Fumikoの楽しいガーデニング

Lesson 10
コンテナとハンギングバスケット

イラストコンテナやハンギングバスケットというのは、パティオや、舗装したエリアにアクセントやカラーを添えたり、またバルコニーなど土の無いところで植物を楽しむには最適なものです。また花が終わった後の庭や、玄関前などに季節の色を手軽に加えることもできるし、レイアウトを変える楽しみもあり、小さいながら効果絶大な優れものでもあります。

コメリのコンテストにおいても昨今のコンテナ、ハンギングバスケットの人気ぶりとレベルの高さには驚くべきものがあります。ひょっとしたら皆さんのほうがたくさん知っていらっしゃるかもしれませんが、今回はコンテナとハンギングバスケットについてお話しましょう。

用土は、植えるものによって様々ですのでここでは触れませんが、ハンギングバスケットなど乾燥しやすいものには、保水ジェルなどを加える方法もあります。目的により適した土選びをすること、また移動するようなものなどは軽い素材を選ぶことも大切ですね。


1.コンテナの素材

コンテナという言葉は、本来「ものを入れる容器」とか「運ぶ箱」などの意味があります。
コンテナを選ぶ基準は、個人のテイストによるものが大きいと思いますが、コンテナをガーデンの要素のひとつとして選ぶのでしたら、置く場所や、植える植物に適した色や形、サイズ、そして素材を考慮することが大切ですね。複数のコンテナを同じ位置に置くのであれば、少なくともコンテナの素材と色を同じものにすると統一感が出ます。いくつかのコンテナ素材を見てみましょう。

・テラコッタ(素焼き)
  写真通気性に優れ、余分な水分を鉢が吸収してくれるため植物の栽培には適しているといえる。耐久性はあり、時を経て風合いが増す。産出する土地によって色も多少違う。デザイン性は豊富。重い。寒冷地ではフリーズフレークといって、もろく崩れたりする部分が出たりするため、選ぶときにはどの国で作られたものか確認するとよい。

・石やコンクリート製
  写真通気性には欠ける。ガーデンや玄関前に置いても、倒れたり盗まれたりする心配はないほど重い。様々なデザイン、質感、色のものがあり、選択の幅が広い。重量の問題で、扱いやレイアウトチェンジの折は腰を痛めないように注意。

・木製
  通気性に優れ、ナチュラルな雰囲気を作りたいときには効果的。また塗装して家の外壁の色などと合わせることも可能。耐久性においては、数年のうちに木が腐ってくることになる。素材にもよるが、比較的重い。

・再生紙
  通気性に優れて環境にやさしく、いずれは土に還ることや、軽くて扱いに便利で安価なことなど利点は多いが、2〜3年すると底が溶けて崩れてくるので、長期間植物を管理する目的ではなく、短期間草花を楽しむといった用途に使うとよい。色やデザインも豊富にそろっているとはいえない。

・プラスチック製
  写真軽くて安価、色やデザインは豊富にそろっているため、手軽に利用することできるが通気性には欠ける。また長期間の管理では割れが生じることがある。

・FRP
  写真ファイバーグラス製のもので、最近人気急上昇の素材。ボートを作るのと同じ方法で製造されるものでグラスファイバーの入ったプラスチックは、非常に丈夫で軽く、石や素焼き、鉛など様々な素材とそっくりに作ることができるため、大きな鉢や、バルコニーなどで活躍する。
(私は現場にあわせてオリジナルでデザインしたものをオーダーメイドしてクライアントに提供しています。)


2.サイズや重量、高さや形

大地とつながっている地植えの植物と違い、コンテナ栽培の場合はそこにある土だけが頼りです。植える植物が十分育てるだけ土が入るコンテナ選びをしましょう。

写真デザイン性を重視して、土がほんの少ししか入らないコンテナでは、特殊な植物以外は早いうちに枯死する恐れがあります。またコンテナでは小さなものほど、中の土の乾燥が速くなりますし、外気温の影響を受けやすくなります。
通常の場合、暑くて乾燥した条件下では、直径23cm、深さ15cm以下のコンテナは避けたほうがよさそうです。また花苗など、植えるときの大きさだけでなく、育ったときの草丈や広がりなども想定して選びましょう。重さに関しては、設置してから将来移動する可能性があるかどうかなども考慮します。

