ガーデンデザインレッスン

Lesson 2 境界 - プライバシーを確保する

庭というのは、見るためだけのものではなくて、リラックスできる場所でもありますね。暖かい日に庭で友人たちとお茶を飲みながら、日ごろ丹精した庭の色やにおいを楽しんだり、一人でゆったりと本を読んだりするという楽しみは格別です。

ただしそんなことができるためには“道を通る人やお隣から見えない”という安心感が必要です。そのためにも、庭の中がプライベートな空間であることがとても大切になってきます。
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境界部分をすっかり囲ってしまうことは難しい、または予算的に無理があるというのでしたら、庭の中のどこか一部をプライベートなゾーンにすることが可能です。たとえばリビングルームの外側などですね。目隠しのためのスクリーンを作るのにはハードな材料か植物、またはその両方を用いる方法があります。


フェンスかウォールか

日本でよく見られるのがブロック塀か、または低いブロックのウォール(塀)の上にアルミのフェンスがついているものでしょうか。 もしブロックの塀で、しかも高さが十分であればプライバシーはすでに確保されていますね。 アルミのフェンスの場合はたいていの場合中が丸見えです。このような場合ラティスフェンス(木製の、斜め格子のフェンス)を取り付けているケースをよく見かけます。その場合はそこにつる植物などを絡ませないと、やはり目隠しには少し弱いような気がします。 パネルボードのフェンス、昔の板塀のようなものならもっとよいでしょうが、簡単には手に入らなかったりしますね。

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この木製パネルフェンスは英国ロンドンの写真。非常に安価であり、しかもプライバシーを守れる。多少のメンテナンスが必要だが約15年の寿命がある。
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英国オックスフォードの車道に面した住宅のフェンス。英国では良く見られる目隠しのためのフェンスで、パネルを既存のウォールにボルトで設置している。


生垣を植栽する

外周植栽としての生垣の目的は、建物や周りの町並みとの調和を考慮した上で防音や防火、防塵、そしてプライバシーを守る目隠しですが、その生垣もかつてはその地方や地域によって特徴のある樹種が使われていたようです。 最近の都市部では好みのものを植えてバラバラな感じのするところと、逆に造成された住宅地などのように町並みの調和という意味で同じ樹種を生垣に用いているところも多く見られます。

プライバシーを守るという目的であれば、人の目線は大体140cm程度と考え、それよりも高いものを選びますが、敷地の広さによって選ぶ樹種も変ります。狭い敷地などでは葉が小さくて密生しているもののほうが見た目もよいし、プライバシーを守るという目的にも沿っていると思います。単一の樹種を選ぶ場合と、混垣(まぜがき)といって数種類の樹種を使用する場合がありますが、その場合は樹種の特徴が似通っているものを選ぶと均一な生垣になります。花が咲くものか緑だけか、ということでも印象が変わりますので、家の外観や雰囲気を見て判断します。 日本でよく使われている生垣は中高木ではシラカシやアラカシ、ヒイラギモクセイやキンモクセイ、サザンカやツバキなどの花木、カナメモチ、コニファー類などでしょう。

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この2枚の写真はオーストラリアのタスマニアで見つけた生垣を撮ったもの。時間と技術、忍耐の賜物(たまもの)だが、プライバシーを守るだけでなく、近隣にも話題を提供するほどのできばえ。


トレリスとつる性植物の組み合わせ

限られたスペースの中でプライバシーを確保するのに優れているのがこの方法。 機能性だけでなく、ガーデンをずっと素敵に見せてくれます。トレリスに絡ませるのに適したつる性の植物としてはたくさんありますが、選ぶときはまず常緑であることでしょうか?目隠しが目的なのですから生育が旺盛なことも大切ですね。

・ハニーサックル(Lonicera sempervirens)
・プルンバゴ(Plumbago auriculata)
・テイカカズラ(Trachelospermum asitaticum)
などはいかがでしょう?

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プライバシーというには心細いが、写真ではこういった構造物をプライベートなエリアとして簡単に作れるということがわかる。
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同じ構造物でも、これは英国コッツウォルズ地方の写真。満開のつるバラが見事だが、つる植物では、上部だけが繁茂している例が多く見られる。その場合プライバシーを守るというまではいかない場合も。
レッスン内容
Introduction
はじめに
Lesson 1
境界 - 背景をつくる
Lesson 2
境界 - プライバシーを確保する
Lesson 3
園路 - 庭の中を通る道
Lesson 4
リラクゼーションのためのスペース - ウッドデッキ
Lesson 5
リラクゼーションのためのスペース - パティオ
Lesson 6
リラクゼーションのためのスペース - ガーデンファニチャー(家具類)
Lesson 7
ゾーニング - 植物によるデザイン
Lesson 8
ゾーニング - フォーカルポイントを設ける
Lesson 9
境界 - フロント・ゲート、エントランス
Lesson 10
園路 - 玄関アプローチ
Lesson 11
コンテナガーデニング
Lesson 12
庭の仕上げ



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