Lesson 9
土中の水分とマルチング
1.土中の水分
私たち人間もそうですが、植物の体も約80%が水でできています。炭酸同化作用で水から炭水化物を作り出し、葉からは水分の蒸散作用によって温度の上昇を防いでいます。水遣りをすると、土中の養分が水に溶けて養分が根から吸収されますし、日ごろはしゃんと立っている植物も体内の水分が減少すると、圧力が下がるのでしおれてしまうことになるのです。水はとても大切ですね。
水分といえば、生き物の体の水分や
土中の水分が月の満ち欠けに影響
されるという話を聞いたことはありませんか?大きな水である海の潮の満ち引きも月の引力に影響を受けていますよね。
一般的には、
新月から満月に向かって土中の水分は増加
し、月が
欠けて行くに従って減少
するといわれています。オーガニックガーデニングなどではその原理を使い、ムーン・カレンダーに従って種まきなどを実践する場合もあります。満月までの水分が増加する時期には地上部で育つ植物の種まきや植え替え、接木などに適しており、実際満月の2日くらい前に種を播くと発芽率が高くなることが実験で確認されているそうですよ。この時期は朝に作業をするとよく、逆に月が欠けていく時期は土中の水分が減少するため、根菜など地面の下に向かって育つ植物の植え替えや種まきなどに適していて、この時期には午後から夕方の作業がよいと言われています。
古代の農業では月だけでなく、自然の現象と一体化した作業をしていました。見直してみる価値はあるのではないでしょうか。・・・ちょっと脱線したかしら。農事暦の話はまた別の機会にしましょう。
さて、
適度な保水性のある土
は有機質をたくさん含んでいるものですが、逆に土中の水分が多すぎると根が酸素不足になり根腐れを起こす原因となります。皆さんの庭はいかがですか?
砂質土壌で排水性が良すぎる場合
は保水性をよくするために腐葉土などの有機質を足してあげる必要があるかもしれません。
また
粘土質など雨が降ると水溜りが
でき、ぬかるんでいるという場合は土中の水分が速やかに浸透して行くよう、
雨水浸透桝
(左図)というのをつくります。水がたまる場所に1mくらいの深さの穴を掘り、水を入れて数時間で浸透するようなら、そこに上から50cmほど残して大き目の砕石などをつめ、その上に荒めの砂、そして土を30cmくらい入れるとよいでしょう。
また
単に粘土質の花壇の土などを排水性の良い土に
変えたい場合は砂やパーライト、根腐れ防止剤の珪酸白土などと共に腐葉土を混ぜ込みます。
2.マルチング
土中の水分は土の表面からも蒸散してゆきます。それを防ぐために農業などでは根囲い・マルチング(Mulching)を行いますがマルチングには本来別の目的や効果もあるのです。マルチングというのは農業や園芸の技法で、農作物や植物の根元あたりや土壌を覆うことをいいます。たとえば水切れに弱く、しかも細い根が地面近くに展開するブルーベリーなどの場合、根が地中深くまで張っていませんから土中の水分が不足すると新梢の先端が枯れる現象や実が大きくなりにくいといった問題が出てくるため、根を保護しつつ土中の水分も確保してくれるマルチングは絶大な効果があるというわけです。また冬に土が凍るような場所での園芸では、根を保護して凍らせないよう保温の役割も果たしてくれるわけです。冬に、首にマフラーやスカーフを巻く、あの感じですね!
3.マルチングの効果
マルチングの効果としては
1.
土中の水分の蒸散防止・植物に必要な水分の保持
2.
高温や乾燥、冬の寒さから根を保護
3.
雑草の発芽や生育の防除
4.
土中の微生物に栄養を与えて豊かな土にする
5.
日照によって土が固くなることを防ぎ美観に貢献する
などがあります。
4.マルチングの量
マルチングをするときは、効果を上げるためにはある程度の厚みが必要となります。ひと並べしただけでは不十分なのです。素材にもよりますが最低でも
7cm以上
あることを確認しましょう。
5.マルチング材料
マルチングに使うことができる材料にはいろいろありますが、上に述べたような効果のうちひとつかそれ以上の効果を併せ持つマルチングの材料を紹介しましょう。
日本の農業では、藁やビニールでマルチングしているのを良く見かけますね。マルチングは、植物のためだけでなく、園路などに用いて雑草を防除したり美しく見せたりすることもできます。またマルチングはたいていの場合は撒くだけですから施工方法が簡単なのも嬉しいことです。
花壇
などにお使いの場合、特に自然素材のものは、次に植え替える時、土にすきこんで使えることからごみも出すことなく、経済的ですからお勧めです。
また、地植え株だけでなくテラコッタなど、鉢からも水分が蒸散するタイプの
コンテナ栽培でも
、マルチングは効果があります。数ある材料の中からご自分の庭などの条件、テイスト、ご予算にあったマルチング材を選びましょう。地域によっては簡単に手に入るものもあれば難しいものもあります。私は地域でとれるものを利用するのが一番良いような気がします。
マルチング材の例
腐葉土、バークチップ、砂利、他
レッスン内容
Fumikoからのメッセージ
Lesson 1
ツール(道具)
Lesson 2
土のはなし
Lesson 3
水のはなし
Lesson 4
花柄つみと施肥について
Lesson 5
剪定、切り戻し
Lesson 6
雑草のはなし
Lesson 7
なめくじや病害虫と自然農薬
Lesson 8
元気な植物を育てる(コンパニオンプランティング)
Lesson 9
土中の水分とマルチング
Lesson 10
コンテナとハンギングバスケット
Lesson 11
スタイルとテーマ
Lesson 12
カラースキームと、植物の持つヒーリングパワー
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