Fumikoの季節の植物たち

2005/03

4月の声を聞けば、いよいよ春本番のイメージ。球根植物や花たちが、鮮やかな色でガーデンを彩りますね。 木々の芽吹き始めもなんともいえずステキ。この時期の柔らかな緑の色は、「みどり」と、ひらがなで書いたほうが似合うと思いませんか? 先日、栃木県大田原市の友人宅に招かれて週末を過ごしました。 そのときに、おもしろい姿の植物の群生地へ連れて行っていただいたので、ご紹介しますね。 春は、花も咲き、木々も芽吹き、人の心もわくわくして、じっとしていられなくなるような気がします。何かを始める気持ちになるのも、春ならでは。今年は、いままで庭を眺めるだけだったあなたも、なにか始めてみませんか?種ひとつ、鉢ひとつからガーデニングは楽しめますよ!


ザゼンソウ(Symplocarpus foetidus Nutt. Forma latisimus Makino)
画像別名ダルマソウとも呼ばれるこの不思議な形をした植物はサトイモ科の多年草で、中部以北の谷間や林のやや乾いた湿地に群生します。 ちょっと似ているミズバショウのほうはもっと湿地好みですね。 暗紫色、または黄緑色の仏炎苞の中に包まれるように花穂があり、その姿が、達磨大師が座禅を組む姿を思わせます。ダルマソウや、ザゼンソウの名はそこからきているんですよ。ちなみにラテン名のfoetidasは「悪臭がある」の意味で、その通り花には悪臭があり、英語名は「スカンクキャベツ」といいます。「ザゼンソウ」の名からはずいぶんかけ離れた名前ですよね(笑)。 仏教国でない国では、あの姿は別に「有難い」とは思えないのでしょう。根茎には精油成分があり、利尿作用があることが確認されています。 花は4月ごろですが、早いところでは2月下旬ごろから見られるようです。 花にすこし遅れて2〜7枚の、40cmほどに伸びる葉が出ます。 この植物は、やはり自然の中で群生している姿を静かに眺めるのが一番だという気がします。 達磨大師ではないけれど、宇宙や大自然と一体化する気持ちで眺められたらどんなにいいでしょう。


ミツマタ(Edgeworthia chrysantha)
画像ジンチョウゲ科の落葉低木であるミツマタは、コウゾと並んで和紙の原料であることで知られていますね。昔学校の試験問題に出たのを覚えています。室町時代に中国から渡来したミツマタは江戸時代から製紙に使われ、明治に入ってからは日本の紙幣用紙の主材料として使用されてきました。 英語名はその名の通りpaper bush( ペーパーブッシュ)だそうです。枝が三叉に分かれることから、ミツマタと呼ばれますが、3つに分かれるのは1年に一度なので、その箇所を数えると年齢がわかるそうですよ。お札になる木だけあって、花も黄金色。中には園芸種の赤花もあるようですが、春4月ごろ、葉に先立って枝の上部の葉腋に球形の頭状花をつける姿は美しいものです。 本当に、自然界の生き物達をみていると、敬虔な気持ちになります。 私たちが観賞している花のように見えるのはガクで、花弁はありません。 花蕾は生薬でもあり、解熱、消炎作用があり、眼病薬としても使われているということです。落葉なので、ジンチョウゲ科とは思いにくいかも知れませんけれど、花の形はジンチョウゲとよく似ています。そういえばジンチョウゲも3つに枝が分かれますね。 強健ですが、幼木は強い光を嫌うようです。挿し木か種まきで。 水はけの良い肥沃な、湿気の多い場所が好きなようです。萌芽力の強い木ですが、強剪定は避けるようにします。
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