Fumikoの季節の植物たち
2004/05


タラヨウ (Ilev latifolia Thunb.)
画像モチノキ科の広葉常緑高木は厚みのある大きくて長楕円形をした艶のある深緑の葉が特徴。葉の周囲には細くて鋭い鋸歯があることからノコギリシバとも呼ばれるこの木が、「郵便局の木」だというのはご存知でしたか?

葉の裏に細い棒などで字や絵を書くと、すぐに黒く浮かび上がってくることからエカキシバ、ジカキシバなどとも呼ばれているこの木は神社やお寺によく植栽される木です。また、この葉を火であぶると斑点が浮き出ることからモンツキシバと呼ばれているそうで、なんだか面白いと思いませんか?

字を書けるということで、古代インドで葉に経文を書いた、というヤシ科の貝多羅樹(バイタラジュ)になぞらえて「多羅葉」とされたそうですが、これが葉書き「はがき」の語源になったといわれているのは興味深い話ですよね。今は日本郵政公社となった郵政省が平成9年にタラヨウを「郵便局の木」と定めたそうで、それから郵便局の庁舎に植樹するようになったそうです。葉の裏に思いをしたためて届けるなんて、ロマンチックですね!

雌雄異株で、5月頃前年枝の葉腋に黄緑色の集散花序の花が咲き、雌株には果実が秋に赤く熟しますから庭木としても適しています。幹肌は滑らか。実生で繁殖しますが、挿し木もできるそうです。湿気の多い林の下木として生育するので、陰樹として扱います。



オオイヌノフグリ (Veronica persica Poir.)
画像子供のころから一番好きなのがこの花でした。2月頃、このコバルト色の小さな花を見つけると、春の訪れを感じてうきうきしたものです。6〜8mmくらいの小さな花はちょっと触ると、ほろりと落ちてしまいます。双子葉植物、ゴマノハグサ科の2年草ですが、これはヨーロッパ原産の帰化植物で、明治初期に渡来し、もともと日本にはイヌフグリ(小型で3mmくらいの花色は淡い紫色)があったためオオイヌノフグリと名前がついたというわけです。

草丈は10〜25cmほどでやわらかい毛が生えていて、丸い1cm〜くらいの縁に鋸歯のある葉がかわいらしいです。花弁の中で1片だけが細長いため離弁花のように見えるけれど、合弁花だそうで、美しい瑠璃色のこの花は1日花です。

この外来種、花が大きいし、自家受粉もできるため、どんどん増え、今となってはもとのイヌフグリは絶滅を心配されるほど減ってしまっています。さて英名はBird's Eye(鳥の眼)という可愛いものですが、イヌフグリのフグリというのは実は陰嚢、睾丸のこと。なぜこんな名前になったのかというのは、その果実。2個つながった果実のかたちが、犬の○○に似ていることからだそうです。先日実を見つけました。・・・それにしてももうすこしロマンチックなお名前にできなかったものかしら。


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