Fumikoの楽しいガーデニング

Lesson 7 なめくじや病害虫と自然農薬


Lesson7-3:まずは予防から

予防医学というのがあります。人間と同じで、病気は予防が一番。健康な植物体には、病気も虫もつきにくいのです。健康で微生物の働きが旺盛な土と、正しい水やりによってかなりの予防ができます。植物100%の活性剤を与えたり、ごくごく薄めた木酢液やヨモギの抽出液を定期適に散布したりすることで病気の予防をすることも。

可愛がって育てた葉が、ナメクジなどに食べられて大きな穴を開けていたりするのはがっかりするし、チャドクガの幼虫のように、触ったつもりがなくても皮膚を激しく傷めるものからの害は避けたいですよね。予防に役立ついくつかのポイントを紹介しましょう。

自分の庭の環境に適応できる植物を選ぶ
自分の庭にない種類の病害虫を持ち込まないよう、庭木や鉢植えの植物はよく観察して無病害虫のものに限って導入するように。種苗や球根は健全なものを選ぶこと。
ある種の病害虫が次第に蓄積することを防ぐため草花、野菜の同じ場所での連作を避ける。
通風、採光に気をつける。
咲き終わった花がらや被害葉、枯れ枝などはこまめに除去。万一感染株や枝、葉をみつけたら速やかに除去、焼却する。
鉢、プランターなどのコンテナはなるべく新しい用土で。再使用の折は今の季節ならゴミや根などを取り除いた後黒いビニール袋に土をいれ、霧を吹くなどして水分を与えた後口をむすんで炎天下のコンクリート上などに1週間くらい放置しておきましょう。その後腐葉土などを加えて用土とします。
病害虫を媒介するナメクジなどを防ぐ。(後述)
予防、また発生から早い時期に自然農薬(後述)などを利用して防除する。


Lesson7-4:物理的な防除

原始的な方法ですが植物をよく観察し、アブラムシやカイガラムシなどが枝などに群生していたら、まずはへらなどで掻き落とし、ケムシやイモムシ、ナメクジなども見つけ次第取り除きましょう。割り箸などを使うと取りやすいですよ。物理的な防除法をいくつかお知らせします。被害を減らしましょう。

バンド誘殺:
画像秋になって気温が下がると、株元で越冬するために幹を降りてくる虫たちを、樹木の幹(地上から約1mくらいのところ)にわらや麻布、古なわなど(新聞紙やダンボールでも可)を巻きつけておいて誘いこみ、12月から1月ごろに取り外して焼却する方法。マツケムシ、ヘタムシ、カメムシ、アブラムシ、コナカイガラムシ、シンクイムシなど。
テープ巻き:
バラの花茎を、バラキクバチの産卵から守るために紙テープで巻く、または通風のために穴を開けた長い透明のビニール袋をかぶせて防ぐ。袋かけは果実にも行う。
アルミホイル:
株元の地表に、アルミホイルを敷く。反射光が葉の裏に当たり、アブラムシなどの寄生が防げる。アブラムシを媒介とするウイルス病の予防にも。
水圧:
噴霧器やシャワーで時に葉の裏に水を吹きかけて、ハダニやグンバイムシのような乾燥を好むものの繁殖を抑える。
ナメクジには銅:
鉢底の穴に、穴を開けた銅板を切ったものを置いたり、植木鉢をおく棚の足に銅の針金や銅板を巻きつけておくとナメクジがのぼってこない。鉢を直に置かないのも一案。
マルチング:
株元をわらなどでマルチングすると、地表の病原菌が雨のはねかえりによって葉裏について感染するのを予防できる。
コーヒー豆を、鉢そこにひとならべすると、バラなどにムシがつきにくくなる。


