Lesson 7 ゾーニング - 植物によるデザイン
ゾーニングとは?
ガーデンデザインをする上で一番重要なのが、ゾーニングだといっても過言ではありません。これはむしろレッスン1で学ぶべきことだったかもしれませんが、家の中で言えば間取りに当たるものがゾーニングです。
ゾーニング(地割り計画とも言う)というのは、
敷地の中で建物を除いた部分を、目的や用途、形状などによって大きく区分することです。
とはいえあまり難しく考えず、どんな風にスペースを使いたいのか、ということを考えるとゾーニングがしやすくなると思います。
ゾーニングをすることでそこに配置する植物もデザインしやすくなりますよ。一般の住宅庭園では、大きく分けて道路から玄関までが前庭(フロントガーデン)、それ以外が後庭(バックガーデンとなりますが、バックガーデンは更に目的により主庭(メインガーデン)、裏庭、サービスヤード(洗濯物を干したり、物置を置いたりする、屋外の家事作業を行うところ)、駐車スペースなどに分かれます。そのほかにも、中庭(コートヤード)や坪庭があるお宅もあるかもしれませんね。実際に下の図を見て大まかなゾーニングのイメージを理解しましょう。
さて、どんな順序で、またどういうことを考慮してゾーニングをしてゆくといいのでしょうか
過去のガーデニングコンテストの作品を紹介しながら植物との関連も含めて見てゆきましょう。
ゾーニングのステップ
ステップ1:敷地の状況を把握する
敷地の条件、たとえば高低差や接面道路、隣地との関係、周辺環境などを考慮します。敷地全体に対して建物がどう建っているかの確認をし、隣地との間や道路側の目隠しや仕切りが必要かどうかも検討しましょう。玄関の向きや敷地各部の日当たりや水はけ、勾配も確認します。この段階で、周辺の街並みや景観も配慮して道路に面した部分のイメージも考えておきます。
また、境界部分を堅い素材の塀で囲むのか、または生垣にするのかでも、全体の雰囲気は変わります。どんな雰囲気の外観を作りたいでしょうか?目隠しとしての役目も持っているのでしょうか?日はよく当たるでしょうか?隣地との境と、フロントガーデンとでは違ったイメージが欲しいかもしれません。家全体にテーマ性を持たせるか、またはそのゾーンによって自分の欲しいスタイルやテーマを決めると素材や植物も自ずと決まってくるものです。
オーナーと現場をチェック中。「この大きな石はどこに置きましょう?」
ガーデニングコンテスト作品
ステップ2:フロントガーデンと駐車スペースからゾーニングを考える
まず、門周りとアプローチを含む前庭(フロントガーデン)と駐車スペースからゾーニングを考えましょう。接面道路と関係からおのずと決まってくるのがこのスペースですね。最近では駐車スペースが2台は必要になっているところも多いようです。
そして、門から玄関を結ぶアプローチのラインを考えます。これは前のレッスンでも出てきましたので詳しくは述べませんが、道路と玄関の距離が短いほど、直線にしないほうが、奥行き感が出ますし、いきなり中が見えるということを防げますよ。アプローチのラインにあった素材と色も決めましょう。
フロントガーデンに、家を引き立てる樹木を入れるお宅も多いですね。樹形の美しいもの、またはきれいな花を咲かせるものなど目的に沿って考えます。お客様を迎え入れるという意味のフロントガーデンは、1年草などを使って装飾的にするのか、フォーマルにかっちりとした感じにするかでも選ぶ植物は変わってきます。家の顔とも言えるフロント部分をいつもきれいにしておくのは神経を使うもの。ガーデニングに時間がかけられないお宅では、あまり手をかけなくてもいつもきれいになっている感じのグリーンを主体に植物を選び、玄関前などに置くコンテナなどで季節の色を持ってくるようにすると楽かもしれません。
駐車場とアプローチ
ガーデニングコンテスト作品
ステップ3:メインガーデンを更にゾーニング。何をしたい庭なのかを考える
(全てガーデニングコンテスト作品より)
さて、いよいよ主庭(メインガーデン)です。メインガーデンエリアも、用途によって少し細かくゾーニングしておくと後で植物のデザインが容易になります。これはイメージだけでなくライフスタイルも考慮します。たとえば眺めるための和風庭園であれば大まかに築山や池、園路などを決めます。敷地が狭いときは、あるコーナーを和風に仕立てるのもいいでしょう。
洋風であればデッキやテラス、パティオなどのペイブメントエリアや、パーゴラ、バーベキュー、園路、池などの施設計画を、部屋からの眺めも含めて検討し、全体の庭のコンセプトやスタイルのイメージを決めるといいですね。ハード部分が決まればその周辺が植物のエリアとなります。
また植物中心の庭にするのであれば、テーマを決めると統一性のある庭になります。日当たりや土の条件によってたとえば芝庭とフラワーボーダー、ローズガーデン、ハーブガーデン、シェードガーデンなどのテーマを考えます。このとき広さも考えて、たくさん入れたい要素を少し削る作業をしておくとすっきりした庭になります。
植物の色でデザインするというのもひとつの方法です。全体を自分の好きな同系色のグラデーションでまとめたり、反対色を使ってコントラストを出したりというようにテーマを決めておくと、植物選びをするときにあまり迷わずに済みます。植物だけでのデザインというのは単調で平坦になりがちですから、植物の高低差をうまく利用したり、アーチやオベリスクを取り入れたりすると立体的でドラマチックな庭になります。
レッスン内容
Introduction
はじめに
Lesson 1
境界 - 背景をつくる
Lesson 2
境界 - プライバシーを確保する
Lesson 3
園路 - 庭の中を通る道
Lesson 4
リラクゼーションのためのスペース - ウッドデッキ
Lesson 5
リラクゼーションのためのスペース - パティオ
Lesson 6
リラクゼーションのためのスペース - ガーデンファニチャー(家具類)
Lesson 7
ゾーニング - 植物によるデザイン
Lesson 8
ゾーニング - フォーカルポイントを設ける
Lesson 9
境界 - フロント・ゲート、エントランス
Lesson 10
園路 - 玄関アプローチ
Lesson 11
コンテナガーデニング
Lesson 12
庭の仕上げ
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