や袋の中に入るのが大好きです。必要なときだけキャリーバッグなどを押し入れの奥から引っ張り出すのではなく、普段からさりげなく、部屋の片隅に置いておけば、自ら中に入って探検したり、くつろいだりするようになります。猫ちゃんがハウスに入っているときは、注目して騒いだり脅かしたりせずに、そっと見守りましょう。

情報提供:花王株式会社
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