Lesson7-5:自然農薬

画像物理的な方法を試して、それでも防ぎきれなかったものについては、自然農薬を使うという方法があります。化学薬品、農薬による防除は病害虫を全滅する威力、効力がありますが、益虫も同時に殺してしまうこと、そして残留農薬も大変危険です。また病害虫も薬品に対する免疫力をつけてゆくためどんどん強いものを使用するという悪循環となります。

生き物を全滅させることはせず、うまく共存する気持ちで対処してはいかがでしょうか。私の友人などは、木酢液をお風呂に少量いれて入浴しますが、次の日にはその残り湯を庭に撒いています。そうすることでバラの病虫害が激減したそうです。身近なものを使って効果の期待できる自然農薬のいくつかを紹介しますね。

牛乳:
晴れた日の朝に、薄めないで霧吹きに入れ、スプレーする。アブラムシに効果あり。
米酢:
水で25〜50倍に希釈し、霧吹きなどでスプレーする。週に1度ほど散布するとウドンコ病に効果的なのと、臭いを嫌って害虫が近づかなくなる。
にんにく:
すりつぶしたにんにく1個に水1リットルを加え、布で濾してガラス瓶などで保存。使用時に更に5倍に希釈し、霧吹きなどに入れてスプレーする。ハダニなど多くの害虫に効果あり。臭いが強いので周囲のことも気遣って散布。
ワカメ:
1〜2握りのワカメを1リットルの水に入れて、煮出した汁をアリの通り道に撒く。
卵の殻:
小さく砕いたものを植物の根元に半分埋める感じで敷く。ネキリムシの予防になる。
ネギ液:
生のネギをボウルにいれ、熱湯1リットルを加えて30分ほど置く。更に水1リットルを加えて2倍に希釈し、そこに石鹸5グラムを削って溶かしいれ、布で2度濾す。これを霧吹きなどに入れてスプレーして使用。ウドンコ病や、灰色カビ病に効果がある。
唐辛子:
一掴みの唐辛子を広口瓶などに入れ、熱湯1リットルを加える。ふたをして24時間置いたものを、薄めずに使用する。アブラムシ、アオムシ、ホコリダニ、モザイク病、輪絞り病に効果あり。手袋着用しないと手が痛くなるので注意。
ミント石鹸:
少しの石鹸を削って水で煮溶かすときにミント(ペパーミントなど)をいれて抽出液をつくる。バラのウドンコ病の予防になるし、アブラムシにも効果。
コーヒー:
飲み残しのコーヒーはスプレーするとハダニの予防に。また病気の予防にも。またコーヒーのカスは堆肥などを少し混ぜて株元に撒くとセンチュウやヨトウムシに効果が。
ビール:
画像飲み残しを浅い容器に入れて植物のそばや通り道に置く。夜の間におびき出されて集まったナメクジを捕獲する。
ツクシ:
ツクシの頭だけを天日に干して(乾燥したもの約5〜6グラム)胞子が落ちないように気をつけながら1リットルの水に入れて5分ほど煮出し、石鹸5グラムを煮溶かした物を濾して使う。原液をスプレーする。べと病、さび病、ウドンコ病に効く。
木酢液:
市販のものがある。木炭を作るときに出る煙から作られるもので、これを500〜1000倍に希釈したものを1週間か2週間に一度株元に撒く。害虫の忌避効果があり、ウドンコ病の予防にもなる。また株全体にスプレーすることで葉の艶がよくなる。
レッスン内容
Fumikoからのメッセージ
Lesson 1
ツール(道具)
Lesson 2
土のはなし
Lesson 3
水のはなし
Lesson 4
花柄つみと施肥について
Lesson 5
剪定、切り戻し
Lesson 6
雑草のはなし
Lesson 7
なめくじや病害虫と自然農薬
Lesson 8
元気な植物を育てる(コンパニオンプランティング)
Lesson 9
土中の水分とマルチング
Lesson 10
コンテナとハンギングバスケット
Lesson 11
スタイルとテーマ
Lesson 12
カラースキームと、植物の持つヒーリングパワー


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