Lesson 5 剪定
(せんてい)
、切り戻し
Lesson 5−1:剪定
本来自然の中で育つ樹木、特に高木は剪定したりせず、その樹木に適した環境に植えられるべきでしょう。自然の中では新梢が育ち、枯れた古い枝は嵐や冬の間に吹き落とされるなどして落ちていきます。手入れをしていない明治神宮の森が、日本でも有数の美しい森だと聞いたことがあります。
街路樹や公園などで無残な切り詰め方をされた樹木を見ると、いつも心が痛みます。とはいえ、いったん庭木として植えられた樹木は、自然の状態で育つものよりも抵抗力が弱いと言われています。また、木の生長をコントロールしないと風通しや日当たりの悪い庭となってしまうことにもなるでしょう。樹芯を止めて樹高を抑えたり、枝を透かしたりして光や風を通してあげることで病害虫を防ぐ事もできるようになります。役割や美観という点からも、形をコントロールすることが必要になるというわけです。
このように、いったん庭という限られたスペースという環境を作ったのなら、そこに育つ植物を健康に保つために必要な大切な作業が「剪定」です。適切な剪定によって庭木の若返りをはかることもできるそうですから、今回は剪定の基本をお話ししましょう。
Lesson 5−2:剪定の種類
若木の剪定では樹形作りを目的にしていきますが、ここでは成木を見ていきます。
剪定の種類には、
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透かし剪定:
樹冠を小さくするため、太い枝を付け根から切り落として細く短い枝を残す大透かしという手法(大きくなりすぎた庭木を小さくするのが目的ですから、ノコギリを使ったりして熟練が必要です)と、密生した小枝を間引いたり徒長枝などのるような枝を切る小透かしという方法があります。植木バサミや剪定バサミを使います。
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切り戻し:
太い枝を途中で切って、若くて同じ方向に伸びている枝を伸ばしてあげる、つまり更新する剪定。ちょうどいい小枝の付け根ぎりぎりのところで太枝をきることで、栄養分が小枝に回って生長を盛んにします。美しい樹形を保ちつつ樹冠を小さくしたいときに使う手法です。枝の途中に小枝がないところでは切り戻しはできないので注意が必要。伸びすぎた枝先を落としたり古い枝を取り除くのも、切り戻しという表現をします。
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刈り込み剪定:
生垣や仕立物(丸や四角、円筒形など)で一定の大きさや形に保つために、伸びすぎた枝を途中から刈る方法で、刈り込みバサミを使います。もともと芽吹きのよい樹種で行い、刈り込みに失敗しても回復するため、枝の一本一本を気にせずできます。比較的簡単な剪定方法と言えるでしょう。
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芽摘み、もみあげ:
マツなど針葉樹の新芽や竹、笹などは指先で若芽を摘み、芽の数を減らすのが芽摘みで、冬に常緑樹などで前年枝の葉をしごいて取り除いたりする作業です。枯れた葉が取り除かれるとすっきりとした感じになります。松やツツジなども同じようにできますが、手間がかかる作業ですね。
Lesson 5−3:不要枝を取り除く
生育を正常に保つためには、それを妨げたり美観を損ねたりする「いらない枝」を切り取るといいのですが、ではどんな枝が「いらない枝」なんでしょうか?それがわかれば勇気を出して剪定に踏み切ることができそうですね。不要枝をいくつか紹介しましょう。
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徒長枝:
幹や枝先から勢いよく長く出た新梢。この枝に養分が回りますから、枝数が多いときは透かすために根元から、そうでないときは1/3程度を切り詰めます。
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ひこばえ:
木の根元から出てくる細い枝のこと。根元から早めに切り取ります。
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内向枝(逆さ枝、返り枝):
通常は幹の外側に向かって伸びるのですが、幹のほうへ向かって伸びるものは美観を損ねます。付け根から切り取ります。
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車枝:
幹の同じ位置から、枝が車輪上に伸びています。日当たりや通風に影響しますから、1〜2本を残して切り取ります。
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立ち枝、下がり枝:
上に向かって垂直に伸びた枝や、真下に向かって伸びる枝は、樹形を乱したりだらしなく見えたりしますから切り取りましょう。
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胴吹き枝:
幹の途中から突然出ている小枝。幹吹きともいい、上部の元気がないときに出ることもあるので注意します。
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絡み枝:
複数の枝が交叉して絡み合ったように見える枝で、1本を残して切り取ります。
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平行枝:
平行に伸びる枝は成長を妨げあいます。一本にしましょう。
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ふところ枝:
樹冠の内部の小枝で、いずれ枯れ枝になるため切って蒸れを防ぎますが、切り戻し剪定の際に残す必要が出てくる可能性もあります。必ずしも切り落とす必要はありません。
レッスン内容
Fumikoからのメッセージ
Lesson 1
ツール(道具)
Lesson 2
土のはなし
Lesson 3
水のはなし
Lesson 4
花柄つみと施肥について
Lesson 5
剪定、切り戻し
Lesson 6
雑草のはなし
Lesson 7
なめくじや病害虫と自然農薬
Lesson 8
元気な植物を育てる(コンパニオンプランティング)
Lesson 9
土中の水分とマルチング
Lesson 10
コンテナとハンギングバスケット
Lesson 11
スタイルとテーマ
Lesson 12
カラースキームと、植物の持つヒーリングパワー
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