またコンテナを単独でフォーカルポイントなどに使うような、(たとえば英国のアンティークのチムニー・煙突などをコンテナとして使うような)場合や、いくつかの鉢を寄せ置きにするような場合は高さの違うものを組み合わせることで立体的な演出が可能になります。


3.排水性

たいていのものは鉢底に1から数個の穴が開いていますが、これの無いものは、穴を開ける必要があります。たとえば古くなったジョーロやナベなどをコンテナにするときは、排水のための穴を開けましょう。


4.ハンギングバスケット、ウォールコンテナ

写真ハンギングバスケットなどは、すばらしいエクステリアのアクセサリーですね。英国へ行くと、パブやショッピングモール、町中にはたくさんの丸くて大きなハンギングバスケットやウィンドウボックスが必ずあります。街路のハンギングバスケットなどは市がメンテナンスをしており、朝晩、水やりをする様子をみることができます。
選ぶ植物などによって、1年中楽しめますが、空中にあるだけに乾燥しやすく、多くの場合水切れの問題で枯死することがあります。これらも、ワイヤーのバスケットのほか、上記のコンテナと同じような素材の物がありますが、目的や用途によって適したものを選ぶようにします。


5.その他のコンテナ

写真ストロベリーポットやビニールの袋に穴を開けたタイプのもの、古い流し台、空き缶や古靴にいたるまで、コンテナにできる可能性のものはいくらでもあります。私は純毛の縮んでしまったセーターの見ごろをハンギングバスケットのライナーに、袖の部分は袖口を結んで土を入れ、切り込みを入れて花苗を植え込んでハンギングにしたりします。ウールは保水性に優れるから結構植物にはいいのです。


6.植物の選び方

コンテナが決まったら、そこに似合う植物を選びましょう。私は基本的に1種1色というのが好きですが、そのときでもコンテナの形にあったタイプの植物を選ぶことで素敵に見えます。たとえば…

広口で深い鉢
樹木から潅木、草花まで広い範囲の植物に利用できる。
写真


広口で浅い鉢
山野草や多肉植物など。


クラシカルなボックスタイプの
木製コンテナ

フォーマルな感じのトピアリーやスタンダードタイプなど。


デコラティブなタイプ
フォルムの面白いものや、またはグリーンだけで鉢を引き立たせる。


大きな壷型の鉢
何も入れないでそのままオブジェとして使用したり、匍匐性の植物を。

またハンギングバスケットなどの場合は、群生するように、密に植えるのがコツです。


7.カラースキーム

写真一般に配色の美しさというのは、統一要素と、変化要素の兼ね合いによって決まってきます。
植物を選ぶとき、花色も選ぶと思いますが、何種類のもの植物をひとつのコンテナに入れるときは、同じ色調のものを集めるようにすると落ち着いた感じになります。このときはトーンに差をつけると素敵です。同系色のグラデーションですね。またコントラストをつける異色配色においては、トーンは統一し、どちらかの色を少なくするのがコツです。
また、お好きな色を選んで1種1色を基本とし(1種でも、グリーンが入るので意外と素敵なんです)、ヘデラやリシマキア、ディコンドラ、シロタエギク、コリウスなど基本植物とは葉色や形の違うグリーンを選んでプラスするとバリエーションが楽しめるでしょう。
それでももの足りないときは白花を選ぶと、基本植物の花色を引き立ててくれますよ。
レッスン内容
Fumikoからのメッセージ
Lesson 1
ツール(道具)
Lesson 2
土のはなし
Lesson 3
水のはなし
Lesson 4
花柄つみと施肥について
Lesson 5
剪定、切り戻し
Lesson 6
雑草のはなし
Lesson 7
なめくじや病害虫と自然農薬
Lesson 8
元気な植物を育てる(コンパニオンプランティング)
Lesson 9
土中の水分とマルチング
Lesson 10
コンテナとハンギングバスケット
Lesson 11
スタイルとテーマ
Lesson 12
カラースキームと、植物の持つヒーリングパワー


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