何年も何十年もかけて、時には100年以上じっくり育てる盆栽。
マメな手入れが美しい芸術品を作り上げます。ここでは松盆栽の一般的な管理を紹介します。
日当たりが良く、風通しの良い所で、地面より80cmくらい高くして夜露のあたるところが理想的です。
・骨粉を少し混ぜたものに水を加えて練ります。潅水後、用土の上に置いて与えて下さい。市販されている油かすの乾燥固形肥料でも良いでしょう。その場合は、10号角鉢に4~5個の割合が適当です。緩行性の化成肥料や、窒素成分の比較的少ない液肥を使用することも可能です。
・年間の施肥回数は4~6回くらいです。春は3、4、5月の各中旬頃に1回ずつ、夏から秋にかけては7月下旬、8月中旬、10月上旬に与えます。ただし、植えかえ後1ヶ月ほどは与えないようにして下さい。
水やりは、土の表面が乾きぎみになった時に与えます。春・秋は毎日1回、夏と冬は加減を調整して下さい。鉢の大きさや樹種によっても変える必要があります。
盆栽では、「せん定」は非常に重要。樹の大きさに合わせて葉を短くしたり、バランスを整える役割を担っています。
冬芽が伸びた新梢をそのままにしておくと(図2)、それが長く伸び、新葉も8月頃まで伸びて「自然のままの長さ」になってしまいます(図6)。これでは盆栽としては葉が長すぎるため、長枝のもとの部分を少し残してきります(図3)。そうすることで、次に出る萌芽枝の数が増え(図4)、長さを短いまま保つことができます。
萌芽枝(次に出る芽)の葉の長さ | |||||
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新梢(長枝)を切る時期 | 6月上旬 | 6月中旬 | 6月下旬 | 7月上旬 | 7月中旬 |
萌芽枝の葉の伸長停止期 | 9月下旬頃←─→10月中旬頃 |
新梢を切る時期によって、萌芽枝の葉の長さは上の表のように変わります。この性質を利用して、樹形を整えて盆栽の葉のバランスを自在にとることができます。
・五葉松は4月中旬頃から芽が伸び始めます。新葉が2~3mm見えかけたら新梢の伸びはほぼ止まります。
・黒松のように芽摘みしてはいけません。
・9月頃に最終的に形を整えるようにせん定し、古葉を落します。
盆栽は、植えてからの年数が経つにしたがって、鉢の中の根が多くなり、水を通しにくくなります。また、用土の粒が次第に崩れ、通気性・保水性が悪くなります。そうなると、樹は生育不良や枝枯れを起こすことになります。
↓
伸びすぎた根を切り取って整理し、新しい用土で通気性や保水性、排水性を良くし、新根を良く伸ばすために植えかえをします。
松では3~5年を目安に植えかえをします。若い木では間隔を少し短めにして下さい。
2~5月、9~11月が適しています。
1.植えかえ前
2.鉢から抜く
3.根をほぐす
竹箸などで
ほぐしていく
4.根の整理
伸びすぎた根を切りつめる1/3~半分程度が適当
5.鉢の準備
6.用土を入れる
鉢底には大粒の土を
7.位置ぎめ
8.用土をつめる
作り土を細根の間にいれ、最後は化粧土で仕上げ
9.植えかえ後
1.植えかえ前
2.鉢から抜く
3.根をほぐす
竹箸などで
ほぐしていく
4.根の整理
伸びすぎた根を切りつめる1/3~半分程度が適当
5.鉢の準備
6.用土を入れる
鉢底には大粒の土を
7.位置ぎめ
8.用土をつめる
作り土を細根の間にいれ、最後は化粧土で仕上げ
9.植えかえ後
針金かけはいつでもできます。ただし、松類では芽や葉の伸びている時期は、作業中に葉が落ちたり折れたりしやすいので避けるようにしましょう。
・幹や同一の枝に2本以上かけるときは、針金を平行に巻きます。
・「たすきがけ」は、樹液の流れをさまたげたり、樹皮に傷がつくことがあるので避けましょう。
・ただし、枝先の方で1ヶ所に数本かける場合には、たすきがけになっても差し支えありません。
・枝を曲げたり方向を変えるときには、針金を巻いた方向に枝と針金を一緒にひねって小枝の位置を整えます。
・強く曲げて形を決めたいときは、曲げる部分の外側に針金がくるようにします。
・枝を曲げたり方向を変えるときには、針金を巻いた方向に枝と針金を一緒にひねって小枝の位置を整えます。
・強く曲げて形を決めたいときは、曲げる部分の外側に針金がくるようにします。
葉ふるい病
症状
7~9月の葉に淡緑色の小さい斑点を生じます。秋冬は進展せず、翌春の4~5月に病葉の横に横縞の線が入り、発病樹は赤褐色を帯びます。
対策
【予防】落葉を集めて焼却する、日当たりや通風を良くする。
【治療】100倍希釈の石灰硫黄合剤、または800倍希釈のダコニール水和剤。
マツオオアブラムシ
症状
黒色大型(成虫約5mm)のアブラムシ。松以外の植物には寄生しません。アブラムシ類が多く発生すると、すす病が発生しやすくなります。
対策
【予防】特にありません。
【駆除】1000倍希釈のオルトラン水和剤・1000倍希釈のDDVP乳剤・3~4kg/10aのダイシストン粒剤
※他、ハダニや毛虫類、カイガラムシ類も発生します。
※農薬はラベル等に記載されている使用基準に従い、適用のある作物に使用して下さい。