世界のガーデニング -World Garden Tour-
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中国
(北京)

〜 チャイニーズガーデン 〜

世界地図
14.China - Chinese Gardens

世界のプライベートガーデンを見て見ましょう
世界の様々なガーデンテーマをもった庭をご紹介してゆきます。
たとえば、ハワイとカナダの庭はどう違うのでしょうか?また、なぜ撮った写真を見てフランスでなくギリシャだということが判るのでしょう?ガーデンスタイルを決める要素は一体何なのでしょうか? 
そういった疑問にこのシリーズが少しは答えてくれるといいのですが・・・
さあ、ご一緒に世界のユニークなガーデンを訪ねてみましょう。

1.オーストラリア   [亜熱帯]
(ゴールドコースト)
2.インドネシア   [彫像]
(バリ)
3.アメリカ   [熱帯]
(ハワイ)
4.アメリカ   [砂漠]
(アリゾナ)
5.カナダ   [北極光]
(バンクーバー)
6.南アフリカ   [植民地]
(ケープタウン)
7.ニュージーランド
[冬のない北島]
(オークランド)
8.スペイン
[地中海式ガーデン]
(バルセロナ)
9.フランス [プロヴァンス]
(プロヴァンス)
10.ギリシャ [エーゲ海]
(アテネ)
11.スイス [高山]
(ロカルノ)
12.イギリス
[イングリッシュガーデン]
(ロンドン)
13.ブラジル [レインフォレスト]
(リオ・デ・ジャネイロ)
14.中国
[チャイニーズガーデン]
(北京)
15.日本
[日本の個人庭園]
(東京)

気候データ (クリックで拡大)
周辺地図
周辺地図
リオ・デ・ジャネイロ
北京
東京
東京

■ 紹介 - Introduction -
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中国人にとってガーデンは真に芸術であり、人生に必須な絵画、彫刻、詩の世界と同じように、庭にもバランス、調和、均整、と多様性などが不可欠だと考えています。
“庭は自然の芸術的な再現であり、3Dの絵画である"
岩、水、木、や草花など自然の要素に建築や絵画、詩など人工的な要素、そして道教の原理である、人と自然とのバランスとハーモニーを取り入れるのは庭造りに欠かせません。


国の花 - The National Plant -
写真 中国には正式な国の花はありませんが、しいて言えば「牡丹」ということになります。1994年に中国各地で行われた調査において、国の花を選ぶとしたら、という質問に対しての答えを見ても、「牡丹」をあげる人がとても多かったようです。中国では今、牡丹と梅のどちらかを国の花として決めようとしているとのことです。


中国の庭 - Chinese Gardens -
写真 中国の庭は4つのカテゴリーに分けることが出来ます。宮廷の庭、修道院の庭、個人邸の庭、そして自然風形式の庭の4つです。


宮廷の庭 - Imperial Gardens -
写真 最古の宮廷の庭は(c. 1600-1027 BC)のころ、皇帝の狩場の施工に遡ります。それをベースに作られた北京のサマーパレスは有名です。また、2000年ほど前、周の時代の宮廷の庭では、3本のエンジュ(槐・中国名ではファイ)を植えて、朝廷で最高の位にある三公はそれに向かって座ったということです。


修道院の庭 - Monastery Gardens -
写真 儒教や道教がガーデンデザインに影響を与えたとはいえ、現存する多くの庭は仏教に根ざすものです。仏教はAD1〜2世紀のころ中央アジアを経て中国全土に広がりAD618〜907年の唐の時代に全盛になりました。


個人邸の庭 - Private Gardens -
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初めての個人邸として知られるのは、北朝、南朝時代(420〜589年)における知識階級の庭です。

これらは、混沌とした都会を逃れて隠遁隠居した学者などによって作られました。これも唐の時代に全盛となります。画家であり造園家でもあったJi Cheng(1582-1642)は、この庭について、「たとえ人造のものであろうとも、自然に見えなければならない」と言っています。


ナチュラルガーデン - Natural gardens -
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自然風形式庭園は、山や谷、湖を背景にした(借景)スケールの大きな庭で、王侯貴族が遊ぶための場所として使われました。



