レンガを使ったガーデンプロジェクト

A Little History  レンガのちょっとした歴史ばなし

レンガの歴史は紀元前 12,000 年前にさかのぼります。

画像紀元前8000年頃、メソポタミア(今のイラクの一部)で、人類は始めて粘土を成形して日に干すことで建築材料を生産できることを発見しました。バベルの塔は、この日干しレンガで建てられました。メソポタミアの中心部、アッシリアのレンガは18kgの重さだったそうです。


画像4500年前のエジプトでは、サカラピラミッドが、泥と藁のレンガでつくられています。


画像紀元45年頃、ヨーロッパでは焼きレンガで家や橋を作っていました。英国ではローマ人が英国での首都として使用していたColchesterで紀元65年〜80年頃建てられたと思われるローマン・ウォールと呼ばれるものが一番古いレンガの建造物として知られています。このウォールの一部にはBalkerne Gateと呼ばれるゲートが町の西の入り口にあり、英国に現存する最古のゲートとなっています。


画像The Norman Baron, Eudo Dapiferは 1075 - 1080頃 Claudiusでローマ人の建てた寺院をベースに造られた Colchester城の天守閣で、英国では最大のものです。Colchester は、英国にきたローマ人が首都を置いたところですが、この城はローマ人の残した建築物などの廃物利用でできています。


画像 紀元410年にローマ人が英国から撤退すると、レンガの製造技術は一旦失われてしまいます。13世紀になってようやくフラマン(フランダース)人によって復活します。1666年のロンドンの大火のあと、英国の王が、「全ての建物はレンガか石造りとする」という法を制定します。ローマ人がつくったロンドン・ウォールは今でもロンドンの一部で見ることが出来ます 。


画像英国のレンガ製造技術は、オーストラリアに渡った英国人によってオーストラリアにも伝えられました。最初の船隊の船倉に積まれたレンガと、レンガを作る型はオーストラリアに着いてから16ヶ月後に建築資材として使用され始めました。矢印の模様の「コンビクト(受刑者)マーク」は1819年に導入されました。


画像日本では、1860年頃に、江戸幕府が当時唯一国交のあったオランダの指導で長崎製鉄所という、戦艦を作る建物を建造することになり、耐火の必要性からオランダの技術者を迎えて国内で初めてレンガを作りました。住居用には、ヨーロッパからアジア、中国を経て、グラバー邸で有名なコロニアル様式が同じ頃日本に渡ってきましたが、そのグラバー商会の技術社員だったウォートルスという人が明治政府に雇用されて、耐火性の高いレンガ製の大蔵省金銀分別所や銀座レンガ街などの建築物が生まれました。その後イギリスから建築家のコンドル、ドイツからエンデやベックマンといった技術者が政府に招かれ、司法省や裁判所などが1887〜1888年に完成します。この流れは日本の第一世代の建築家を誕生させて明治中期以降中央官庁、銀行などの建築が盛んに行われました。
大正12年の関東大震災以降は建築基準が改正され、レンガ建築には耐震性を持たせるために壁を厚くする義務が生まれ、コストがかかることから減少の方向になり、昭和のモダニズムの台頭でレンガからコンクリートへと変わってゆきました。写真は日本の交番。

<<「レンガの美しさ」へ 「デザイン・プランニング」へ>>


新着記事 | バックナンバー | 著者紹介