Fumikoの楽しいガーデニング

Lesson 11 スタイルとテーマ

スタイルやテーマを考える

写真庭をもっと美しくしたいと思う気持ちはみな同じですよね。でもただ漠然と考えても具体的にどうしたらいいかはわかりにくいものです。そんな時、スタイルやテーマを決めると意外と方向性がはっきりしてきます。プランティング(植栽)のプランもそういったスタイルとテーマによって選びやすくなるわけで、今回は庭をグレードアップする方法を一緒に考えていきましょう。


1.どんな庭がほしいですか
  -欲しいものをリストアップしてみる−

一番たいせつなのは、自分がいったいどんな庭にしたいのか、どう使いたいのかを知ることです。人に見せるための庭ですか?それともリビングからの眺めでしょうか?またはバーベキューやパーティーなどゲストを楽しませるための庭にしたいでしょうか?
イラストまた、誰が住むのかということも重要です。小さなお子さんやお孫さんはいますか?小さなお子様がいらしたら、お庭はまず安全な場所として作らなくてはなりません。そうなればおのずと棘のある植物や、子供が誤って口に入れたとき毒性のある植物は選びませんよね。ペットはどうでしょうか。花を楽しむものにしたいですか?それともフルーツや野菜も育てたいですか?また、山野草や高山植物、ハーブ、バラやシクラメンなど特別な植物に興味があるでしょうか?ガーデニングにかけられる時間はどのくらいありますか?いつもお花いっぱいにしておきたいですか?それとも自然な感じにしたいでしょうか。自分の好みや条件などをリストアップして書き出してみると、今まで考えなかった自分自身が好む庭の方向性が見えてくるかもしれません。


2.スタイル

写真欲しいものをリストアップしたら全体のスタイルを考えましょう。モダンにまとめたいですか?左右対称で幾何学的な、いわゆるフォーマルなガーデンスタイルが好きですか?それともナチュラルな不整形(インフォーマル)なスタイルにしましょうか?家の外観も考慮して、全体の景色として庭をとらえましょう。和風やアジアンテイスト、トロピカル、南欧風などなど様々なスタイルの中から自分好みのものを選んでみます。場合によってはそのためにパーゴラやアーチ、壁泉、などの構造物やペイブメントなどの工事が必要になるかもしれませんね。写真ご予算などによっても変わりますが、一番欲しいものや完成した姿を知っておき、少しずつそのイメージに近づけるよう何回かに分けて施工してゆくのも楽しいものです。庭は、造ってゆく過程がまた楽しいのです。


3.テーマを決める

イラスト1で欲しいものをリストアップして、2でスタイルが決まったら、それを元にしてテーマを決めましょう。テーマは、南欧風のスタイルやアジアン風ということであればそれがテーマでもあることになり、おのずと使う植物も決まってきます。またテーマを植物で決めようということであればハーブやバラ、多肉植物、1年草、雑木やコニファー類など特定の種類を中心にまとめるのも一案だし、また香りの庭、蝶を呼ぶ庭、更には白や赤など色をテーマにしても面白いものができそうです。色をテーマにしたカラースキ−ムについては次回もう少し詳しくお話します。場合によっては、お忙しいお宅などの場合「ローメンテナンス」というのがテーマになるかもしれません。また環境によっては日陰の庭、シェードガーデンがテーマになってもいいですよね。
ちなみに、この私のドローイングは、過日ジャパンガーデニングフェアにおいて英国大使館のモデルガーデンというのを作った折に、「癒しの英国ガーデニングライフ」というテーマで描いたものです。自分好みの庭のイメージを描いています。


4.植物選び

写真さて、一番楽しい植物選びです。テーマやスタイルが決まればそれに沿って植物を選んでゆきます。例えば地中海風にまとめたいときは、オリーブやラベンダー、月桂樹などを中心に、といった具合ですね。それにあわせる花も全体で色合いや草丈などを考えて立体的に仕上るようにしましょう。また計画して植栽するときには、特に苗ものの場合どうしてもたくさんの苗を小さなスペースに配置しがちですが、植物は育ち広がるものです。写真数ヶ月、数年後の広がりなども考えて、はじめは寂しいくらいでも間隔をあけて植栽します。庭は常に作ったときが始まりだということをお忘れなく。庭の様子を見ながら間引いたり切り戻したり、時には移植したりしてケアをしていきましょう。


5.少しずつ自分の欲しい形にしていく

一朝一夕に「はい、出来上がり!」という具合に庭は仕上がりません。スタイルやテーマが決まって、庭の基本的な素材がすべて入ったとしても、そこからが皆さんの腕のみせどころ。そこから、少しずつ自分好みの庭にしていきます。計画では元気に育つ予定だった植物が、なぜか絶えてしまったり、広がりすぎたり。探していた、イメージにぴったりのガーデンアクセサリーが見つかったり。そんなふうに庭はスタートしてからいろいろな足し算や引き算をしながら少しずつ自分の欲しい形にしてゆきます。ネバーエンディングな楽しみが庭にはあるというわけです。そのうちにライフスタイルが変わったり、好みが変わったり、はたまたお子さんが巣立ったりというような変化が起きれば、庭もそれに合わせて変わってゆくのが自然。庭の楽しみは一生もの、ですね。もちろんスタイルやテーマが伝統的な純和風庭園などで、既に完成した庭をお持ちだったり、造られたりしてそれをずっと管理してゆくという方法ももちろんあり、それはすばらしい私たち日本の文化として継承していくべきものです。またそれなりの技術も要求されるでしょう。それはそれとして、もしお宅のお庭が、別のテーマやスタイルをお持ちでしたら、毎日お庭とかかわって作業される中で、庭からもたくさんの楽しみが与えられることをお約束します。
レッスン内容
Fumikoからのメッセージ
Lesson 1
ツール(道具)
Lesson 2
土のはなし
Lesson 3
水のはなし
Lesson 4
花柄つみと施肥について
Lesson 5
剪定、切り戻し
Lesson 6
雑草のはなし
Lesson 7
なめくじや病害虫と自然農薬
Lesson 8
元気な植物を育てる(コンパニオンプランティング)
Lesson 9
土中の水分とマルチング
Lesson 10
コンテナとハンギングバスケット
Lesson 11
スタイルとテーマ
Lesson 12
カラースキームと、植物の持つヒーリングパワー


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