中国式庭園の鍵となる要素 - Key Elements of a Chinese Garden  -
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中国式庭園において一般に見られる建築物は、古代の、木の支柱の上に作られた木の家に由来するウォーターサイドパビリオンです。これは後年湖や庭の池などに半分せり出して作るウォーターサイドパビリオンとして流行しました。半分は土の上に、もう半分は水から支柱がでている形です。建物の内部から庭が良く見えるように、総ての面は装飾的な窓となっています。このようなパビリオンはHumble Administrator's Garden(身分の低い行政官の庭)に見られます。

そのほか、特徴的なものに、ガーデンオーナーが雨や雪のときにも庭を楽しめるようになっている屋根付き回廊があります。これらの回廊は建物と建物や、建物と海辺、池や湖につながっており、ウォーターサイドパビリオンと同じように窓や、景色を見るための開口部があり、あたかも絵画の額縁のように、景色を楽しめるようになっています。窓は丸や四角、楕円のようなシンプルなものから蓮の花びら、蔦、ゲッケイジュの葉など想像力をかきたてるようなものまであります。

また、ディテールの表現は際立っています。例えば園路につかわれる色とりどりの玉石で作られた模様などです。よくある模様は、古代から信じられていた「天は丸く地は四角い」から、丸と四角の組合せがあり、またコウモリやツルなどの幸運と長寿の印、富裕の兆しである魚網などの模様も見つかっています。


■ 蘇州はガーデンシティ - The 'Garden City' of Suzhou -
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蘇州の個人邸庭園は中国の中でも、最も美しい庭といえます。画家であり造園家であったJi Cheng(1582-1642)は、知識階級の庭を作る上で大切なのは正反対の要素である、大と小、露出と隠蔽、現実と非現実性、垂直と水平のようなものの併合と調和だと言っています。
The Garden of the Master of the Netsは、蘇州の中でも一番小さな庭園ですが、見事な庭園として知られています。12世紀に造られた、退職した役人の住いだったものですが、18世紀になって復元されました。東側は住い、中央が主庭、西側は中庭になっています。Humble Administrator's Garden(身分の低い行政官の庭)というのはJinの時代 (金1115-1234)になってつけられた名で、当時の詩では、「身分の低い行政官は庭に水をやり、野菜を売るのが彼らの仕事」などとうたわれています。



■ 中国庭園が及ぼした英国庭園への影響 - Chinese influence on the English Garden -
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18世紀より以前には、フランスやオランダの流行を追っており、英国は国としてのガーデンスタイルを持っていませんでした。17世紀後半、他のヨーロッパ諸国が1000年以上そうであったように整形式の庭園だったものに、「自然美」を歌う中国の書などが当時ヨーロッパで流行した風景画とともにガーデンデザイナーたちに影響を与えました。彼らは中国式の庭を模倣したわけではありませんが、中国の庭や建築はフォーマルに固執していた英国人の心の殻を破るきっかけになり、William Kent, Lancelot (Capability) Brown や Humphrey Reptonが自然風景式庭園を提唱するようになってゆきました。



■植物 -Plants-
  ウメ
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Prunus mume
梅はバラ科サクラ属の落葉高木で杏の近縁種。中国で呼ばれる「四君子(竹、梅、菊、蘭)」の一つで水墨画の画材にもよく使われる。平安時代よりも前は、花というとこのウメを指すことが多かった。語源は、中国語の梅(マイ、メイ)と当時の日本語の発音からウメとなったらしい。
ハス
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Nelumbo nucifera
スイレン科ハス属の、多年生抽水植物。果実が、蜂の巣に似ていることから、蜂巣(はちす)と呼ばれていたものが変化したと言われている。分仏教では、西方浄土の極楽は、神聖な蓮の池だと信じられているため、蓮と仏教は深い繋がりがある。
キク
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Chrysanthemum
morifolium
Chrysanthemum
キク科キク属 の多年草。
Chrysanthemum(クリサンセマム)は、ギリシャ語の 「chrysos(黄金色)+anthemon(花)」が語源。中国では菊は不老長寿の薬効があるとされており、陰暦の9月9日(重陽の節句)には菊酒を飲んで長寿の祈願をした。これは日本にも伝わり、菊の花を花を鑑賞しながら、花びらを酒に浮かべて楽しむ「重陽の宴」が催されるようになった。


豆知識 General Infomation

●General Information
中国の庭の様式に関するホームページ。
http://mraggett.members.beeb.net/gardens/chinese/index.htm


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