ガーデンデザイナーのお仕事紹介
これは、広島のあるニュータウンで、40棟のうちの、「ブリティッシュゾーン」をテーマにした10棟の建売住宅の庭をデザインしたときのものです。他のテーマには「ナチュラル」「デザイナーズ」「プロヴァンス」などがありました。「ブリティッシュ」ということで、その10棟のガーデン部分を英国風にデザインするというのが私たちの仕事でした。庭には2台分の駐車場が必要であることと、10棟が統一したイメージに仕上げること、英国風植栽という条件も満たす必要がありました。この現場を例にとって、デザインのステップを見てゆきましょう。現場の状況を把握します
- 敷地には高低差がない。
- 接面道路と敷地の間に舗道はない。
- 予算が決められている。
- 南向きの住戸
- 2台分の駐車スペースをとるため
ガーデン部分はあまりない。 - 電柱やマンホールカバーなどの
障害物はあまりない。
ゾーンプラン
新築の家によくあるように、まず駐車場のスペースを確保することが必要で、又その位置によってガーデンのイメージも決まってきます。各目的や用途別に、たとえば駐車場、アプローチ、玄関エリア、ウォール、フェンス、照明、植栽エリアなどいくつかのゾーンに分けてみます。
構造部分のプラン
スケールにしたがって構造部分をプランし、簡単な図面を描いてみます。施工上必要な材料や色、寸法など必要事項を書き込みます。平面図などではわかりにくい高さなどについても明記します。英国のイメージを作るということで、この現場の場合以下のようなものを素材としてあげています。
- スチュアートがオリジナルでデザインして英国でつくらせたロートアイアン(鍛鉄)のフェンス
- レンガ積みのウォールとポスト(柱)
- レンガ敷きのアプローチ
- 駐車場ほかで使用されるコンクリート(カラーコンクリート)の分量が多いため、冷たい感じになるのを避けるため一部にモザイク模様を施す。
- 英国製メールボックスを取り付ける
植栽計画
通常の場合で、住み手がすでにある場合は、ミーティングが欠かせません。ライフスタイルや家族構成、色や植物の好み、そしてガーデニングにかける時間がどのくらいあるか、ガーデニングは好きか、また庭でどんなことをしたいのか、日照や土壌の性質などなど、オーナーの顔が見えない状態で植栽計画を立てるのは非常に難しいものがあります。
又植栽工事をする時期にも左右されますね。この場合は英国のテイストということなので、英国で、印象的な濃い銅葉の落葉樹、ノルウェーカエデのクリムゾンキングをメインツリーに、できるだけ住む人の負担が少ないような形で考えました。実際に英国ではほとんどの場合芝生だけで引渡し、住む人たちが少しずつ庭を自分たちで造ってゆきます。
家は完成して住み始めますが、庭はそのときがスタートですから、成長してゆく庭を鑑賞する楽しみがありますね。植えたときは寂しいくらいでも、数ヶ月、数年後を考えた計画が必要です。
この現場ではそのほかにイングリッシュホリー、ローレル、ブッドレア、マートル、サンゴミズキ、ガーデンルー、クレマチス・モンタナ、立性と匍匐性のローズマリー、カシワバアジサイ、アガパンサス、アカンサス・モリス、アルケミラ・モリス、クリスマスローズ、ゲラニウム(フウロソウ)、ディコンドラ・シルバーフォール、芝などを選びました。
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